法定相続情報一覧図とは?作るべきか3問で判定|広域交付との使い分け
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法定相続情報一覧図とは?作るべきか3問で判定|広域交付との使い分け

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法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)の相続関係を1枚の図にまとめ、法務局の登記官が「民法の相続関係と合致する」旨の認証文を付して無料で交付する公的な証明書です。認証文付きの写しは戸籍謄本の束の代わりとして使えるため、相続登記・銀行の払戻し・相続税申告などを同時並行で進められます。平成29年(2017年)5月に創設された国の制度で、交付手数料は0円、必要な通数を何通でも受け取れます(法務局「『法定相続情報証明制度』について」)。

ただし、2026年現在は「作るべきか」の判断基準が以前と変わりました。2024年3月に戸籍の広域交付が始まって戸籍集め自体が楽になった一方、広域交付は直系のみ・郵送不可・代理人不可という制約が残っています。さらに2027年3月31日には、施行前に発生した相続の相続登記の経過措置期限が控えています。本記事では制度の定義を押さえたうえで、3問の診断チャート費用・日数の比較計算で「あなたは一覧図を作るべきか、戸籍の束のままで足りるか」を判定し、作る場合の最短の進め方まで解説します。

注意

本記事は公的機関の公表資料をもとにした一般的な解説です。相続関係や税務の判断は個別事情で結論が変わるため、具体的な手続きは司法書士(相続登記)・税理士(相続税)などの専門家にご確認ください。

法定相続情報一覧図とは?定義と「何ができる書類か」を先に答える

法定相続情報一覧図とは、被相続人の法定相続人が誰であるかを1枚に表した図で、登記官の認証文が付いた写しは戸籍の束の代わりとして各種相続手続きに使える公的書類です。

法務局(法務省)「『法定相続情報証明制度』について」(2024)によると、本制度は相続関係を一覧に表した図とともに戸除籍謄本等の束を登記所に提出し、登記官が確認のうえ認証文付きの写しを無料で交付する仕組みで、平成29年5月に創設されました。制度の利用に伴う手数料は発生しません。

押さえるべき要点は次の4つです。

  • 証明されるのは「戸籍から読み取れる法定相続人の範囲」だけ: 誰が何を相続するか(遺産分割)、相続放棄の有無、廃除の結果は反映されません。
  • 写しは何通でも無料: 手続き先の数だけ取得でき、同時並行で進められます。
  • 申出先は4か所から選べる: 被相続人の本籍地・最後の住所地・申出人の住所地・被相続人名義の不動産所在地のいずれかを管轄する登記所で、窓口でも郵送でも申出できます(法務局「具体的な手続について」2024)。
  • 5年間保存され再交付できる: 申出日の翌年から起算して5年間保存され、その間は当初申出をした登記所でのみ再交付を受けられます。

利用できる主な手続きは、不動産の相続登記、預貯金の払戻し・解約、証券の移管、相続税の申告(平成30年4月1日以降、国税庁リーフレット)、そして令和2年10月26日からは被相続人の死亡に起因する各種年金等手続きにも広がりました(法務局「利用範囲の拡大について」2020)。

