小規模宅地等の特例とは、亡くなった方(被相続人)の自宅や事業用の土地について、相続税を計算する際の評価額を最大80%減額できる制度です。国税庁 タックスアンサーNo.4124(2025)によると、自宅の土地(特定居住用宅地等)は330㎡まで80%減額でき、たとえば評価額5,000万円の実家の土地なら1,000万円として相続税を計算できます。使えるかどうかで納税額は数百万円単位で変わります。
「うちは相続税に関係ない」が通用しにくくなっている点も、先にお伝えします。国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(2025年12月公表)によると、相続税の課税割合は10.4%と平成27年分以降で最高を更新し、申告があった被相続人は16万6,730人にのぼりました。約10人に1人の相続で申告が発生している計算で、都市部に実家がある家庭ほど他人事ではありません。
そして重要なのは、この特例が使えるかどうかは「親がどこに住んでいたか(自宅・老人ホーム・二世帯住宅)」と「実家をこれからどうするか(住む・貸す・売る)」の掛け合わせでほぼ決まるという点です。同じ実家でも、80%減になる家庭と、1円も減額できない家庭に分かれます。
そこでこの記事では、制度のあらましを最初の章で押さえたうえで、「わが家で使えるか」を現実の分岐で判定できるよう、次の4つを用意しました。
- 30秒でたどれる適用可否の診断チャート(配偶者・同居・別居・二世帯住宅・老人ホームの分岐を網羅)
- 戸建て・マンション別のビフォーアフター計算表(相続税額がいくら変わるか)
- 実家を売る予定の人向け空き家3,000万円特別控除との使い分け比較表
- 親が元気なうちにやっておく生前確認チェックリスト10項目
小規模宅地等の特例とは?わかりやすく言うと「実家の土地の課税評価を最大8割下げる制度」
小規模宅地等の特例とは、被相続人の居住用・事業用宅地の相続税評価額を、一定面積まで50%または80%減額できる制度です。
正式には「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」といい、租税特別措置法第69条の4に規定されています。国税庁 タックスアンサーNo.4124(2025)によると、対象となる宅地は用途によって4区分に分かれ、それぞれ限度面積と減額割合が定められています。
| 区分 | 主な用途 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 被相続人等の自宅の土地 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 個人事業(店舗・工場など)の土地 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 同族会社に貸していた事業用の土地 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 賃貸アパート・駐車場などの土地 | 200㎡ | 50% |
「土地の評価額そのものが下がる」のではなく、「相続税を計算するうえでの課税価格が減額される」制度です。売却時の価格や固定資産税には影響しません。
注意したいのは、この特例が自動的には適用されないという点です。遺産分割で取得者が確定し、必要書類を添えて申告して初めて適用されます。特例で税額がゼロになる場合でも相続税の申告書の提出が必要で、期限は原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
なお、貸付事業用宅地等には平成30年度税制改正による制限があり、相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた宅地は原則として対象外とされています(事業的規模で貸付を行っている場合の例外があります)。
また、2025年12月19日に公表された令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、貸付用不動産や不動産小口化商品を使った相続税対策に対する財産評価の見直しが盛り込まれました。一方で、小規模宅地等の特例そのものの適用要件を変える記載は大綱にはありません(2025年12月時点)。周辺制度が動いている分野のため、対策を実行する前には国税庁の最新情報の確認をおすすめします。
【診断チャート】あなたの実家に使えるか、4つの質問で判定

適用の可否は「誰が取得するか」でほぼ決まり、二世帯住宅の登記形態と老人ホーム入居がそれに続く分岐になります。
まず全体像を早見表で確認してください。
| 土地を取得する人 | 特例の可否 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 配偶者 | ○ 使える | 条件なし(取得するだけで適用可) |
| 同居していた親族 | ○ 使える | 申告期限(10か月)まで居住・保有を継続 |
| 別居の親族(持ち家なし=家なき子) | △ 条件付き | 配偶者・同居相続人がいない等の要件を満たせば可 |
| 別居の親族(持ち家あり) | × 原則使えない | ― |
そのうえで、次のチャートを上から順にたどってください。出口は「80%減が可能」「適用不可」「生前対策で可能に」の3種類です。
Q1. 実家の土地を誰が取得する予定ですか?
