準確定申告のやり方|4ヶ月以内に相続人が行う5ステップと必要書類
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準確定申告のやり方|4ヶ月以内に相続人が行う5ステップと必要書類

親御さんを亡くされ、相続手続きに追われる中で「準確定申告」という言葉を初めて知った方も多いのではないでしょうか。準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告・納税する手続きです。最大の注意点は期限で、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」に行う必要があるとされています(国税庁タックスアンサーNo.2022)。

やり方の全体像は、①申告が必要か確認 → ②必要書類を集める → ③申告書と付表を作成 → ④税務署へ提出 → ⑤納税または還付、の5ステップです。以下、相続に直面した40〜60代の方が迷わず進められるよう、順を追って丁寧に解説します。

注意

税制や手続きは改正されることがあります。本記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は最新の国税庁情報を確認のうえ、税理士など専門家にご相談ください。

準確定申告のやり方は?全体の流れを5ステップで解説

準確定申告は「申告要否の確認→書類収集→申告書作成→提出→納税・還付」の5ステップで進み、期限は死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内とされています。まず全体像をつかむことが、限られた時間で確実に終える近道です。

ステップやること目安時間
①要否確認故人に申告義務・還付があるか確認半日
②書類収集源泉徴収票・控除証明書などを集める1〜3週間
③書類作成確定申告書+付表を作成1〜2日
④提出故人の納税地の税務署へ1日
⑤納税・還付各相続人が按分して納付/還付受取手続き後数週間

最も時間がかかるのは②の書類収集です。死亡後は源泉徴収票や控除証明書の再発行に日数を要するため、49日法要などで慌ただしい時期でも、早めに請求だけは済ませておくと安心です。

ポイント

4ヶ月の期限は「亡くなった日」ではなく「相続の開始があったことを知った日の翌日」から数えます。書類集めに最も時間がかかるため、期限から逆算して2ヶ月前には着手したいところです。

そもそも準確定申告とは?通常の確定申告と何が違うのか

そもそも準確定申告とは?通常の確定申告と何が違うのか

準確定申告は、亡くなった方の所得税を相続人が精算する手続きで、対象期間が「1月1日〜死亡日」である点と、期限が4ヶ月である点が通常の確定申告と大きく異なります。申告先も故人の死亡当時の納税地(住所地)の税務署です。

通常の確定申告との主な違い

準確定申告は「申告する人」「対象期間」「期限」「必要書類」の4点で通常と異なります。特に付表という専用書類が必要になる点が特徴です。

比較項目通常の確定申告準確定申告
申告する人本人相続人(全員)
対象期間1月1日〜12月31日1月1日〜死亡日
期限原則翌年3月15日相続開始を知った翌日から4ヶ月以内
提出先本人の住所地の税務署故人の死亡時の納税地の税務署
追加書類なし付表(相続人の代表者指定届出書)

準確定申告が必要な人・不要な人

故人が事業や不動産、一定額以上の年金収入を得ていた場合は申告が必要になりやすく、年金のみで少額なら不要なことが多いとされています。

申告が必要になりやすいケース

  • 個人事業主・フリーランス(事業所得があった)
  • 家賃収入など不動産所得があった
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた
  • 給与収入が2,000万円を超えていた
  • 2か所以上から給与を受けていた
  • 亡くなる直前に不動産・株式を売却した(譲渡所得)

不要なことが多いケース

  • 公的年金等が400万円以下、かつその他の所得が20万円以下
  • 給与1か所のみで年末調整が済んでいた

申告義務がなくても「還付申告」で戻ることがある

義務がなくても、源泉徴収された所得税が医療費控除などで戻る場合は還付申告ができます。年金から天引きされていた方は確認する価値があります。

補足

亡くなる年に高額な医療費がかかった年金受給者は、申告義務がなくても医療費控除・生命保険料控除の適用で所得税が還付されるケースがあります。「義務がない=やらなくていい」ではなく、戻る可能性も一度確認しましょう。

準確定申告を始める前に|準備するもの・必要書類

必要書類は「故人の所得を証明する書類」と「相続人側の書類」の2種類に大別され、源泉徴収票と各種控除証明書が揃えば作成の8割は完了します。再発行に時間がかかるため、早めの請求が重要です。

故人(被相続人)に関する書類

所得と控除を証明する書類が中心です。死亡日までに支払った分が対象になる点を意識して集めます。

  • 年金・給与の源泉徴収票
  • 生命保険料・地震保険料・社会保険料などの控除証明書
  • 医療費の領収書(死亡日までに支払ったもの)
  • 事業・不動産がある場合は帳簿や収支内訳書
  • 不動産・株式を売却していれば売買契約書など