【診断】あなたは一覧図を作るべき?3つの質問で判定する

【診断】あなたは一覧図を作るべき?3つの質問で判定する

判定の軸は「相続人に兄弟姉妹がいるか」「手続き先が3件以上か」「本人が平日に市区町村窓口へ行けるか」の3点です。この3問で、作る価値が高いケースと戸籍の束で足りるケースがほぼ分かれます。

``` 【Q1】相続人に兄弟姉妹・甥姪が含まれますか? │ ├─ はい → ★一覧図を強く推奨 │ 理由: 戸籍の広域交付は直系(本人・配偶者・父母祖父母・子孫)限定で、 │ 兄弟姉妹の戸籍は請求できません。被相続人の両親の出生まで遡る │ 大量の戸籍を各窓口で読み解いてもらう負担が大きいためです。 │ 次にやること: 本籍地の市区町村に郵送請求で戸籍を集め始める │ └─ いいえ → Q2へ

【Q2】戸籍等を提出する手続き先は何件ですか? (法務局・銀行・証券・税務署・年金・保険・運輸支局などを数える) │ ├─ 3件以上 → ★一覧図が有利 │ 理由: 写しは無料で何通でも取れるため、全手続きを同時に開始できます。 │ 次にやること: 手続き先の数+予備2通の通数を決めて申出準備へ │ └─ 2件以下 → Q3へ

【Q3】相続人本人が平日に市区町村の窓口へ出向けますか? (広域交付は郵送・代理人請求ができません) │ ├─ いいえ(遠方・高齢・平日休めない) → ★一覧図を推奨 │ 理由: 一覧図の申出は郵送でき、代理人も8士業+親族まで認められています。 │ 次にやること: 郵送で戸籍を集め、返信用封筒を同封して郵送申出する │ └─ はい → ☆戸籍の束のままで完結できる可能性が高い 理由: 広域交付で直系の戸籍をまとめて取得し、原本還付で使い回せます。 次にやること: 提出先に「原本還付の可否」と返却までの日数を先に確認する ```

ポイント

Q1で「はい」になった時点で、以降の質問に関係なく一覧図の価値が跳ね上がります。日本司法書士会連合会「しほサーチ」(2024)によると、広域交付では兄弟姉妹の戸籍謄本等は請求できず、請求者自身が窓口に出向く必要があり郵送・代理請求もできません。兄弟姉妹相続では戸籍集めの難易度が高いため、司法書士への依頼も現実的な選択肢です。

費用と日数はどれだけ違う?3パターンの比較計算

手続き先が2件以下なら差は小さく、3件以上になると一覧図が費用・日数の両面で逆転します。

前提を明示します。戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は1通450円、除籍全部事項証明書・改製原戸籍謄本は1通750円(地方公共団体の手数料の標準に関する政令に基づく標準額)。被相続人の出生から死亡までを平均4通(450円+750円×3=2,700円)、相続人3名分の戸籍1,350円として、戸籍収集の実費は合計4,050円とします。

パターン費用手続き先3件のときの所要目安向いているケース
①戸籍1セットを原本還付で使い回す4,050円1件あたり返却まで2〜3週間 × 3件を直列 = 6〜9週間手続き先1〜2件
②手続き先の数だけ戸籍を揃える4,050円×3=12,150円+郵送費収集の手間が3倍。3〜4週間費用より速度、かつ通数が少ない場合
③法定相続情報一覧図を作る4,050円+交付0円(写し5通)法務局の交付1〜2週間+全手続き同時進行 = 2〜3週間手続き先3件以上

読み取れる損益分岐は次のとおりです。

  • 手続き先2件以下: ②と③の差が小さく、①でも大きな遅れになりません。一覧図の申出にかかる1〜2週間が逆に遠回りになる場合があります。
  • 手続き先3件以上: ③が費用・日数とも逆転します。写しが無料である以上、通数を増やすほど有利になるためです。
  • 戸籍の通数が多いケース(兄弟姉妹相続など): ②の費用が跳ね上がるため、③の優位がさらに広がります。
注意

交付までの期間は「おおむね1〜2週間」が実務上の目安ですが、登記所ごとに混雑状況が異なり、公式に統一された日数は公表されていません。急ぐ場合は申出先の登記所に事前確認してください。原本還付にかかる日数も提出先ごとに異なります。

戸籍の広域交付(2024年3月開始)との使い分け

広域交付は「直系の戸籍を、本人が窓口で、まとめて取る」制度で、一覧図の代わりにはなりません。両者は競合ではなく、広域交付で集めた戸籍を材料に一覧図を作るという前後関係にあります。

2024年3月から、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口で戸籍謄本等をまとめて取得できるようになりました。ただし日本司法書士会連合会「しほサーチ」(2024)によると、次の制約があります。

  • 請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属の戸籍のみで、兄弟姉妹の戸籍は請求できない
  • 請求できる人自身が市区町村の戸籍担当窓口に出向く必要があり、郵送・代理人による請求はできない
  • 顔写真付き身分証明書による本人確認が必要