- 配偶者 → 80%減が可能。居住・保有の継続要件なしで適用できます(二世帯住宅ならQ3、老人ホーム入居中ならQ4も確認)
- 同居していた親族 → 申告期限(10か月)までその家に住み続け、所有し続けますか? はい→80%減が可能(Q3・Q4も確認)/いいえ→適用不可
- 別居の親族 → Q2へ
Q2. 「家なき子」の要件をすべて満たしますか?(被相続人に配偶者・同居相続人がいないことが前提)
- 相続開始前3年以内に、自分・配偶者・3親等内の親族・特別な関係のある法人の持ち家に住んだことがない
- 相続開始時に住んでいる家を、過去に自分が所有したことがない
→ すべて満たす→80%減が可能/1つでも満たさない→適用不可(ただし取得者を変えると使える場合があります)。なお、この要件は平成30年の税制改正で厳格化されており、古い情報での判断は禁物です。
Q3. 実家が二世帯住宅の場合:建物を区分所有登記していますか?(法務局の登記事項証明書で確認できます)
- していない(1棟の建物として登記)→ 敷地全体に適用できる可能性があります
- している → 同居と認められず適用が大きく制限されます → 生前対策で可能に(名義変更や区分合併登記による解消を司法書士に相談。詳細は後述)
Q4. 親が老人ホームに入居中(または入居予定)の場合
- 要介護・要支援認定等を受けて入居し、空いた実家を賃貸に出していない → 適用の可能性が残ります
- 認定を受けずに入居している/実家を貸している → 適用不可のおそれ(入居前の認定取得と実家の扱いが生前対策になります)
早見表で「×」でも、取得者を変えれば「○」になることがあります。賃貸住まいの子が取得すれば使えたのに、持ち家のある子が取得したため使えなかった、というのは典型的な取りこぼしです。誰が取得するかは税額を見比べてから決めるのが得策です。
【計算表】戸建て実家でいくら変わるか:評価7,200万円→1,440万円
路線価24万円/㎡・300㎡の実家なら評価額は5,760万円下がり、相続税は概算で770万円→約4万円まで変わります。
| 項目 | 特例なし | 特例あり |
|---|---|---|
| 実家の土地の評価額(路線価24万円/㎡×300㎡) | 7,200万円 | 1,440万円(▲5,760万円) |
| 遺産総額(土地以外を含め1億円の前提) | 1億円 | 4,240万円 |
| 基礎控除(法定相続人は子2人) | 4,200万円 | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 5,800万円 | 40万円 |
| 相続税額の概算(法定相続分で取得した場合) | 約770万円 | 約4万円 |
※税額は配偶者の税額軽減などの各種控除を考慮しない概算です。実際の税額は財産構成や分割内容で変わります。
300㎡は限度面積330㎡の枠内なので、全面積が80%減額の対象になります。仮に郊外の実家が400㎡なら330㎡までが対象で、減額分は「評価額×330㎡/400㎡×80%」として計算し、残りの70㎡分は通常評価のまま課税価格に算入されます。
減額されるのは「宅地等(土地や借地権)」であり、建物は対象外です。建物は固定資産税評価額で別途評価されます。
小規模宅地等の特例とはマンションではどう効く?2024年新評価ルールとの関係
マンションの敷地権は330㎡の枠に収まりやすく、2024年に評価が引き上げられた分も特例が使えれば大きく軽減できます。
2024年1月以降の相続・贈与から、マンションの相続税評価には区分所有補正率(築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4要素で計算。国税庁 タックスアンサーNo.4667)が導入され、市場価格との乖離が大きい物件(評価水準0.6未満)は評価額が引き上げられました。タワーマンションを中心に「思ったより評価が高い」ケースが増えています。
一方で、マンションの土地部分(敷地権)にも小規模宅地等の特例は適用できます。国税庁資産評価企画官「居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A」(2024)でも、新評価ルールと特例の関係が整理されています。計算の流れを例で示します。
| 手順 | 計算のしかた | 金額の例 |
|---|---|---|
| ① 敷地全体の相続税評価額 | 路線価×マンション敷地全体の面積 | 4億円 |
| ② 敷地権割合をかける | 4億円×1/50 | 800万円 |