相続人に関する書類

申告する相続人側の本人確認と、還付金の受取口座がわかるものを準備します。

  • 相続人全員のマイナンバーがわかるもの・本人確認書類
  • 還付金の受取口座情報
  • 代表者がまとめて還付を受ける場合は委任状
ポイント

医療費の領収書は「死亡日まで」に支払った分のみが故人の準確定申告の対象です。死亡後に届いた請求を相続人が支払った分は扱いが変わるため、支払日を必ず控えておきましょう。

準確定申告のやり方|手順を5ステップで詳しく解説

ここからは実際の手順を、確定申告書と「付表」の作成を中心に5ステップで具体的に説明します。付表とは相続人全員の情報と納付・還付の按分を記す準確定申告特有の書類です。

  1. 申告義務・還付の有無を確認する — 故人の所得の種類(年金・事業・不動産・譲渡など)を洗い出します。源泉徴収されているなら還付の可能性もあります。
  2. 必要書類を集める — 勤務先・年金事務所・保険会社へ再発行を依頼します。ここが最も時間を要する工程です。
  3. 確定申告書(第一表・第二表)を作成する — 通常の様式を使い、標題に「準確定」と記載します。対象は1月1日〜死亡日の所得です。
  4. 付表を作成する — 相続人全員の氏名・住所・マイナンバー・相続分、按分した納付額または還付額を記入し、原則として全員が連署します。争いがある場合などは各人が別々に提出することも可能とされています(その際は他の相続人の氏名を付記)。
  5. 税務署へ提出し、納税・還付を受ける — 故人の死亡当時の納税地の税務署へ提出します。納税は各相続人が相続分に応じて負担し、還付は指定口座に振り込まれます。
補足

準確定申告書は専用様式ではなく、通常の確定申告書を流用して作成するのが一般的です。国税庁の様式に「準確定」と明記し、付表を添付する形になります。書き方に迷ったら税務署の相談窓口も利用できます。

つまずきやすいポイントと対処法

最もつまずきやすいのは控除の判定時期複数相続人の署名・按分で、判定日を誤ると控除額が変わってしまいます。ここでは代表的な落とし穴と対処法を整理します。

控除は「いつ時点」で判定するかに注意

医療費や保険料は「死亡日までに支払った額」が対象で、配偶者控除・扶養控除は死亡日の現況で判定するとされています。支払日を取り違えると控除額がずれます。死亡後に相続人が支払った医療費は故人の準確定申告の対象外ですが、生計を一にしていた相続人自身の確定申告で医療費控除にできる場合があります。

相続人が複数いる場合の署名と按分

相続人が2人以上いる場合、原則として全員が申告義務者です。付表で相続分に応じて納付・還付額を按分し、連署します。遺産分割でもめている場合は各自提出も可能ですが、按分の記載ミスが起きやすいため注意が必要です。

消費税の準確定申告を忘れがち

故人が課税事業者だった個人事業主の場合、所得税だけでなく消費税の準確定申告も原則4ヶ月以内に必要とされています。所得税だけで完了したと思い込まないよう気をつけましょう。

注意

「うちは年金だけだから関係ない」と思っていても、賃貸物件や投資、事業を営んでいたケースは少なくありません。故人の通帳や郵便物から収入源を洗い出し、判断に迷ったら早めに税理士へ相談してください。

準確定申告を効率化するコツは?e-Taxと専門家活用

準確定申告はe-Taxでの電子申告に一部対応しており、複雑なケースは税理士に依頼することで期限内提出とミスの防止を両立できます。手間と費用のバランスで選ぶのがコツです。

単純なケースは自分で、複雑なら専門家へ

年金と控除程度の単純な還付申告なら自分でも対応しやすい一方、事業・不動産・譲渡・消費税が絡む場合は税理士への依頼が現実的です。判断軸は「所得の種類の多さ」と考えると分かりやすいです。

状況おすすめの進め方
年金のみ・還付狙い自分で申告(税務署相談も活用)
給与+医療費控除自分で申告も可能
事業・不動産所得あり税理士への依頼が安心
消費税・譲渡が絡む税理士への依頼を推奨