つまり、広域交付が効くのは「子が相続人」「本人が窓口に行ける」ケースに限られます。兄弟姉妹が相続人になる場合や、高齢・遠方で窓口に行けない場合は、結局これまでどおり本籍地への郵送請求が必要です。一方、一覧図の申出は郵送で完結でき、代理人も法務局「具体的な手続について」(2024)によると弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士の8士業に加えて親族まで認められています。この差が、広域交付が始まった後もなお一覧図を作る価値が残る理由です。

「法定相続情報一覧図の写し」とは?認証文付き写しの意味と法定相続情報番号

法定相続情報一覧図の写しとは、申出人が作成した一覧図に登記官の認証文が付けられ、偽造防止措置のある専用紙で交付される書面のことです。各窓口へはコピーではなくこの写しそのものを提出します。

「認証文付き法定相続情報一覧図」という呼び方も同じものを指します。認証文は「これは、○年○月○日に申出のあった当局保管に係る法定相続情報一覧図の写しである」旨と、登記官による確認の趣旨を記したもので、この認証があるからこそ戸籍の束の代替として通用します。認証のない私製の図(相続関係説明図)には、この効力がありません。

2024年4月からは、写しの右肩に法定相続情報番号が記載されるようになりました。法務局「法定相続情報番号の提供による相続登記等における法定相続情報一覧図の写しの添付省略について」(2024)によると、この番号を不動産登記の申請書の添付情報欄に記載することで、写しの添付自体を省略できます。記載例は「登記原因証明情報(法定相続情報番号(○○○○-○○-○○○○○))」の形です。

ただし射程には注意が必要です。

提出先法定相続情報番号だけで足りるか
法務局(不動産登記の申請等)○ 写しの添付を省略できる
法務局(相続人申告登記の申出)○ 番号の記載または写しの提出が可能(法務省「相続人申告登記について」2024)
銀行・証券会社× 従来どおり写しの原本が必要
税務署(相続税申告)× 従来どおり写しの原本が必要
年金事務所・保険会社× 従来どおり写しの原本が必要

番号が使えるのは法務局の手続きだけなので、通数を絞りすぎない判断が必要です。

「申出人」とは?誰が申し出られるのか・代理人の範囲

申出人とは、法務局に一覧図の保管および写しの交付を申し出る人のことで、被相続人の相続人(またはその相続人)本人を指します。

法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」(2024)によると、要点は次のとおりです。

  • 申出人になれるのは相続人: 被相続人の相続人、または当該相続人の地位を相続により承継した人です。
  • 利用できない場合がある: 被相続人や相続人が日本国籍を有しないなどの理由で戸除籍謄抄本を提出できない場合は、本制度自体を利用できません
  • 代理人を立てられる: 法定代理人のほか、申出人の親族、および弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士の8士業が代理できます。
  • 再交付は申出人に限られる: 5年の保存期間内でも、再交付を請求できるのは当初の申出人です。当初申出をした登記所でのみ受け付けられます。

実務上の意味は「誰の名前で申し出るかを最初に決めておく」ことです。手続きを主に担う相続人が申出人になっておかないと、後から口座が見つかったときの再交付で動けなくなります。

相続人の住所を書くか書かないか——判断を分ける一文

住所を記載すればその後の相続登記等で住民票の写しの提供が不要になる一方、交付を受けた後に住所が変わったことを理由とする再申出はできません。この一文が判断の分かれ目です。

法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」(2024)によると、相続人の住所記載は任意です。記載した場合、その後の相続登記申請等で住民票の写しの提供が不要になる場合があるとされています。一方で、交付後に住所が変わったことによる再申出はできないと明記されています。

実家の売却や名義変更まで年単位かかる40〜60代にとって、これは軽くない制約です。判断の目安を整理します。

状況住所記載の判断
相続登記を数か月以内に済ませる見込み記載する(住民票の手間が減る)
相続人に転居・施設入居の予定がある記載しない(住所変更で使えなくなるリスク)
相続人が多く全員の住民票を集めるのが大変記載しない(住民票の取り寄せ自体を省ける)
手続き先が金融機関中心記載の実益は小さい(金融機関は別途本人確認書類を求めることが多い)

もう一つ、続柄の書き方も同じ性質の分岐です。法務局の同資料によると、続柄は戸籍に記載されるとおり「長男」「長女」「養子」などと記載するのが原則ですが、申出人の選択により単に「子」と記載することもできます。ただし「子」と記載した場合は、相続税の申告など一覧図の写しを利用できない手続きがあります。相続税申告の可能性が少しでもあるなら、戸籍どおりの続柄で作成してください。

一覧図を1回で通すための申出前チェックリスト10項目

