まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 登記名義人が誰か(親名義か、祖父名義のままの数次相続か)
- 土地の固定資産税評価額が100万円以下か(超えるか、以下か)
- 3年以内に遺産分割がまとまるか(まとまらないなら数百円の相続人申告登記という道があります)
わが家の名義変更コスト判定チャート|4つの質問で総額が決まります
Q1. 登記簿上の名義人は誰ですか?
| 回答 | 進む先 | この時点で分かること |
|---|---|---|
| 亡くなった親本人 | Q2へ(通常ルート) | 申請は1件。標準的な費用感 |
| 祖父・曾祖父など前の世代 | Q2へ(数次相続ルート) | 世代分の登記が必要になる可能性。費用が跳ねる分岐 |
| そもそも把握できていない | まず調査 | 2026年2月2日開始の所有不動産記録証明制度で、被相続人名義の不動産を全国横断で一覧化できます(書面1,600円/オンライン請求・送付1,500円/オンライン請求・窓口交付1,470円。法務局・2026年) |
Q2. 数次相続の場合、中間の相続人は1人ですか?
| 回答 | 登録免許税の扱い | 費用インパクト |
|---|---|---|
| 中間が単独相続(1人) | 中間省略登記が認められ、祖父から現在の相続人へ1件でまとめられることがあります | 登録免許税は1回分に圧縮 |
| 中間の相続人が複数 | 祖父→父、父→自分の2件の申請。遺産分割協議書も世代分必要 | 登録免許税・報酬とも実質2倍 |
| 相続で土地を取得した人が、登記をしないまま死亡した | 租税特別措置法84条の2の2第1項により、その相続人名義への移転登記が免税 | 該当すれば中間分が0円 |
Q3. 土地の固定資産税評価額は100万円以下ですか?
| 回答 | 登録免許税 | 必須の手続 |
|---|---|---|
| 100万円以下 | 0円(租税特別措置法84条の2の2第2項) | 申請書に根拠条項の記載が必須。書かなければ免税は受けられません |
| 100万円超 | 評価額×0.4% | 通常どおり納付 |
Q4. 3年以内に遺産分割がまとまりそうですか?
| 回答 | 取るべきルート | 費用 |
|---|---|---|
| まとまる | 通常の相続登記(Q1〜Q3で確定した金額) | 判定チャートの金額 |
| まとまらない・見通しが立たない | 相続人申告登記で義務だけ先に履行 | 登録免許税0円。実費(戸籍・住民票)のみで数百円〜数千円 |
| 判定結果 | 使う制度 | 自分で申請した場合の概算総額 |
|---|---|---|
| 親名義・土地100万円以下・建物なし | 84条の2の2第2項 | 約3,000〜6,000円(実費のみ) |
| 親名義・土地100万円以下+建物あり | 同上+建物分は課税 | 約1万円前後 |
| 親名義・評価額1,000万円 | 通常課税 | 約4.5万円 |
| 祖父名義・中間が単独相続 | 中間省略登記 | 通常ルートとほぼ同額 |
| 祖父名義・中間の相続人が複数 | 世代分の登記 | 通常ルートの約2倍+協議書の手間 |
| 分割が難航 | 相続人申告登記 | 数百円〜数千円で義務だけ履行 |
同じ実家でも費用が7倍違う3ケース計算表

| 費用項目 | ケースA<br>土地80万円+建物90万円<br>(親名義) | ケースB<br>土地1,500万円+建物500万円<br>(親名義) | ケースC<br>ケースBと同額・祖父→父→自分<br>(中間の相続人が複数) |
|---|---|---|---|
| 登録免許税(土地) | 0円<br>84条の2の2第2項で非課税 | 60,000円<br>1,500万円×0.4% | 120,000円<br>2世代分 |
| 登録免許税(建物) | 3,600円<br>90万円×0.4% | 20,000円<br>500万円×0.4% | 40,000円<br>2世代分 |
| 登録免許税 小計 | 3,600円 | 80,000円 | 160,000円 |
| 書類実費(書面請求) | 約5,000円 | 約5,000円 | 約9,000円<br>戸籍通数が増加 |
| 書類実費(オンライン+広域交付) | 約3,900円 | 約3,900円 | 約7,200円 |
| 自分で申請する総額(オンライン活用時) | 約7,500円 | 約83,900円 | 約167,200円 |
| 司法書士報酬 | 74,888円 | 74,888円 | 加算あり(数次相続・協議書2通分) |
| 司法書士に依頼した総額 | 約82,400円 | 約158,800円 | 約24万円〜 |
書類実費の内訳と、オンライン・広域交付で下がる差額
| 書類 | 書面請求 | オンライン等 | 差額 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 登記事項証明書(土地・建物2通) | 1,200円(600円×2) | 980円(窓口交付490円×2) | −220円 | 法務省「登記手数料について」(2025年) |
| 地図等情報(公図)1通 | 500円 | 440円(オンライン窓口) | −60円 | 同上 |
| 固定資産評価証明書(同一区内2件) | 500円(400円+100円) | 同額 | 0円 | 東京都主税局(2026年) |
| 法定相続情報一覧図の写し | 0円 | 0円 | 0円 | 法務局「法定相続情報証明制度」 |
