遺産分割協議書の書き方|そのまま使える文例と5ステップ
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遺産分割協議書の書き方|そのまま使える文例と5ステップ

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遺産分割協議書とは、亡くなった方の遺産を誰がどのように取得するかについて相続人全員が合意した内容を記録し、全員が署名して実印を押印する書面です。結論から言えば、①相続人全員が参加している、②財産を特定できる記載になっている、③全員が実印で押印し印鑑証明書を添付している——この3条件を満たせば、専門家に依頼せず自分で作成できるとされています。公式のひな形・記載例は、国税庁ではなく法務局が無償公開しています。

この記事でできること

知りたいこと該当セクション
すぐ書き始めてよいか判断したい5問診断
公式ひな形の入手先を知りたい法務局のひな形
文例をそのまま使いたい書き方5ステップ
差し戻しを防ぎたい提出先別・対照表/最終確認10項目
いつまでに作るか知りたい期限逆算スケジュール

ただし、ひな形を正しく埋めても通用しないケースがあります。相続人に認知症の方がいる、協議がまとまる前に相続人が亡くなった(数次相続)——こうした分岐を見落とすと、協議書自体が無効になったり、家庭裁判所の手続で2か月以上止まったりするためです。最高裁判所の令和6年司法統計年報(2025)によると、令和6年の遺産分割調停の新受件数は17,013件(審判2,537件)。司法統計を基にした辻・本郷税理士法人の集計では、家庭裁判所で争われる遺産分割事件の約76%は遺産総額5,000万円以下とされており、協議書づくりは特別な資産家だけの問題ではありません。

本記事は「ひな形の埋め方」ではなく、法務局・銀行・税務署の審査で通る協議書から逆算して解説します。まずは次の5問診断で、自分が今日から書き始めてよいのかを確認してください。

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書き始める前の5問診断:あなたはどのルートで作るべきか

ひな形を埋める前に、遺言書・認知症/未成年・数次相続・経過年数・不動産の5点を確認すると、無効や手戻りを防げます。

協議書が無効・やり直しになる原因の多くは書き方そのものではなく、前提の見落としです。次の5問に順番に答えて、自分の作成ルートを確認してください。

Q1. 遺言書はありますか?

  • はい → 原則として遺言の内容が優先され、協議書が不要になる場合があります。自筆証書遺言は、法務局保管制度を利用したものを除き家庭裁判所の検認が必要とされています。→ 【先に家裁手続】
  • いいえ → Q2へ

Q2. 相続人に認知症などで判断能力に不安のある方、または未成年はいますか?

  • はい → 成年後見人・特別代理人の選任なしに作った協議書は、無効となる恐れがあるとされています。司法書士・弁護士の実務解説では、後見の申立てから協議が可能になるまで最低2か月程度かかるとされ、スケジュール全体に影響します。→ 【先に家裁手続+専門家相談推奨】
  • いいえ → Q3へ

Q3. 協議がまとまる前に亡くなった相続人はいますか?(数次相続)

  • はい → 「相続人兼被相続人」という書式が必要です(書き方は後述)。→ 【通常作成(書式に注意)】
  • いいえ → Q4へ

Q4. 相続開始から10年近く経っていますか?

  • はい → 法務省(2023)によると、民法改正(2023年4月施行)により、相続開始から10年経過後の遺産分割では特別受益・寄与分の主張が原則できなくなり、法定相続分によることになります(2023年4月1日以前に開始した相続は、10年経過時か2028年3月31日のいずれか遅い方が期限)。→ 【専門家相談推奨】
  • いいえ → Q5へ

Q5. 遺産に不動産はありますか?

