相続の相談先とは|「悩みの種類」と「期限」で決まる
- 税金が心配(相続税がかかりそう) → 税理士
- 不動産の名義変更をしたい → 司法書士
- 相続人どうしでもめている・もめそう → 弁護士
- 戸籍集めや書類作成、全体の窓口がほしい → 行政書士・金融機関
- まず無料で全体像を知りたい → 自治体の無料相談・法テラス・各専門家の初回無料相談
上記の期限や税制は、本記事執筆時点の一般的な内容です。改正や個別事情により取り扱いが変わる場合があるため、実際の期限は国税庁・法務局・各専門家へ必ず確認してください。
相続の相談先6つを比較|特徴・費用の目安・無料相談の有無

| 相談先 | 得意なこと | 費用の目安(一般的な傾向) | 初回無料相談 |
|---|---|---|---|
| 税理士 | 相続税の申告・節税・財産評価 | 遺産総額の0.5〜1%程度が一つの目安とされる | ある事務所が多い |
| 司法書士 | 相続登記・預貯金の手続き | 相続登記で数万円〜(登録免許税は別) | ある事務所が多い |
| 弁護士 | 遺産分割の交渉・調停・訴訟 | 着手金+報酬。経済的利益に応じて変動 | ある事務所が多い |
| 行政書士 | 戸籍収集・遺産分割協議書などの書類作成 | 数万円〜が一つの目安 | 事務所による |
| 金融機関・信託銀行 | 遺言信託・相続手続きの一括代行 | 数十万円〜と高めになる傾向 | ある場合が多い |
| 法テラス・自治体相談 | 初期の方向性アドバイス | 無料(要件・回数の制限あり) | 制度として無料 |
- 無料窓口で全体像をつかむ — まずは市区町村の無料相談会、法テラス、各専門家の初回無料相談を利用します。「自分のケースで何が必要か」「どの専門家に頼むべきか」の見当をつけるのが目的です。
- 悩みの中心に合う専門家を1〜2か所ピックアップする — 相続の取り扱い実績や、対応分野(相続専門かどうか)を確認します。
- 複数から見積もり(相見積もり)を取る — とくに金額が大きくなる相続税申告や遺産分割では、2〜3か所から見積もりを取ると相場観がつかめます。料金体系が明確か、追加費用の条件が説明されているかを確認します。
- 契約前に「業務範囲」と「総額」を書面で確認する — どこまでをいくらでやってくれるのか、登録免許税や戸籍取得の実費が含まれるかを、口頭ではなく書面で確認します。
- 連携体制があるかを確認する — 税理士と司法書士、弁護士が連携している事務所なら、複数の手続きをまたぐ場合でも窓口が一つで済み、負担を減らせます。
費用の数字はいずれも一般的な傾向であり、財産の種類・件数・地域・事務所方針によって大きく異なります。「必ず得する」「安いから良い」といった単純な基準で選ばず、業務範囲と実績を含めて総合的に判断してください。料金が極端に安い場合は、含まれる業務の範囲を必ず確認しましょう。
自分はどこに相談すべき?セルフチェックリスト
- 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそう
- 不動産や自社株など、評価が難しい財産がある
- 生前贈与を受けていた、または相続時精算課税を使っていた
- 相続税の申告が必要かどうか自体が分からない
- 故人名義の土地・建物がある
- 不動産の名義変更(相続登記)を済ませたい
- 預貯金の解約・名義変更の手続きもまとめて頼みたい
- 争いはないが、書類作成と手続き代行を確実に進めたい
- 相続人どうしで遺産の分け方がまとまらない
- 連絡が取れない相続人や、行方不明の相続人がいる
- 遺言の内容や遺留分をめぐって対立している
- 使い込みや財産隠しが疑われ、相手と交渉・調停が必要
- 戸籍収集や相続関係説明図など、書類の整備を任せたい
- 自動車や許認可など、特定の名義変更が中心
- もめておらず、登記や税務以外の書類作成を手伝ってほしい
- どこから手をつければよいか分からず、全体の窓口がほしい
- 遺言信託や相続手続きの代行をまとめて任せたい(費用は高めになる傾向)
相談前に準備するもの|持ち物と整理メモのチェックリスト
- 相続人は誰が何人か(配偶者・子・兄弟姉妹などの関係)
- 主な財産(不動産の有無と所在地、預貯金のおおよその額、有価証券、保険、借入金)
- 相続人どうしの対立の有無
- 遺言書があるかどうか
- 固定資産税の納税通知書(不動産の評価や所在の確認に使えます)
- 通帳やキャッシュカード、証券会社からの残高報告書