| 戸籍・除籍・住民票一式 | 約2,800円〜 | 同額(広域交付で郵送料と時間が不要) | 郵送料・往復日数を削減 | 法務省 戸籍広域交付(2024年3月開始) |
注意
広域交付には制限があります。戸籍抄本・戸籍の附票は対象外、請求できるのは本人・配偶者・直系尊属/卑属に限られ、兄弟姉妹の分や代理人請求はできません。相続人に兄弟姉妹や代襲相続が含まれるケースでは本籍地ごとの請求が必要になり、ここが司法書士に依頼するかどうかの実質的な分かれ目になります。
相続 不動産名義変更の司法書士費用|全国平均74,888円をどう読むか
見積書で必ず確認する5点
- 戸籍謄本等の取得代行が含まれるか(別途1通あたりの実費・手数料が加算される場合があります)
- 遺産分割協議書の作成が含まれるか
- 法定相続情報一覧図の申出が含まれるか(写しの交付自体は法務局で無料です)
- 不動産の2筆目以降の加算がいくらか(私道持分がある場合は特に)
- 登記完了後の登記事項証明書の取得が含まれるか
数次相続は、報酬より先に「1件か2件か」を確認する
自分で相続登記して免税を落とさないための申請書チェックリスト
| # | 確認項目 | 間違えるとどうなるか |
|---|---|---|
| 1 | 課税価格欄を1,000円未満切捨てで記載したか | 税額が合わず補正の対象になります |
| 2 | 税額を100円未満切捨て・最低1,000円で計算したか | 過少・過大納付となり補正・還付手続が発生します |
| 3 | 100万円以下の土地について、登録免許税欄に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と記載したか | 記載がなければ免税は適用されません。 2026年4月1日に84条の2の3から番号が繰り上がっているため、ネット上の古い書式例をそのまま写すと旧番号になります |
| 4 | 土地と建物が混在する場合、非課税分と課税分を分けて記載したか | 建物分まで非課税として申請すると補正になります |
| 5 | 登記前に死亡した相続人が間にいる場合、同条第1項の適用を検討したか | 適用できたはずの免税を落とします |
| 6 | 適用期限(令和9年=2027年3月31日)内の申請か | 期限後は免税なし。100万円の土地なら4,000円が発生します |
| 7 | 法定相続情報一覧図を先に取得したか | 戸籍の原本一式を手続きごとに取り直すコストが発生します(一覧図の写しは無料・5年間再交付可) |
課税明細の「価格」欄と「課税標準額」欄を取り違えない
過料10万円はどう運用されるのか|催告前置と「正当な理由」
- 相続人が極めて多数で、戸籍収集や相続人の把握に時間を要する場合
- 遺産分割の内容について争いがあり、不動産の帰属が明らかでない場合
- 申請義務を負う人自身が重病その他これに準ずる事情にある場合
- DV被害者等で生命・身体に危害を及ぼすおそれがある場合
- 経済的に困窮しており、登記費用を負担する能力がない場合
名義を入れた「その後」のコスト|固定資産税・管理責任・手放す場合
手放す場合の実額
| 選択肢 | 費用 | 前提・注意点 |
|---|---|---|
| 相続土地国庫帰属制度 | 審査手数料 土地一筆14,000円+負担金(原則20万円。市街化区域等の宅地・農地・森林は面積等に応じて算定) | 申請の前提として相続登記が必要。法務省(2026年)の統計では令和8年5月31日現在で申請5,545件に対し帰属2,762件で、誰でも通る制度ではありません |
| 売却 | 仲介手数料等(本記事の範囲外) | 相続登記が完了していないと売却できません |
| 保有し続ける | 固定資産税・管理費用が毎年発生 | 管理不全のまま放置すると、周辺への責任問題が生じ得ます |
費用は誰が負担するのか
やってはいけないNG対応
- 免税の条項記載を省略する/旧番号を書く:条件を満たしていても免税は受けられません。2026年4月に84条の2の3から84条の2の2へ番号が変わっています
- 課税明細の「課税標準額」で計算する:使うのは「価格(評価額)」欄です
- 登記名義人を確認せずに見積もりを取る:祖父名義のままなら前提が変わります
- 相続人申告登記だけで完了したと考える:持分は確定せず、売却・担保設定には正式な相続登記が別途必要です
- 見積書の総額だけで事務所を選ぶ:安い見積もりは「登記申請のみ・戸籍収集は依頼者側」という前提のことがあります。業務範囲を揃えて比較してください
関連記事
次に読むと、この記事の判断がしやすくなります。
よくある質問
Q1. 相続 不動産名義変更の司法書士費用の相場はいくらですか?
Q2. 不動産 名義変更 相続 費用は自分で申請するといくら安くなりますか?
Q3. 不動産相続 名義変更 費用がゼロ円になるケースはありますか?
Q4. 免税措置の条項番号が変わったと聞きましたが、どう書けばよいですか?
Q5. 相続登記の期限に間に合わない場合はどうすればよいですか?
Q6. 祖父名義のままですが、費用はどれくらい増えますか?
Q7. 親名義の不動産をすべて把握できていません。調べる方法はありますか?
まとめ|相場ではなく「わが家の分岐」で総額を確定する
注意
本記事は執筆時点で確認できた公的な一次情報(法務省・法務局・日本司法書士会連合会・総務省・東京都主税局)に基づいて作成しています。税制・法令は改正される可能性があり、個別のケースの最終判断は司法書士・税理士等の専門家や法務局の窓口でご確認ください。特に数次相続、中間省略登記の可否、免税措置の適用可否は、書面上の情報だけでは適切な判断が難しいとされています。