  • はい → 法務省の相続登記の申請義務化に関するQ&A(2024)によると、相続登記は取得を知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前に相続した未登記不動産は2027年3月31日が期限です。→ 【通常作成(期限管理必須)】
  • いいえ → 【通常作成】
ポイント

Q1〜Q4のいずれかに「はい」が付いた方は、書式より先に手続の順番がボトルネックになります。該当した項目の該当セクションから読み進めてください。すべて「いいえ」だった方は、次章のひな形入手から順に進めれば問題ありません。

公式ひな形は国税庁ではなく法務局が無償公開している

公式ひな形は国税庁ではなく法務局が無償公開している

遺産分割協議書の公式ひな形と記載例は、国税庁ではなく法務局のウェブサイトで無償公開されています。

「遺産分割協議書 ひな形 国税庁」と検索する方が多いのですが、国税庁が公開しているのは相続税の申告書様式で、協議書のひな形ではありません。法務局の「不動産登記の申請書様式について」(2026)によると、遺産分割協議に基づく相続登記の申請書様式・記載例と「相続登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)」が無償で公開されており、これが実質的な公式ひな形にあたります。

あわせて、法務局の法定相続情報証明制度(2025)によると、戸籍一式を法務局が確認したうえで交付する「法定相続情報一覧図の写し」は手数料無料(5年間再交付可)で、相続登記・預貯金の払戻し・相続税申告など各手続で戸籍謄本の束の代わりに使えます。提出先の数だけ取得しておけば、銀行・証券会社・税務署の手続を同時並行で進められます。

補足

ひな形は「埋めれば完成」ではありません。後述のとおり、提出先によって要求される記載の精度が異なるため、最も厳しい法務局基準で書いておくのが安全です。

遺産分割協議書の書き方5ステップ(そのまま使える文例つき)

表題・被相続人の特定→財産別の記載→特別条項→署名押印の順に埋めれば、実務水準の協議書になります。

遺産分割協議書に法律で決まった書式はありませんが、記載すべき要素は定型化されています。全体像は次のとおりです。

ステップ書く内容つまずきやすい点
1表題・前文で被相続人を特定本籍・最後の住所を戸籍どおりに
2不動産の記載住居表示ではなく登記記録どおりに
3預貯金・有価証券の記載口座番号・銘柄・株数まで特定
4代償分割・後日判明財産の条項「代償として」の文言漏れ
5締めの文言・日付・署名押印実印+印鑑証明書、複数ページは契印
  1. 表題と前文で被相続人を特定する:「遺産分割協議書」と表題を付け、被相続人の氏名・死亡日・本籍・最後の住所を戸籍謄本どおりに記載します。

被相続人 山田太郎(令和7年10月1日死亡)

本籍 東京都○○区○○一丁目2番地

最後の住所 東京都○○区○○一丁目2番3号

上記被相続人の遺産について、共同相続人の全員は、協議の結果、次のとおり遺産を分割することに合意した。

  1. 不動産は登記事項証明書のとおりに書く:郵便の住所(住居表示)ではなく、登記記録の「所在・地番・家屋番号」を一字一句そのまま転記します。一致しないと法務局で受理されない恐れがあります。

1.相続人 山田花子は、次の不動産を取得する。

【土地】所在 ○○区○○一丁目/地番 2番3/地目 宅地/地積 120.45平方メートル

【建物】所在 ○○区○○一丁目2番地3/家屋番号 2番3/種類 居宅/構造 木造スレート葺2階建/床面積 1階60.12平方メートル 2階55.30平方メートル

  1. 預貯金・有価証券は口座単位で特定する:「相続人 山田一郎は、○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 の預金を取得する」のように、金融機関名・支店名・科目・口座番号で書きます。株式は証券会社名・銘柄・株数まで記載すると確実です。
  1. 代償分割・後日判明財産の条項を入れる:自宅を1人が取得する代わりに他の相続人へ金銭を支払う場合は、「山田花子は、前記不動産を取得する代償として、山田一郎に対し金500万円を令和○年○月○日までに支払う」と代償金であることを明記します。この記載がないと、支払った金銭が贈与と扱われ贈与税の対象になる恐れがあるとされています。さらに「本協議書に記載のない遺産および後日判明した遺産は、相続人山田花子が取得する(または、相続人全員で別途協議する)」という条項を入れておくと、財産の書き漏らしが見つかっても協議書全体の作り直しを防げます。
  1. 締めの文言・日付・署名押印:「以上のとおり協議が成立したことを証するため、本書3通を作成し、各自署名押印のうえ各1通を保有する」と結び、作成日を入れ、各相続人が印鑑証明書の表記どおりの住所と氏名を書いて実印を押します。複数ページになる場合は、つなぎ目に相続人全員の実印で契印します。本文はパソコン作成で問題ありませんが、氏名は本人の自署が望ましいとされています。

