相続手続きの流れ

相続預金の共有名義と名義変更の注意点|1人で動かせない理由と4ステップ

相続した預金は共同名義にならず、遺産分割まで相続人全員の共有です。1人で名義変更できない理由、相続時口座照会(5,060円)の条件、払戻し制度(1金融機関150万円まで)の計算例、10年の区切り、名義預金の確認方法を一次情報で解説します。

相続預金の共有名義と名義変更の注意点|1人で動かせない理由と4ステップ
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
  1. 口座を探す(通帳などの手がかり、または相続時口座照会)
  2. 当座のお金を引き出す(払戻し制度。1金融機関あたり150万円まで)
  3. 全員の合意で名義変更・解約をする(遺産分割協議書か遺言書)
  4. 子や孫名義の口座が故人の財産にあたらないか確かめる(相続税の申告前)

結論:共有状態の相続預金、まず何をすべき?

段階やること期限の目安と根拠
① 口座を探す通帳・郵便物の確認、相続時口座照会相続放棄の熟慮期間は原則「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」(民法915条)。その間に財産の全体をつかむ
② 当座のお金払戻し制度で葬儀費用などを支払う必要になった時点(放棄を考えるなら先に専門家へ相談)
③ 名義変更・解約遺産分割協議 → 相続届の提出名義変更そのものの法定期限はない。相続開始から10年を過ぎると特別受益・寄与分の主張が原則できなくなる(民法904条の3)
④ 名義預金の確認子・孫名義の口座をチェック相続税の申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月以内)
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なぜ相続した預金は1人で動かせない?「共有名義」の誤解

なぜ相続した預金は1人で動かせない?「共有名義」の誤解

2016年の最高裁決定で何が変わった?

共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる(https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-86354.pdf )

比べる点決定より前の判例2016年の決定後
預金債権の扱い相続開始と同時に相続分に応じて当然に分かれるとされていた当然には分かれず、遺産分割の対象になる
実務への影響自分の相続分を単独で請求する余地があった分割が終わるまで、全員で話し合う対象に含まれる
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注意点:1人でも協力しないと止まる

注意

相続人の1人だけでは名義変更できないのが原則です。疎遠な相続人が1人いるだけで手続きが止まることもあります。協議がまとまらないときは、後で紹介する払戻し制度や家庭裁判所の手続きを検討しましょう。

故人の口座はどう探す?相続時口座照会の使いどころ

相続時口座照会の条件

  • 手数料:申込み受付後は、結果の内容にかかわらず返金されない(マイナンバーを確認できない場合も含む)
  • 対象:故人が生前にマイナンバーをひも付けた口座。照会できるのは死後10年まで
  • 期間:申込みから通知まで1か月程度
  • 注意:住所表記の違いなどでマイナンバーを取得できないと「該当口座なし」と通知されることがあり、照会結果は口座がないことの証明にならない
  • 同意:照会の申込みに、ほかの相続人の同意はいらない
補足

手数料の返還ルールを2026年10月から見直すと紹介する解説記事もありますが、一次資料では確認できませんでした。申し込む前に、窓口で最新の規定を確認してください。

診断チャート:故人の口座、どう探してどう動かす?

  • はい → その金融機関へ死亡を連絡し、残高証明書をもらう
  • いいえ → 相続時口座照会と、心当たりのある金融機関への個別照会を並行して進める
  • はい → 預金に手を付けず、先に専門家へ相談する(民法921条)
  • いいえ → Q3へ
  • はい → 戸籍の広域交付でまとめて請求 → 法定相続情報一覧図を作る
  • いいえ(兄弟姉妹が相続人)→ 兄弟姉妹の戸籍は本籍地の役所へ請求する
  • はい → 名義変更、または解約払戻し
  • いいえ → 払戻し制度、または家庭裁判所の手続き

名義変更までの手順と書類集めの順番

名義変更までの7ステップ

  1. 金融機関へ死亡を連絡する:出金・引落しが止まります。
  2. 残高証明書をもらう:亡くなった日の残高は、相続税の申告や払戻し額の計算に使います。
  3. 戸籍を集める:故人の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の戸籍です。
  4. 法定相続情報一覧図を申し出る:法務局で、戸籍の内容を1枚にまとめた証明をもらいます。
  5. 遺産分割協議書を作る:相続人全員が署名・押印します。
  6. 各金融機関へ相続届を出す:一覧図の写し、協議書、印鑑証明書、通帳などを添えます。
  7. 名義変更または解約払戻しを受ける

戸籍の集め方は相続人の顔ぶれで変わる

相続人の顔ぶれ戸籍の集め方注意点
配偶者・子・親など直系最寄りの役所で広域交付を使う本人が窓口で請求する
兄弟姉妹が相続人兄弟姉妹の戸籍は本籍地の役所へ請求する広域交付の対象に兄弟姉妹の戸籍は含まれない
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一覧図の写しは何通そろえる?

協議を先送りすると?相続開始から10年の区切り

払戻し制度でいくら引き出せる?相続放棄との関係

計算式と上限

  • 計算式:相続開始時の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分(口座ごと。定期預金は明細ごと)
  • 上限:同じ金融機関からは 150万円まで

計算例

口座残高残高×1/3×1/2同じ行の合計上限を当てはめた額
A銀行 普通600万円100万円250万円150万円
A銀行 定期900万円150万円(A銀行に合算)(同上)
B銀行 普通1,500万円250万円250万円150万円
合計3,000万円500万円—300万円
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引き出したお金で相続放棄ができなくなる?

使い道注意点
相続人自身の生活費・借金返済「処分」とみなされるおそれがある。使わない
葬儀費用・故人の医療費処分にあたるかは事情によって判断が分かれうる。事前に専門家へ相談し、領収書を残す
引き出して保管するだけ放棄を考えているなら、引き出さないのが安全
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注意

故人に借金がありそうなときは、預金に手を付ける前に専門家へ相談しましょう。調べきれないときは、熟慮期間を家庭裁判所で伸ばしてもらう方法もあります(民法915条1項ただし書)。

相続人の1人が勝手に引き出していた場合

名義預金は相続税の対象?セルフチェック

国税庁が示している考え方

セルフチェック

チェック項目Yes/No
入金したお金は親が出した
通帳・届出印・カードは親が保管していた
名義人本人は口座を知らなかった
贈与契約書や贈与税申告の記録がない
名義人本人が使ったことがない
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国税庁の統計からわかること

項目令和6事務年度
実地調査の件数9,512件
申告漏れなどを指摘された割合82.3%
申告漏れ相続財産のうち現金・預貯金等1,247億円/2,879億円(43.3%)
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生前の贈与は加算期間に注意

まとめ

よくある質問

相続人1人の判断で名義変更できますか?

相続時口座照会で口座が出なければ、手数料は戻りますか?

兄弟姉妹が相続人でも、戸籍の広域交付は使えますか?

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