税理士報酬の目安は内容により5万〜15万円程度とされますが、事務所や難易度で変動します。相続税申告とあわせて依頼すると全体を一括で任せられます。

補足

年金事務所や保険会社への再発行依頼は、電話で必要書類をまとめて確認し一度に請求すると効率的です。書類の往復回数を減らすことが、4ヶ月という短い期限では大きな時短につながります。

準確定申告の注意点・リスク

準確定申告を怠ると無申告加算税や延滞税が課される可能性があり、還付金は相続財産として相続税の対象になる点にも注意が必要です。期限管理とお金の扱いが二大リスクです。

  • 期限を過ぎると加算税・延滞税 — 納税が必要なのに期限後に申告すると、無申告加算税(原則15〜20%程度)や延滞税が加わる可能性があります。
  • 還付金は相続財産 — 準確定申告で戻る還付金は相続財産に含まれ、相続税の課税対象かつ遺産分割の対象になるとされています。
  • 納付した所得税は債務控除の対象になりうる — 故人が納めるべき所得税は、相続税の計算上、債務として控除できる場合があります。
  • 相続放棄した人は申告義務なし — 相続放棄をするとその人は相続人でなくなるため、準確定申告の義務も原則負いません。
注意

税・相続は個別事情で結論が大きく変わるYMYL分野です。本記事の内容だけで最終判断せず、必ず国税庁の最新情報を確認し、税理士・司法書士など専門家に相談したうえで手続きを進めてください。

具体例・ケーススタディで見る準確定申告

実際のケースでは、年金受給者は還付、個人事業主は納付+消費税申告というように故人の所得の種類で必要な対応が大きく変わります。3つの典型例で確認しましょう。

ケース1:年金受給の父・医療費が多額(還付)

年金から所得税が源泉徴収されており、亡くなる年に入院で医療費がかさんだケースです。医療費控除を適用した準確定申告(還付申告)により、天引きされていた所得税が戻る可能性があります。義務はなくても実施する価値があります。

ケース2:個人事業主の母・課税事業者(納付+消費税)

事業所得がある課税事業者だった場合、所得税の準確定申告に加え、消費税の準確定申告も4ヶ月以内に必要とされています。納税額は相続人が相続分に応じて按分して負担します。書類も帳簿・収支内訳書が必要で、税理士への依頼が現実的です。

ケース3:賃貸アパート経営の父・不動産所得

1月1日から死亡日までの家賃収入と必要経費を集計します。青色申告をしていれば要件次第で青色申告特別控除を適用できる場合があります。事業を承継する相続人は、別途開業届などの手続きも検討が必要です。

まとめ

準確定申告の要否と手間は「故人がどんな収入を得ていたか」で決まります。まず所得の種類を洗い出し、還付狙いか納付ありかを見極めることが、最短で終える第一歩です。

よくある質問

Q1. 準確定申告は誰が行うのですか? A. 相続人全員が行います。実務では代表者を決め、付表に相続人全員を記載して連署するのが一般的です。相続放棄をした人は原則対象外となります。

Q2. 準確定申告をしないとどうなりますか? A. 納税が必要な場合は無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。逆に還付が受けられるケースでは、申告しないと戻るはずのお金を受け取れません。

Q3. 準確定申告は自分でもできますか? A. 年金と控除程度の単純なケースは自分でも対応しやすいとされています。事業・不動産・譲渡・消費税が絡む場合は、期限内の正確な申告のため税理士への依頼が安心です。

Q4. 準確定申告の期限は延長できますか? A. 原則として「相続開始を知った翌日から4ヶ月以内」で、延長は難しいとされています。相続人ごとに知った日が異なる場合は、各人ごとに起算日を数える点に注意が必要です。

Q5. 準確定申告と相続税申告は何が違いますか? A. 準確定申告は故人の「所得税」を精算する手続き(期限4ヶ月)、相続税申告は相続した「財産」に対する課税手続き(期限10ヶ月)で、まったく別の申告です。両方が必要になる場合もあります。

まとめ

まずは①4ヶ月の期限を確認し、②故人の所得の種類を洗い出し、③源泉徴収票や控除証明書を早めに請求する——この3点から着手すれば、限られた時間でも準確定申告を落ち着いて進められます。判断に迷う点は、早い段階で税理士に相談することをおすすめします。

※本記事の最終確認日:2026年7月15日。記載内容は国税庁タックスアンサーNo.2022などの一般的な情報を基にしています。税制・手続きは変更される場合があるため、最新情報は国税庁ウェブサイトでご確認のうえ、個別の判断は税理士・司法書士など専門家にご相談ください。

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