数次相続の場合:「相続人兼被相続人」と書く

協議がまとまる前に相続人が亡くなった場合(数次相続)は、亡くなった相続人を前文で「相続人兼被相続人」と表記し、その方の相続人全員が地位を引き継いで協議に参加します。

被相続人 山田太郎(令和5年10月1日死亡)

相続人兼被相続人 山田一郎(令和6年3月1日死亡)

一次相続と二次相続で相続人の顔ぶれや分け方が異なる場合は、1通にまとめず相続ごとに協議書を分けて作成する方が、法務局・金融機関の確認が通りやすいとされています。数次相続は関係者が増えて記載も複雑になるため、不安があれば司法書士への相談をおすすめします。

提出先で要求される精度は違う:差し戻しポイント対照表

同じ協議書でも、法務局・銀行・証券会社・税務署では要求される記載の精度や運用が異なります。

確認項目法務局(相続登記)銀行・ゆうちょ銀行証券会社税務署(相続税申告)
被相続人・相続人の表記戸籍・登記記録どおりの一致が必要戸籍どおりが原則戸籍どおりが原則戸籍どおりが原則
不動産の記載登記事項証明書の所在・地番・家屋番号どおり必須(法務局の申請書様式・記載例に準拠)対象外対象外物件を特定できる記載が必要
預貯金・有価証券の記載対象外口座特定が原則だが、「その他一切の預貯金」の包括記載で通る場合がある(各行の相続手続案内による)証券会社名・銘柄・株数まで特定が確実財産ごとに取得者が分かる記載が必要
印鑑証明書の期限有効期限の定めはないとされる発行後3〜6か月以内を求める運用が多い発行後3〜6か月以内を求める運用が多い協議書に押印した実印の印鑑証明書を添付
法定相続情報一覧図での戸籍束の代替可(法務局 2025)可とされる可とされる可とされる

実務上のコツは2つです。第一に、登記に使う可能性が少しでもあれば、最初から最も厳しい法務局基準で書くこと。全提出先で同じ協議書を使い回せます。第二に、包括記載や原本還付の可否は金融機関ごとに運用が異なるため、書く前に各提出先の相続手続案内で確認することです。

注意

「銀行では通ったのに法務局で差し戻された」という事例の多くは、不動産の表記を住居表示で書いたことが原因とされています。登記事項証明書との突き合わせを省略しないでください。

認知症・未成年・海外在住:通常どおり署名できない相続人がいるとき

認知症・未成年・数次相続がある場合は先に家庭裁判所等の手続が必要で、協議開始まで2か月以上かかることがあります。

ケース必要な対応主な窓口
認知症などで判断能力に不安成年後見制度の利用を検討。選任前の署名押印は無効の恐れ家庭裁判所
未成年の子と親が両方相続人利益相反のため特別代理人の選任が必要(民法826条参照)家庭裁判所
海外在住で印鑑証明書が取れない署名証明(サイン証明)を取得現地の日本大使館・領事館
協議完了前に相続人が死亡(数次相続)「相続人兼被相続人」書式で、その方の相続人全員が参加
行方不明の相続人がいる不在者財産管理人の選任などを検討家庭裁判所
相続放棄をした人がいる初めから相続人でなかった扱いのため協議に参加させない放棄申述受理証明書で確認

特に注意したいのが認知症のケースです。意思能力を欠く状態での署名押印は後から無効と主張されるリスクがあるとされ、「とりあえず本人に署名してもらう」「家族が代筆する」対応は、無効主張や私文書偽造等の火種になります。成年後見人の選任には申立てから最低2か月程度かかるとされ、選任後も被後見人の法定相続分を確保する内容が原則求められるなど、分け方に制約が生じます。40〜60代で親の相続に直面する方が最もつまずきやすい分岐のため、該当しそうな場合は協議を始める前に司法書士・弁護士へ相談してください。

