まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 口座を探す(通帳などの手がかり、または相続時口座照会)
- 当座のお金を引き出す(払戻し制度。1金融機関あたり150万円まで)
- 全員の合意で名義変更・解約をする(遺産分割協議書か遺言書)
- 子や孫名義の口座が故人の財産にあたらないか確かめる(相続税の申告前)
結論:共有状態の相続預金、まず何をすべき?
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なぜ相続した預金は1人で動かせない?「共有名義」の誤解

2016年の最高裁決定で何が変わった?
共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる(https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-86354.pdf )
| 比べる点 | 決定より前の判例 | 2016年の決定後 |
|---|---|---|
| 預金債権の扱い | 相続開始と同時に相続分に応じて当然に分かれるとされていた | 当然には分かれず、遺産分割の対象になる |
| 実務への影響 | 自分の相続分を単独で請求する余地があった | 分割が終わるまで、全員で話し合う対象に含まれる |
注意点:1人でも協力しないと止まる
注意
相続人の1人だけでは名義変更できないのが原則です。疎遠な相続人が1人いるだけで手続きが止まることもあります。協議がまとまらないときは、後で紹介する払戻し制度や家庭裁判所の手続きを検討しましょう。
故人の口座はどう探す?相続時口座照会の使いどころ
相続時口座照会の条件
- 手数料:申込み受付後は、結果の内容にかかわらず返金されない(マイナンバーを確認できない場合も含む)
- 対象:故人が生前にマイナンバーをひも付けた口座。照会できるのは死後10年まで
- 期間:申込みから通知まで1か月程度
- 注意:住所表記の違いなどでマイナンバーを取得できないと「該当口座なし」と通知されることがあり、照会結果は口座がないことの証明にならない
- 同意:照会の申込みに、ほかの相続人の同意はいらない
補足
手数料の返還ルールを2026年10月から見直すと紹介する解説記事もありますが、一次資料では確認できませんでした。申し込む前に、窓口で最新の規定を確認してください。
診断チャート:故人の口座、どう探してどう動かす?
- はい → その金融機関へ死亡を連絡し、残高証明書をもらう
- いいえ → 相続時口座照会と、心当たりのある金融機関への個別照会を並行して進める
- はい → 預金に手を付けず、先に専門家へ相談する(民法921条)
- いいえ → Q3へ
- はい → 戸籍の広域交付でまとめて請求 → 法定相続情報一覧図を作る
- いいえ(兄弟姉妹が相続人)→ 兄弟姉妹の戸籍は本籍地の役所へ請求する
- はい → 名義変更、または解約払戻し
- いいえ → 払戻し制度、または家庭裁判所の手続き
名義変更までの手順と書類集めの順番
名義変更までの7ステップ
- 金融機関へ死亡を連絡する:出金・引落しが止まります。
- 残高証明書をもらう:亡くなった日の残高は、相続税の申告や払戻し額の計算に使います。
- 戸籍を集める:故人の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の戸籍です。
- 法定相続情報一覧図を申し出る:法務局で、戸籍の内容を1枚にまとめた証明をもらいます。
- 遺産分割協議書を作る:相続人全員が署名・押印します。
- 各金融機関へ相続届を出す:一覧図の写し、協議書、印鑑証明書、通帳などを添えます。
- 名義変更または解約払戻しを受ける
戸籍の集め方は相続人の顔ぶれで変わる
| 相続人の顔ぶれ | 戸籍の集め方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配偶者・子・親など直系 | 最寄りの役所で広域交付を使う | 本人が窓口で請求する |
| 兄弟姉妹が相続人 | 兄弟姉妹の戸籍は本籍地の役所へ請求する | 広域交付の対象に兄弟姉妹の戸籍は含まれない |
一覧図の写しは何通そろえる?
協議を先送りすると?相続開始から10年の区切り
払戻し制度でいくら引き出せる?相続放棄との関係
計算式と上限
- 計算式:相続開始時の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分(口座ごと。定期預金は明細ごと)
- 上限:同じ金融機関からは 150万円まで
計算例
| 口座 | 残高 | 残高×1/3×1/2 | 同じ行の合計 | 上限を当てはめた額 |
|---|---|---|---|---|
| A銀行 普通 | 600万円 | 100万円 | 250万円 | 150万円 |
| A銀行 定期 | 900万円 | 150万円 | (A銀行に合算) | (同上) |
| B銀行 普通 | 1,500万円 | 250万円 | 250万円 | 150万円 |
| 合計 | 3,000万円 | 500万円 | — | 300万円 |
引き出したお金で相続放棄ができなくなる?
| 使い道 | 注意点 |
|---|---|
| 相続人自身の生活費・借金返済 | 「処分」とみなされるおそれがある。使わない |
| 葬儀費用・故人の医療費 | 処分にあたるかは事情によって判断が分かれうる。事前に専門家へ相談し、領収書を残す |
| 引き出して保管するだけ | 放棄を考えているなら、引き出さないのが安全 |
注意
故人に借金がありそうなときは、預金に手を付ける前に専門家へ相談しましょう。調べきれないときは、熟慮期間を家庭裁判所で伸ばしてもらう方法もあります(民法915条1項ただし書)。
相続人の1人が勝手に引き出していた場合
名義預金は相続税の対象?セルフチェック
国税庁が示している考え方
セルフチェック
| チェック項目 | Yes/No |
|---|---|
| 入金したお金は親が出した | |
| 通帳・届出印・カードは親が保管していた | |
| 名義人本人は口座を知らなかった | |
| 贈与契約書や贈与税申告の記録がない | |
| 名義人本人が使ったことがない |
国税庁の統計からわかること
| 項目 | 令和6事務年度 |
|---|---|
| 実地調査の件数 | 9,512件 |
| 申告漏れなどを指摘された割合 | 82.3% |
| 申告漏れ相続財産のうち現金・預貯金等 | 1,247億円/2,879億円(43.3%) |