| ③ 区分所有補正率をかける(2024年〜) | 800万円×補正率1.5の例 | 1,200万円 |
| ④ 特例で80%減額(330㎡以内) | 1,200万円×(1−0.8) | 240万円 |
1戸あたりの敷地権に対応する面積は数十㎡程度に収まることが多く、330㎡の枠内で全面積が80%減になりやすいのがマンションの特徴です。新ルールで評価が上がっても、特例が使えれば土地部分の負担増はかなり吸収できます。
特例が使えるのは、あくまで取得者要件を満たす場合です。被相続人が住まず空室にしていた部屋や、生計を別にする子や孫が住んでいた部屋は特定居住用宅地等に当たらず、評価引き上げの影響を正面から受けます。賃貸に出していた場合は貸付事業用宅地等(200㎡・50%減)の検討になります。
【比較表】実家を売る予定なら:申告期限前の売却で80%減が消える
配偶者以外が取得した実家は申告期限前に売ると特例が使えず、売却時は空き家3,000万円特別控除との使い分けが要点です。
同居親族や「家なき子」が特例を使う場合、申告期限(10か月)まで宅地を保有し続けることが要件です(配偶者には保有継続の要件がありません)。「相続してすぐ買い手が見つかったので売却した」というだけで、80%減がまるごと使えなくなるおそれがあります。売却を急ぐ事情がある場合も、契約・引き渡しの時期を申告期限の後に設定できないか、まず検討してください。
一方、相続した空き家を売る場合には、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」(いわゆる空き家特例)という別の制度もあります。2つは減らせる税金が異なるため、比較して使い分けます。
| 比較項目 | 小規模宅地等の特例 | 空き家3,000万円特別控除 |
|---|---|---|
| 減らせる税金 | 相続税 | 売却時の譲渡所得税 |
| 効果 | 土地の評価額を80%減額(330㎡まで) | 譲渡所得から最大3,000万円を控除 |
| 売却タイミングの制約 | 配偶者以外は申告期限(10か月)まで保有が必要 | 相続開始から3年目の年末までに譲渡する等の要件 |
| 主な適用要件 | 取得者ごとの要件+相続税の申告 | 被相続人が一人で living...(旧耐震期に建てられた家屋の耐震改修・取り壊し等の要件) |
| 併用 | 要件を満たせば併用できる場合がある | 同左 |
| 向いているケース | 相続税が発生する人 | 相続税がかからず売却益が大きい人 |
目安として、相続税が出る家庭は小規模宅地等の特例を優先(申告期限まで売らない)、相続税がゼロで売却益が大きい家庭は空き家特例を軸に検討する、という整理になります。両制度の併用可否や有利判定は家屋の状態・居住実態など個別性が高いため、売却前提の相続では売買契約の前に税理士へ相談することを強くおすすめします。
上位の解説で見落とされがちな3つの実務ポイント
登記の形・遺産分割の進み具合・土地の組み合わせという「現実の事情」で、実際の税額は大きく変わります。
二世帯住宅は「区分所有登記」かどうかだけで税額が数百万円変わることがある
同じ建物・同じ同居の実態でも、建物を親世帯と子世帯で区分所有登記しているかどうかだけで特例の可否が分かれ、税額が数百万円単位で変わるケースが税理士事務所の解説でも紹介されています。
重要なのは、これが生前なら解消できることです。持分の名義変更や区分建物の合併登記によって1棟の登記にまとめれば、敷地全体に特例を適用できる可能性が生まれます。登記費用や贈与税の扱いが絡むため、司法書士・税理士に早めに相談してください。まずは法務局で登記事項証明書を取り、現在の登記形態を確認するのが第一歩です。
遺産分割が10か月に間に合わなくても「分割見込書」で後から取り戻せる
特例は取得者が確定して初めて適用できるため、申告期限(10か月)までに遺産分割がまとまらないと、いったんは特例なしの税額を納めることになります。ただし国税庁 タックスアンサーNo.4208(2025)によると、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、その後3年以内に分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求を行うことで、特例を適用した税額との差額の還付を受けられます。
兄弟姉妹の間で実家の扱いが揉めやすい世代にとって、これは最後の安全網です。逆にいえば、分割見込書を出し忘れると救済が受けられないおそれがあるほか、当初の納税資金は現金で用意する必要があります。分割協議が長引きそうな場合こそ、期限前に税理士へ相談してください。