法定期限から逆算した作成スケジュール(チェックリスト)

相続放棄3か月・相続税10か月・登記3年・主張期限10年から逆算し、協議書は10か月以内の完成を目安にします。

期限手続起算点
3か月相続放棄・限定承認自己のために相続の開始があったことを知った時
4か月準確定申告相続開始を知った日の翌日
10か月相続税の申告・納付相続開始を知った日の翌日
3年相続登記(2024年4月より前の相続は2027年3月31日)取得を知った日
10年特別受益・寄与分の主張期限相続開始時

死亡直後〜3か月:遺言確認・戸籍収集・相続放棄の判断

  • [ ] 遺言書の有無を確認する(自筆証書遺言は法務局保管分を除き検認が必要)
  • [ ] 戸籍を広域交付でまとめて取得する。2024年3月開始の制度で、本籍地以外の市区町村窓口でも除籍・改製原戸籍まで一括取得できます。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系血族のみで、兄弟姉妹・代理人・郵送・オンラインは不可とされています
  • [ ] 借入金などマイナスの財産を調査し、相続放棄(原則3か月以内)を判断する

失敗ポイント: 借金の有無が不明なまま遺産を処分・取得すると、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなる恐れがあります(民法921条参照)。なお政府広報オンライン(2025)によると、2025年5月26日から戸籍に氏名のフリガナが記載され、本籍地の市区町村から通知が届いています。相続手続は戸籍どおりの氏名表記が前提のため、通知の確認もあわせて行ってください。

〜4か月:準確定申告・法定相続情報一覧図の作成

  • [ ] 被相続人の所得税の準確定申告を行う(相続開始を知った日の翌日から4か月以内)
  • [ ] 戸籍が揃い次第、法定相続情報一覧図を法務局で無料作成する(5年間再交付可)。戸籍束の返却待ちがなくなり、複数の提出先の手続を同時並行で進められます

〜10か月:財産目録の確定→協議→署名押印(実質的なゴール)

  • [ ] 登記事項証明書・残高証明書・課税明細書(名寄帳)で財産目録を確定し、全員が同じ情報を見て協議する
  • [ ] 協議書に署名押印し、確定させる
  • [ ] 葬儀費用などの当面の資金は、遺産分割前でも仮払い制度が使えます。民法909条の2により、1金融機関につき150万円と「預貯金額×1/3×法定相続分」のいずれか低い方まで単独で払戻しできるとされています

失敗ポイント: ここでのやり直しは課税リスクに直結します(次章)。なお国税庁の令和6年分相続税の申告事績の概要(2025)によると、課税割合は10.4%と過去最高です。「うちは関係ない」と決めつけず、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と遺産総額を比較してください。

〜3年(2024年4月以降の相続)/2027年3月31日(それ以前の相続):相続登記

  • [ ] 協議書と法定相続情報一覧図を添えて相続登記を申請する。法務省(2024)によると、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象とされています(相続人多数・遺産係争中・重病等は「正当な理由」として免除され得ます)

〜10年:特別受益・寄与分の主張期限

  • [ ] 法務省(2023)によると、相続開始から10年経過後は特別受益・寄与分の主張が原則できず、法定相続分によることになります。「そのうち話し合う」の放置は、主張できたはずの取り分を失う恐れがあります

やり直しは課税リスク:初回で「漏れ」と「曖昧さ」を潰す条項設計

署名押印後のやり直しは贈与税等の再課税リスクがあるため、初回で漏れと曖昧さを潰すことが最大の予防策です。

相続人全員が合意すれば協議のやり直し自体は可能と解されていますが、いったん有効に成立した分割をやり直して財産を移し替えると、贈与または譲渡として課税対象になり得るとされています。不動産では贈与税に加え、不動産取得税・登録免許税が改めてかかる恐れも指摘されています。「あとで調整すればいい」は税務上通用しにくいのが実情です。