差し戻しの典型は「戸籍がつながっていない」「続柄の書き方を誤った」「通数が足りない」の3つです。提出前に次の10項目を確認してください。

  • [ ] ①戸籍の連続性: 被相続人の出生から死亡までの戸除籍がつながっているか(転籍・改製による抜けを確認)
  • [ ] ②住民票の除票: 取得したか。廃棄済みなら戸籍の附票で代替したか(除票・附票の除票の保存期間は令和元年6月20日の住民基本台帳法施行令改正で5年間から150年間に延長されましたが、改正前にすでに保存期間を経過して廃棄されたものは交付を受けられません)
  • [ ] ③続柄の表記: 「長男」「長女」など戸籍どおりに書いたか(「子」と書くと相続税申告に使えません)
  • [ ] ④住所の記載可否: 書くか書かないかを決めたか(書けば相続登記で住民票が不要になる場合がある一方、交付後に住所変更を理由とする再申出は不可)
  • [ ] ⑤必要通数: 銀行・証券・法務局・税務署・年金・保険・運輸支局の合計+予備2通を数えたか
  • [ ] ⑥申出書の利用目的欄: 空欄のまま出していないか
  • [ ] 相続放棄者への対応: いる場合、家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」を別途手配したか(放棄は一覧図に反映されません)
  • [ ] 数次相続の理解: 被相続人ごとに別の一覧図が必要だと理解しているか
  • [ ] ⑨提出先の独自運用: 金融機関の「発行後○か月以内」という基準を確認したか
  • [ ] ⑩再交付の条件: 5年の保存期間と、再交付が当初の登記所・当初の申出人に限られることをメモしたか
ポイント

⑤の通数は多めが正解です。交付手数料は0円で、必要な通数を何通でも受け取れます(法務局「『法定相続情報証明制度』について」)。後から古い口座や証券が見つかったときに、再交付のため法務局へ戻る往復を省けます。

取得までの5ステップと必要書類

流れは「戸籍収集 → 一覧図の作成 → 法務局へ申出」の3段階で、費用は戸籍代などの実費のみ、期間は2週間〜1か月程度が目安です。

  1. 被相続人の戸籍一式を集める: 出生から死亡までの連続した戸除籍謄本を取得します。相続人が直系で本人が窓口に行ける場合は、2024年3月開始の広域交付でまとめて請求できます。兄弟姉妹が相続人の場合は本籍地への個別請求が必要です。
  2. 住民票関係の書類を集める: 被相続人の住民票の除票(取得できない場合は戸籍の附票)と、相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本を取得します。一覧図に相続人の住所を記載する場合は各相続人の住民票も用意します。
  3. 一覧図を作成する: 法務局のウェブサイトで様式(Excel)と記載例が公開されており、配偶者と子/子のみ/配偶者と親/配偶者と兄弟姉妹/代襲相続・再代襲/旧民法下の家督相続・遺産相続/養子を含む子/列挙形式など9系統の記載例が用意されています(法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」)。A4用紙1枚に作成し、用紙の下から約5cmは認証文用の余白として空けます。パソコン作成でも手書きでも構いません。
  4. 申出書を記入し、管轄の法務局に提出する: 「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」に必要事項を記入し、戸籍一式・一覧図・申出人の本人確認書類とあわせて提出します。窓口のほか郵送も可能で、郵送の場合は返信用封筒と切手を同封します。申出先は前述の4か所から選べます。
  5. 認証文付きの写しを受け取り、各手続きへ: 登記官の確認を経ておおむね1〜2週間で交付されます(登記所により変動)。戸籍の原本もこのとき返却されるため、写しとともに各手続きを一斉に進められます。
補足

令和2年10月26日から、被相続人の最後の住所に加えて、申出人の選択により最後の本籍も一覧図に記載できるようになりました(法務局「利用範囲の拡大について」2020)。金融機関によっては本籍の記載を求める運用があるため、記載しておくと差し戻しを避けられる場合があります。

3つの書類を比較する——一覧図・戸籍の束・相続関係説明図

決定的な違いは「登記官の認証があるか」です。戸籍の束の代わりになるのは法定相続情報一覧図だけで、相続関係説明図は単独では証明力を持ちません。

比較項目法定相続情報一覧図(の写し)戸籍の束(広域交付で収集)相続関係説明図
①作成主体・認証相続人が作成し登記官が認証市区町村が発行(認証という概念なし)相続人や専門家が自作(認証なし)
②費用0円(何通でも)450〜750円 × 通数0円
③兄弟姉妹が相続人の場合○ 利用できる× 広域交付では取得不可。本籍地に個別請求○ 作成できる
④代理人・郵送での取得○ 8士業+親族/郵送可× 広域交付は本人が窓口へ。郵送・代理不可
⑤複数機関で同時に使えるか○ 何通でも無料△ 原本還付を待つか通数分を揃える× 単独では証明力なし
⑥相続税申告に使えるか○ ただし続柄を「長男・長女」等と記載した場合×