土地が複数あるなら「㎡単価×減額割合」で有利選択する
自宅と貸駐車場など複数の宅地がある場合、どの土地に特例を使うかは選択制です。国税庁 タックスアンサーNo.4124(2025)によると、貸付事業用宅地等を含めて併用する場合は「特定事業用×200/400+特定居住用×200/330+貸付事業用≦200㎡」という限度面積の調整式で枠を配分します。
有利選択の考え方はシンプルで、1㎡あたり評価額×減額割合が大きい土地から枠を使うのが基本です。たとえば自宅(㎡単価20万円×80%=16万円/㎡)と貸駐車場(㎡単価30万円×50%=15万円/㎡)なら、単価は駐車場のほうが高くても減額効果は自宅が上になります。調整式が絡む試算は複雑なため、複数の土地がある方は税理士への依頼を前提に考えるのが安全です。
【チェックリスト】親が元気なうちに確認したい10項目
特例の可否は相続発生時には動かせない事情で決まることが多く、生前の確認こそ最も効果の大きい対策です。
- [ ] ① 二世帯住宅の登記形態を確認する:登記事項証明書で区分所有登記の有無を確認。該当すれば名義変更・区分合併登記を検討(前章参照)
- [ ] ② 老人ホーム入居前に要介護・要支援認定を受ける:認定を受けずに入居すると適用できないおそれがあります(国税庁 タックスアンサーNo.4124)
- [ ] ③ 入居後の実家を賃貸に出さない:貸すと居住用としての特例対象から外れます
- [ ] ④ 別居の子の持ち家状況を確認する:家なき子要件は「3年以内の持ち家居住なし」等が条件。誰が取得するかの検討材料になります
- [ ] ⑤ 土地を貸す予定があるなら早めに始める:相続開始前3年以内の貸付開始は原則対象外です(平成30年度税制改正)
- [ ] ⑥ 遺言書または分割方針を家族で共有する:未分割だと期限時点で特例を使えません。「分割見込書」の存在も知っておく(国税庁 タックスアンサーNo.4208)
- [ ] ⑦ 戸籍の附票・住民票など添付書類の所在を確認する:家なき子の適用では賃貸借契約書など持ち家がないことを示す書類も必要とされます
- [ ] ⑧ 土地が複数ある場合は有利選択を試算する:㎡単価×減額割合で比較します(前章参照)
- [ ] ⑨ 「税額0円でも申告必須」を家族で共有する:無申告のまま期限を過ぎるのが典型的な失敗です
- [ ] ⑩ 売却予定の有無を先に話し合う:配偶者以外が取得して申告期限前に売ると特例が使えません。空き家3,000万円特別控除との使い分けも含め、売る順番を設計します
適用までの5ステップ(申告期限10か月から逆算)
実際の手続きは「要件確認→遺産分割→書類準備→期限内申告」の流れで、10か月の期限からの逆算が重要です。
- 相続財産と宅地の利用状況を把握する:固定資産税の課税明細書や登記事項証明書で面積・名義・利用区分を確認します
- 取得者ごとの要件を確認する:本記事の診断チャートで大枠を判定し、微妙なケースは税理士に確認します
- 遺産分割協議をまとめる:特例は取得者が決まらないと適用できません。間に合わない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を忘れずに提出します
- 必要書類をそろえる:相続税申告書(第11・11の2表の付表1)、戸籍関係書類、遺産分割協議書の写し、印鑑証明書など。家なき子の場合は持ち家がないことを示す書類も必要とされます
- 期限内に税務署へ申告する:相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。税額がゼロでも申告が必要です
必要書類や様式は改正で変わることがあります。最新の要件は国税庁のタックスアンサーNo.4124で確認するか、相続税に詳しい税理士に依頼してください。「同居の実態」が住民票だけの形式的なものだと、税務調査で適用を否認されるリスクも指摘されています。
基礎控除・配偶者の税額軽減との違い
本特例は「土地の課税価格」を減らす制度で、基礎控除や配偶者の税額軽減とは効く階層が異なり、併用できます。
| 制度 | 何が減るか | 主な条件 |
|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 土地の課税価格(50〜80%減) | 取得者要件+継続要件+申告 |
| 基礎控除 | 課税対象となる遺産総額 | 条件なし(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者の相続税額 | 1億6,000万円か法定相続分まで・申告必要 |