予防策は次の5点です。

  1. 「本協議書に記載のない遺産・後日判明した遺産」の取得者を定める条項を必ず入れる(書き漏らし対策の要)
  2. 財産目録を別紙で作り、全員が同じ情報を見て合意する(情報格差は後日の不信の元です)
  3. 印鑑証明書は各手続の直前に取得する(金融機関は発行後3〜6か月以内を求めることが多いため)
  4. 相続税の申告期限までに分割がまとまらない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署へ提出し、配偶者の税額軽減等の特例適用の余地を残す
  5. 小規模宅地等の特例など税額に直結する分け方は、協議書に書く前に税理士へ確認する。二次相続まで見据えると、配偶者に集中させる分け方が総額で不利になる場合もあるとされています

やってはいけないNG対応:協議書を「使えない書面」にする8つの行為

認印での押印、一部の相続人を除いた協議、無断の代筆は、協議書を無効・差し戻しにする代表的なNGです。

  1. 認印・シャチハタで押す:登記・金融機関の実務は実印+印鑑証明書が前提です
  2. 一部の相続人を外して協議する:全員参加が要件で、見落とした相続人が判明すると原則やり直しです。前婚の子・代襲相続人は現在の戸籍だけでは見えないため、出生まで遡った戸籍で確認します
  3. 署名を代筆する:家族でも無断の代筆は私文書偽造等のリスクがあります
  4. 修正テープや塗りつぶしで直す:訂正は全員の実印による訂正印が正規の方法で、重要箇所なら作り直しが安全です
  5. 財産を開示せずに協議を進める:後から発覚すると協議の効力を争われる恐れがあります
  6. 「とりあえず長男名義」にする:分け直しの際に贈与税の問題が生じ得ます
  7. 白紙や内容未確定の書面に押印を集める:「聞いていない」トラブルの典型原因です
  8. 期限を放置する:放棄3か月・相続税10か月・登記3年の各期限から逆算して動きます

相談先は目的で選ぶ:司法書士・税理士・弁護士・行政書士の使い分け

相続登記は司法書士、相続税は税理士、相続人間に争いがあるなら弁護士と、課題ごとに相談先を選ぶのが基本です。

相談先得意分野費用の目安
司法書士相続登記・協議書作成・戸籍収集協議書+登記一式で5万〜15万円程度が目安とされる
税理士相続税申告・特例適用の判断遺産総額の0.5〜1%程度が目安とされる
弁護士相続人間の対立・調停・審判の代理経済的利益に応じた報酬体系が一般的
行政書士協議書作成・戸籍収集(登記申請・税務申告・紛争代理は不可)数万円程度から

分け方の合意自体ができない場合は、書き方の問題ではなく家庭裁判所の遺産分割調停を検討する段階です。紛争性のある案件は司法書士・行政書士では代理できないため、初めから弁護士に相談するのが近道です。各地の司法書士会・税理士会の無料相談会や、要件を満たす場合の法テラスで「自作で足りる案件か」を見極めるだけでも価値があります。

ポイント

5問診断でQ1〜Q4に「はい」が付いた、遺産に不動産が複数ある、相続人が5人以上いる、相続税申告が必要——いずれかに当てはまる場合は、自作にこだわらず専門家の関与を検討する目安とされています。

提出前チェックリスト:差し戻されない協議書の最終確認10項目

提出前に次の10項目を確認すれば、法務局・金融機関での差し戻しの多くは防げるとされています。

  • [ ] 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本がそろっている
  • [ ] 相続人全員(相続放棄した人を除く)が協議に参加している
  • [ ] 不動産は登記事項証明書の「所在・地番・家屋番号」と一字一句一致している
  • [ ] 預貯金は金融機関名・支店名・科目・口座番号まで特定している(包括記載を使う場合は提出先の運用を確認済み)
  • [ ] 代償分割がある場合、「代償として」の文言と支払期限を明記している
  • [ ] 「記載のない遺産・後日判明した遺産」の取得者を定める条項が入っている
  • [ ] 氏名は各相続人の自署、住所は印鑑証明書の表記どおりになっている
  • [ ] 押印はすべて実印で、全員分の印鑑証明書を添付している
  • [ ] 複数ページのつなぎ目に相続人全員の実印で契印している
  • [ ] 原本を相続人の人数分作成し、各自の保管分を決めている