⑦不動産登記で添付を省略できるか○ 法定相続情報番号の記載で可××
⑧相続放棄・遺産分割の結果の反映× 別途書類が必要××
⑨有効期限法律上なし。ただし金融機関に3〜6か月の独自運用あり同左
⑩日本国籍でない相続人がいる場合× 制度を利用できない

特に混同しやすいのが相続関係説明図です。見た目は一覧図とよく似た家系図ですが、認証のない私的な資料で、登記申請の際に戸籍原本を返してもらう(原本還付)ために添付するものです。金融機関で戸籍の束の代わりに使うことはできません。GSCでも「法務局 相続関係説明図」という検索が見られますが、法務局が認証するのは一覧図のほうであり、相続関係説明図は法務局に提出しても認証されない点にご注意ください。

2027年3月31日の期限——相続登記の義務化と一覧図の関係

施行前に発生していた相続についての相続登記の期限が2027年3月31日に迫っており、実家などの未登記不動産を抱える方にとって残り期間は1年半を切っています。

法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(2024)によると、相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。令和6年4月1日より前に相続が発生していた場合は、令和9年(2027年)3月31日までの登記が必要です。

遺産分割がまとまらず期限に間に合わない場合の受け皿が、2024年4月に新設された相続人申告登記です。法務省「相続人申告登記について」(2024)によると、申出では戸籍の証明書に代えて法定相続情報一覧図の写しを提出するか、法定相続情報番号を申出書に記載できます。登録免許税はかかりません。ただし次の限界があります。

  • 権利関係を公示するものではないため、売却や抵当権設定には別途相続登記が必要
  • 遺産分割に基づく相続登記の申請義務は履行できない(あくまで3年以内の申請義務を一旦果たすための手当て)

つまり一覧図は、期限に追われる局面で「戸籍を集め直さずに申告登記へ進める」ための実務的な近道になります。

補足

2026年5月26日以降、戸籍の振り仮名の届出期間(2025年5月26日〜2026年5月25日)が終了し、届出がなかった方については市区町村長が通知どおりの振り仮名を職権で戸籍に記載しています(政府広報オンライン/法務省)。相続手続きで取り寄せる戸籍の表示が従来と変わっている場合がありますので、一覧図の氏名表記と戸籍の記載が一致しているかご確認ください。

一覧図に反映されないこと・使えないケース

一覧図が証明するのは戸籍から読み取れる相続関係だけで、遺産分割・相続放棄・廃除の結果までは証明できません。

  • 相続放棄: 放棄しても戸籍には表れないため、一覧図には記載されたままです。証明には家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」が別途必要です。
  • 遺産分割の内容: 誰がどの財産を取得するかは遺産分割協議書で証明します。一覧図だけで相続手続きは完結しません。
  • 廃除: 相続廃除は戸籍に記載されるため、廃除された人は一覧図に記載されません。
  • 数次相続: 父の相続手続き中に母も亡くなったようなケースでは、2つの相続を1枚にまとめられず、被相続人ごとに1枚ずつ作成します。
  • 日本国籍を有しない場合: 被相続人または相続人が日本国籍を有しないなどの理由で戸除籍謄抄本を提出できない場合は、制度そのものを利用できません(法務局「具体的な手続について」2024)。
  • 最初の戸籍収集は省略できない: 一覧図を作るには出生から死亡までの戸籍一式を一度は集める必要があります。「戸籍集めが不要になる制度」ではありません。
注意

一覧図の写しに法律上の有効期限はありませんが、金融機関によっては「発行後3か月以内」「6か月以内」といった独自の基準を設けている例があるとされています。相続税申告(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)や遺産分割の進み具合と合わせ、取得のタイミングを設計してください。取得が早すぎると、使う頃には提出先の基準を外れて再交付が必要になることがあります。

よくある質問

Q1. 法定相続情報一覧図とは、結局どんな書類ですか?

A. 被相続人の法定相続人が誰であるかを1枚に表した図に、法務局の登記官が認証文を付けた公的な証明書です。認証文付きの写しは戸籍の束の代わりとして、相続登記・預貯金の払戻し・相続税申告・年金手続きなどに使えます。交付手数料は0円で、必要な通数を何通でも受け取れます。

Q2. 申出人とは誰のことですか?相続人以外でも申し出られますか?

A. 申出人は被相続人の相続人(またはその相続人)本人です。相続人以外の第三者が申出人になることはできませんが、代理人を立てることはできます。代理できるのは法定代理人、申出人の親族、および弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士の8士業です。