注意したいのは配偶者への寄せすぎです。一次相続で配偶者の税額軽減と本特例を使い切る配分にすると、二次相続(残された配偶者が亡くなったとき)で税負担が重くなる場合があります。一次・二次を通算した設計は税理士との相談をおすすめします。
まとめ:確認すべきは「登記・取得者・期限」の3点
小規模宅地等の特例とは、自宅の土地なら330㎡まで評価額を80%減額できる、相続税で最も効果の大きい制度の一つです。
- 課税割合は10.4%と平成27年分以降で最高。「うちは関係ない」と言い切れない世帯が増えています
- 使えるかどうかは「誰が取得するか」×「親がどこに住んでいたか」が最大の分岐。診断チャートで確認を
- 二世帯住宅の区分所有登記と老人ホーム入居前の要介護認定は、生前にしか対策できない代表例
- 売る予定なら要注意。配偶者以外は申告期限(10か月)まで保有が要件で、空き家3,000万円特別控除との使い分けも検討します
- 税額ゼロでも10か月以内の申告が必須。分割が間に合わなければ分割見込書で救済があります
- マンションは2024年新ルールで評価が上がった分こそ、特例の可否が税額に効きます
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の税務判断を行うものではありません。税制は改正される可能性があるため、実際の適用にあたっては国税庁の最新情報を確認のうえ、相続税に詳しい税理士や司法書士(登記関係)への相談をおすすめします。
よくある質問
Q1. 特例を使えば相続税がゼロになる場合、申告しなくてもよいですか?
A. いいえ、申告が必要です。この特例は申告書の提出を条件に適用されるとされており、無申告のままでは特例自体が認められません。「特例適用でゼロ」と「もともと基礎控除以下でゼロ」は扱いが異なるため、迷ったら税務署か税理士に確認してください。
Q2. 親が老人ホームに入居したまま亡くなった場合、空き家の実家にも使えますか?
A. 条件を満たせば使えるとされています。被相続人が要介護・要支援認定等を受けて入居していたこと、空いた自宅を他人に貸したり事業に使ったりしていないことが主な要件です。認定を受けずに入居していた場合は適用できないおそれがあるため、入居時の状況を確認しましょう。
Q3. 二世帯住宅でも「同居」として特例を使えますか?
A. 登記が分かれ目です。玄関が別々の完全分離型でも、1棟の建物として登記されていれば敷地全体に適用できる可能性があります。区分所有登記をしている場合は適用が大きく制限されるため、生前の登記解消(名義変更・区分合併登記)も含めて司法書士・税理士に相談してください。
Q4. 相続した実家をすぐに売りたい場合、特例は使えますか?
A. 取得者によります。配偶者が取得した場合は保有継続の要件がないため、申告期限前に売却しても適用できるとされています。同居親族や「家なき子」が取得した場合は申告期限(10か月)までの保有継続が要件のため、期限前の売却で特例が使えなくなります。売却益が大きい場合は空き家3,000万円特別控除との使い分けも含め、売買契約の前に税理士へ相談してください。
Q5. 申告期限までに遺産分割がまとまりません。特例は諦めるしかないですか?
A. 諦める必要はありません。国税庁 タックスアンサーNo.4208(2025)によると、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付していったん特例なしで申告・納税し、分割成立後4か月以内に更正の請求を行えば、差額の還付を受けられます。ただし当初の納税資金は必要になるため、資金繰りも含めて早めに税理士へ相談してください。
Q6. マンションを賃貸に出していた場合や空室の場合はどうなりますか?
A. 賃貸中の部屋は貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減)の検討対象になりますが、相続開始前3年以内に貸し始めた場合は原則対象外です。誰も住んでいない空室や、生計を別にする子・孫が住んでいた部屋は特定居住用宅地等の対象になりません。2024年以降は区分所有補正率で評価額が上がりやすいため、該当する方は早めに専門家へ相談してください。
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※本記事の内容は執筆時点の法令・公表情報に基づいています。最終確認日:2026年8月15日




