相続放棄と借金

相続放棄の熟慮期間を伸長する手続き|申立ての期限・費用・理由の書き方

親の相続で借金や実家の財産を調べきれない40〜60代の方へ。熟慮期間の伸長を申し立てる期限と費用(印紙800円)を説明します。照会の回答が満了日に間に合うかで申し立てるかを決める方法、逆算の日程表、理由の書き方、家族で放棄するときの注意点も載せています。

相続放棄の熟慮期間を伸長する手続き|申立ての期限・費用・理由の書き方
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
  • 照会の回答が満了日に間に合うかで、申し立てるかを決める方法
  • 満了日から逆算した申立ての日程と費用
  • 申立書の「理由」に書く内容
  • 家族で放棄するときに、期限を人ごとに管理する方法
注意

申し立てても、必ず延びるとは限りません。満了日まで2週間を切っている方は、すぐに司法書士か弁護士へ相談してください。

伸長の申立てで決まっていること・決まっていないこと

項目内容
申し立てられる人利害関係人(相続人を含む)、検察官
申立ての期限自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
申立先亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所
費用相続人1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手(金額は提出先の家庭裁判所に確認)
主な書類申立書、亡くなった人の住民票除票か戸籍附票、伸長を求める相続人の戸籍謄本(相続順位によって追加あり)
横スクロールできます

出典:裁判所『相続の承認又は放棄の期間の伸長』(2026年10月31日確認)

申し立てるか迷ったら:照会の回答が満了日に間に合うか

申し立てるか迷ったら:照会の回答が満了日に間に合うか
照会先請求できる人費用回答までの日数
JICC(消費者金融など)法定相続人、二親等以内の血族2,177円(速達は2,511円)申込書類の到着後7〜10日
CIC(クレジット・信販)法定相続人のみ定額小為替1,500円(発行手数料は別)、開示利用券なら1,650円法定相続情報一覧図を送ると10日ほど、戸籍謄抄本などを送ると20日ほど
全国銀行個人信用情報センター(銀行ローン)法定相続人とその法定代理人利用券2,403円日数の明示なし。申込が増えていて通常より日数がかかると案内
法務局(所有不動産記録証明)登記名義人の相続人など書面1,600円、オンライン請求で郵送受取1,500円、窓口受取1,470円登記所ごとに違い、2週間程度かかる場合があると案内
横スクロールできます

出典:JICC『二親等以内の血族 法定相続人等による開示』、CIC『郵送で開示する』、全国銀行個人信用情報センター『郵送による開示手続』、法務省『所有不動産記録証明制度について』(いずれも2026年10月31日確認)

状況次の行動
回答がそろい、借金が財産より明らかに多い伸長せず、放棄を申述する
回答がそろい、借金が見当たらない伸長は不要。相続税がかかるかは税理士に確認する
満了日の2週間前までに回答がそろわない伸長を申し立てる
連帯保証や個人どうしの借金など、照会に出ない債務が疑われる伸長を申し立て、郵便物や契約書を確認する期間を確保する
ほかの相続人と連絡が取れず、限定承認を考えている伸長を申し立てる(限定承認は共同相続人の全員でしかできません。民法923条)
横スクロールできます

満了日から逆算する申立ての日程と費用

項目計算のしかた例あなたの日付
① 熟慮期間の満了日D+3か月(知った当日は数えない)2027年2月10日(水)
② 信用情報の開示請求を発送D+14日まで2026年11月24日(火)
③ 所有不動産記録証明を請求D+21日まで2026年12月1日(火)
④ 預金の残高証明を依頼D+30日まで2026年12月10日(木)
⑤ 伸長申立ての準備締切①の2〜3週間前2027年1月20日(水)〜27日(水)
⑥ 伸長後の新しい満了日審判書に書かれた日審判書から書き写す
横スクロールできます
  • 知った当日は数えません(民法140条)。
  • ②〜⑤は、回答日数と書類の手直しを見込んだ編集部の目安で、法律上の期限ではありません。
  • この例では期間中に年末年始が入るので、照会は12月中旬までに出し終えましょう。
  • 起算日がきょうだいで違う場合は、人数分の行を作ってください。
内訳1人が伸長する場合きょうだい3人が伸長する場合
伸長の印紙(1人800円)800円2,400円
信用情報3機関(JICC2,177円、CIC1,500円、全国銀行個人信用情報センター2,403円)6,080円6,080円
所有不動産記録証明(書面)1,600円1,600円
合計8,480円10,080円
横スクロールできます
  1. 申立書、住民票除票か戸籍附票、伸長を求める人の戸籍謄本をそろえる
  2. 裁判所のサイトにある書式で申立書を書く
  3. 切手の金額を提出先の家庭裁判所に確認し、印紙と切手を用意する
  4. 郵送か窓口で提出する
  5. 審判書が届いたら、新しい満了日を表の⑥に書き写す

申立書の「理由」に書く3つのこと

家族で放棄するとき:伸長は人ごとに管理する

だれ熟慮期間が始まる時
亡くなった人の親や祖父母(第2順位)子が全員放棄して、自分が相続人になったと知った時
亡くなった人のきょうだい(第3順位)第2順位の人が全員いないか放棄して、自分が相続人になったと知った時
横スクロールできます

伸長中も止めておく行為

  • 亡くなった人の口座からお金を引き出す
  • 家財、貴金属、車を売る・捨てる・名義を変える
  • 遺産分割協議書に署名する、実家の名義を変える
  • 亡くなった人が受け取るはずのお金(家賃など)を取り立てる

満了日を過ぎた・伸長が認められなかった場合

  • 裁判所『相続の承認又は放棄の期間の伸長』https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html
  • e-Gov法令検索『民法』(140条、915条、921条、923条、940条)https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • JICC『二親等以内の血族 法定相続人等による開示』https://www.jicc.co.jp/kaiji/31
  • CIC『郵送で開示する』https://www.cic.co.jp/mydata/mailing/index.html
  • 全国銀行個人信用情報センター『郵送による開示手続』https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/mail/
  • 法務省『所有不動産記録証明制度について』https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html
  • 旭川地方法務局『所有不動産記録証明制度が令和8年2月2日から運用開始』https://houmukyoku.moj.go.jp/asahikawa/page000001_00531.html
  • 最高裁令和元年8月9日判決 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-88855.pdf
  • 最高裁昭和59年4月27日判決(昭和57年(オ)第82号)https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52168

※この記事は一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案は、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

最終確認日:2026年10月31日

関連記事

相続放棄3カ月の期限家庭裁判所