1つでも自信がない項目があれば、提出前に司法書士へ書面チェックのみ依頼する方法もあります。作成をすべて任せるより費用を抑えられる場合があります。

まとめ:5問診断→戸籍集め→10か月以内の完成を目安に

遺産分割協議書は、相続人全員の合意・財産の特定・実印と印鑑証明書の3要件を満たせば自分で作成できる書面です。

今日から動くなら、次の3アクションです。

  1. 冒頭の5問診断で自分のルートを確認する(認知症・数次相続・10年経過に該当したら先に専門家へ)
  2. 広域交付で戸籍を最寄り窓口で一括取得し、法定相続情報一覧図を無料で作る
  3. 期限(放棄3か月・相続税10か月・登記3年/2027年3月31日・主張期限10年)をカレンダーに入れ、協議書は10か月以内の完成を目安に進める

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次に読むと、この記事の判断がしやすくなります。

よくある質問

遺産分割協議書のひな形は国税庁のサイトにありますか?

ありません。公式のひな形・記載例は法務局が「不動産登記の申請書様式について」(2026)で無償公開しており、「相続登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)」もあわせて入手できます。国税庁が公開しているのは相続税申告書の様式です。

遺産分割協議書は自分で作成できますか?

作成できるとされています。相続人全員の合意、財産の特定、実印押印+印鑑証明書の3要件を満たせば、自作の協議書でも登記や解約に使えます。ただし認知症の相続人がいる、数次相続にあたる、相続税申告が必要といった場合は、司法書士・税理士の関与が安全です。

手書きとパソコン作成のどちらでもよいですか?

どちらでも差し支えないとされています。本文はパソコン作成で問題ありませんが、氏名は各相続人の自署が望ましく、押印は実印である必要があります。用紙サイズにも決まりはなく、A4が一般的です。

相続人が遠方に住んでいる場合、全員が集まる必要はありますか?

必ずしも集まる必要はないとされています。同一の協議書を郵送で回して順に署名押印する方法のほか、相続人ごとに同じ内容の「遺産分割協議証明書」を作成して各自が署名押印し、全員分を合わせて1つの合意とする方法もあります。

銀行に出す協議書は「その他一切の預貯金」と書いても通りますか?

金融機関によっては包括記載で通る場合があるとされていますが、運用は各行の相続手続案内によります。相続登記など他の手続にも同じ協議書を使うなら、口座番号まで特定する法務局基準で書いておくのが安全です。

認知症の相続人がいる場合、家族が代わりに署名できますか?

できません。意思能力を欠く状態での署名押印や家族の代筆は、協議書が無効となる恐れがあるとされています。家庭裁判所への成年後見の申立てが必要で、実務解説では選任まで最低2か月程度かかるとされるため、早めに司法書士・弁護士へ相談してください。

一度成立した協議はやり直せますか?

全員が合意すれば再協議は可能と解されていますが、税務上は財産の再移転が贈与・譲渡として課税対象になり得るとされています。「後日判明財産条項」を入れて初回で確定させることが重要です。

遺産分割協議書はいつまでに作ればよいですか?

協議書自体に法定の提出期限はないとされていますが、相続税申告(10か月)・相続登記(3年、2024年4月より前の相続は2027年3月31日)・特別受益等の主張期限(10年)から逆算すると、実質的には10か月以内の完成が目安になります。

印鑑証明書に有効期限はありますか?

相続登記では有効期限の定めはないとされていますが、金融機関は発行後3〜6か月以内のものを求めることが多いです。各手続の直前に取得するのが確実です。

相続人が1人だけでも協議書は必要ですか?

不要とされています。相続人が1人なら分割協議の余地がなく、戸籍等で相続人であることを証明すれば、協議書なしで相続登記や預貯金の解約ができます。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案への当てはめは状況によって異なります。税制・法制度は改正されることがあるため、実際の手続きの際は法務局・法務省・国税庁の最新情報をご確認のうえ、司法書士・税理士・弁護士など専門家への相談をご検討ください。

最終確認日:2026年8月21日

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