相続税と節税

相続税の債務控除で葬式費用とは?控除できる範囲と税額が減る家庭の判定法

相続税の債務控除で差し引ける葬式費用とは何かを国税庁資料で整理。香典返し・墓石・法事など控除できないもの、位牌や交通費など判断が分かれる支出、相続放棄した人の扱い、負担者の決め方、税率別の節税額の目安が分かります。

相続税の債務控除で葬式費用とは?控除できる範囲と税額が減る家庭の判定法
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
  • 控除できる支出と、できない支出の区別(位牌・交通費なども含む)
  • 自分の家は、控除で税額が減るのか
  • 誰が負担した形にするかと、節税額の目安
注意

本記事は国税庁の公表資料(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月9日確認)にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士にご相談ください。

相続税の債務控除とは?葬式費用は「遺産の額」から差し引く

  1. 火葬・埋葬・納骨の費用(仮葬式と本葬式を行えば両方)
  2. 遺体や遺骨の回送費
  3. 葬式に際して施与した金品で、相当程度と認められるもの(お寺への読経料などのお礼)
  4. 通夜など、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うもの
  5. 死体の捜索、死体や遺骨の運搬の費用

控除で税額が減る家庭か?3問で判定する

控除で税額が減る家庭か?3問で判定する
  • 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数。子2人なら4,200万円です。出典:No.4152
  • 足し戻す暦年贈与は、相続開始日が2026年12月31日以前なら、相続開始前3年以内の分です(No.4102)。2027年以後の相続は期間が変わるため、No.4161で確認してください
  • いいえ → 控除しても税額は0円です。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って0円になる場合は、申告書の提出が必要です。出典:No.4124、出典:No.4158
  • はい → Q2へ
  • 相続人・包括受遺者 → Q3へ
  • 相続放棄した人・相続権を失った人 → 原則は控除できません。ただし、現実に葬式費用を負担した場合は、その負担額を「遺贈によって取得した財産の価額」から控除しても差し支えないとされています。遺贈で取得した財産がなければ引く先がありません。出典:相続税法基本通達13-1
  • 相続人でも包括受遺者でもない人 → 控除できません(No.4129)
  • はい → 負担額を控除できます。領収書を集め、協議書に負担者を書きます
  • いいえ → 取得財産を超える分は、その人からは引き切れません。扱いは後の「負担者」の章で確認します

控除できるもの・できないもの○×表

支出扱い根拠残す証拠
葬儀社の通夜・告別式費用○No.4129、通達13-4(1)(3)請求書・領収書
火葬料・遺体搬送費・納骨費用○No.4129、通達13-4(1)(4)領収書
お布施・読経料○(相当程度の額)No.4129、通達13-4(2)領収書。なければ日付・寺院名・金額のメモ
通夜・告別式の飲食代○(通常葬式に伴う範囲)通達13-4(3)。飲食代の名称は明記なし領収書
戒名料・心付け・会葬御礼(当日の返礼品)・喪主負担の供花△通達に名称なし13-4(2)(3)に当たるか個別判断日付・相手・金額のメモ、請求書の内訳
僧侶のお車代・タクシー代・遠方の親族の交通費△通達に名称なし13-4(2)(3)に当たるか個別判断日付・相手・金額・負担者の記録
位牌・仏壇・仏具の購入費△通達に名称なし13-4に当たるか個別判断。仏壇・仏具は非課税財産(No.4108)葬儀社の請求書と分けた領収書
香典返し×No.4129、通達13-5(1)―
墓石・墓地の購入費、墓地の借入料×No.4129、通達13-5(2)―
初七日・四十九日などの法会×No.4129、通達13-5(3)―
医学上・裁判上の特別の処置×通達13-5(4)―
生前に買った墓石の未払代金×(非課税財産の債務)No.4126、通達13-6―
未払いの医療費・介護費○債務No.4126(確実な未払金)請求書
準確定申告の所得税○債務No.4126(死亡時に確定していない税金)申告書・納付書
相続人の責任による延滞税・加算税×No.4126―
団信で返済が免除される住宅ローン×国税庁「誤りやすい事例⑬」完済通知
保証債務×原則不可通達14-3(1)―
横スクロールできます

香典・返礼品・位牌は相続税でどう扱う?

節税額の目安は「控除額×税率」

法定相続分に応ずる取得金額税率96.73万円控除時の目安150万円控除時の目安
1,000万円以下10%約9.7万円15.0万円
3,000万円以下15%約14.5万円22.5万円
5,000万円以下20%約19.3万円30.0万円
1億円以下30%約29.0万円45.0万円
2億円以下40%約38.7万円60.0万円
3億円以下45%約43.5万円67.5万円
6億円以下50%約48.4万円75.0万円
6億円超55%約53.2万円82.5万円
横スクロールできます

誰が負担するかで控除の効き方が変わる

計算例:遺産1億円・配偶者と子2人

負担した人相続税の総額子2人の税額合計
控除なし630万円315万円
配偶者615万円約310.6万円
長男615万円約304.4万円
横スクロールできます

葬儀直後のお金の流れと申告までの手順

時期お金の動き確認先
死亡〜葬儀葬儀社・お布施・火葬料の支払い領収書・メモを保管
口座凍結後遺産分割前の預金払戻し預金残高×1/3×法定相続分、1金融機関150万円まで(全国銀行協会)
葬儀後協会けんぽの埋葬料5万円の申請生計を維持されていた人が対象(協会けんぽ)
知った時から3か月以内相続放棄するかを決める家庭裁判所に申述(裁判所)
死亡を知った日の翌日から10か月以内相続税の申告・納税No.4205
横スクロールできます
  1. ○×表に支出・金額・支払った人を記入する
  2. 正味の遺産額と基礎控除を比べる
  3. 負担者を相続人どうしで決め、協議書に書く
  4. 申告書第13表(債務及び葬式費用の明細書)に記入し、税理士に確認してもらう

まとめ:基礎控除と比べてから、負担者と記録を決める

よくある質問

お布施の領収書がなくても控除できますか?

四十九日の費用は控除できますか?

控除すれば申告不要になりますか?

関連記事

相続税対策節税