Q3. 法定相続情報一覧図の写しとは何ですか?自分で作った図とは違うのですか?

A. 写しとは、申出人が作成した一覧図に登記官の認証文が付され、専用紙で交付される書面です。自分で作っただけの図には認証がないため、戸籍の束の代わりにはなりません。各窓口には、コピーではなくこの認証文付きの写しそのものを提出します。

Q4. 認証文付き法定相続情報一覧図と、法定相続情報番号はどう違いますか?

A. 認証文付き一覧図(=写し)は書面そのもの、法定相続情報番号は写しの右肩に記載される番号です。2024年4月から、不動産登記の申請書の添付情報欄に番号を記載すれば写しの添付を省略できるようになりましたが、利用できるのは法務局の不動産登記手続等に限られ、銀行や税務署では従来どおり写しの原本が必要です。

Q5. 戸籍の広域交付が始まったのに、一覧図を作る意味はありますか?

A. あります。広域交付は直系(本人・配偶者・父母祖父母・子孫)の戸籍に限られ、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。また請求者本人が窓口に出向く必要があり、郵送・代理人請求もできません。兄弟姉妹が相続人になるケースや、遠方・高齢で窓口に行けないケースでは、郵送申出でき代理人も使える一覧図の価値がむしろ高まっています。

Q6. 有効期限はありますか?いつ取得するのがよいですか?

A. 法律上の有効期限はありません。ただし金融機関などが「発行後3か月以内」といった独自の基準を設けている例があるとされます。取得後は放置せず、手続きを並行して進められる時期に合わせて申し出るのが安全です。法務局での保存期間は申出日の翌年から5年間で、その間は当初申出をした登記所で再交付を受けられます。

Q7. 一覧図を作らないほうがよいのはどんなときですか?

A. 手続き先が1〜2件で、相続人が直系のみ、かつ本人が平日に市区町村窓口へ行ける場合です。広域交付で戸籍をまとめて取得し、原本還付を使えば足りることが多く、一覧図の申出にかかる1〜2週間が遠回りになる可能性があります。判断に迷う場合は、本記事の3問診断チャートをご確認ください。

Q8. 手続きが終わった後に親の口座が新たに見つかった場合は?

A. 保存期間(申出日の翌年から5年間)内であれば、写しの再交付を受けて対応できます。戸籍を集め直す必要はありません。ただし再交付を請求できるのは当初の申出人に限られ、当初申出をした登記所でのみ受け付けられる点にご注意ください。

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法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚に集約し、複数の相続手続きを同時並行で進められるようにする無料の公的制度です。2024年3月に戸籍の広域交付が始まった今も、兄弟姉妹が相続人になるケースや、遠方・高齢で窓口に行けないケース、手続き先が3件以上あるケースでは、作る価値が明確に残っています。一方で、遺産分割や相続放棄までは証明できず、住所記載や続柄表記の選択によっては使えない手続きが出てくるなど、設計を誤ると作り直しになる制度でもあります。

相続の状況はご家庭ごとに異なり、税制や登記実務の運用は変わる可能性があります。判断に迷う場合や、2027年3月31日の登記期限が関係する場合は、司法書士(相続登記)・税理士(相続税)などの専門家に早めにご相談ください。最新の取り扱いは法務局・法務省の公式サイトで必ずご確認ください。

主な参照先

  • 法務局(法務省)「『法定相続情報証明制度』について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
  • 法務局(法務省)「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html
  • 法務局(法務省)「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
  • 法務局(法務省)「法定相続情報番号の提供による相続登記等における法定相続情報一覧図の写しの添付省略について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_00025.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
  • 法務省「相続人申告登記について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
  • 国税庁「相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました」(平成30年4月)
  • 日本司法書士会連合会「しほサーチ」戸籍謄本等の広域交付 https://souzoku.shiho-shoshi.or.jp/column/007/

最終確認日:2026年8月7日

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