- 被相続人の戸籍謄本(取得済みの範囲で構いません)
- 生命保険の証券
- 借入やローンの契約書・督促状
ケース別の対処|相続シーン別のベストな相談先
対立しているのに「家族だから大丈夫」と当事者だけで進めると、後から「言った・言わない」のトラブルや、不公平感による関係悪化を招きやすくなります。早い段階で第三者である弁護士を入れるほうが、結果的に円満に収まりやすいとされています。
なぜ「相続の相談はどこ?」で迷うのか|主な原因
予防・再発防止のコツ|生前にできる準備と相談
- 財産の棚卸し(リスト化) — 預貯金・不動産・有価証券・保険・借入金などを一覧にします。どこに何があるか分かるだけで、相続開始後の調査の手間が激減します。
- エンディングノートの活用 — 法的な効力はありませんが、本人の希望や連絡先、契約情報を残せます。家族が方針を共有する出発点になります。
- 遺言書の作成を検討する — 分け方をめぐる対立を防ぐ有効な手段です。とくに「相続人どうしの仲が微妙」「分けにくい不動産が中心」「内縁や再婚が絡む」といった場合は、効果が大きいとされています。公正証書遺言は形式の不備が起きにくく、公証役場で作成します。
- 生前贈与・各種制度の検討 — 暦年贈与や各種特例など、制度を使った対策がありますが、改正が多く、使い方を誤ると逆効果になることもあります。必ず税理士に最新の取り扱いを確認してください。
- 家族会議を開く — 元気なうちに、本人を交えて方針を話し合っておくと、感情的な対立を未然に防ぎやすくなります。
認知症などで本人の判断能力が低下すると、遺言や贈与、預金の引き出しが難しくなる場合があります。その前段階の備えとして、成年後見制度や家族信託といった選択肢もあり、これらは弁護士・司法書士が詳しいとされています。
無料で使える公的窓口|国税庁・法務局・法テラス
- 国税庁 — 相続税の仕組み、基礎控除、申告期限、各種特例などの一次情報を公開しています。相続税がかかるかどうかの基本は、ここで確認できます。
- 法務局 — 相続登記の手続きや必要書類の案内を行っています。2024年4月からの相続登記義務化についても、法務局の情報が基本となります。
- 法テラス(日本司法支援センター) — 国が設立した法的トラブルの総合案内所で、無料の法律相談や専門家紹介を受けられます。収入などの要件を満たせば、費用の立替制度を利用できる場合があります。
- 市区町村の無料相談会 — 多くの自治体が、税理士会・司法書士会・弁護士会と連携した無料相談を定期的に開催しています。お住まいの自治体の広報やウェブサイトで確認できます。
- 各専門家団体(税理士会・司法書士会・弁護士会・行政書士会) — 相談会の案内や、地域の専門家を探す窓口を設けています。
相続登記の申請は、2024年4月1日から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があるとされています。正当な理由なく怠った場合、過料が科される可能性があると案内されています。詳細は法務局の公表情報をご確認ください。
制度や税制は改正されることがあります。本記事の内容は執筆時点の一般的な整理であり、最新かつ個別の判断は、国税庁・法務局などの一次情報と、税理士・司法書士・弁護士といった専門家への確認をもって行ってください。
やってはいけないNG対応|相続相談でよくある失敗
- 何もせず放置する — 「とりあえず後で」と先延ばしにすると、相続放棄の3か月、相続税の10か月といった期限を過ぎてしまうおそれがあります。相続登記の義務化により、放置のリスクは以前より高まっているとされています。
- ネットの情報だけで自己判断する — 一般論は参考になりますが、改正前の古い情報や、個別事情を無視した内容も混在します。自分のケースに当てはまるとは限りません。
- 特定の相続人だけで話を進める — 一部の人だけで決めると、他の相続人の不信感を招き、後から協議がやり直しになることがあります。
- 「無料」だけで相談先を選ぶ — 無料相談は入口として有効ですが、無料の範囲には限りがあります。実務の質や実績を見ずに金額だけで選ぶと、結果的に手戻りや追加費用が生じることがあります。
- 専門家の業務範囲を確認せずに依頼する — 争いがあるのに税理士だけに相談する、登記が必要なのに弁護士だけで完結させようとする、といったミスマッチは、二度手間につながります。
- 故人の預金を勝手に引き出して使ってしまう — 遺産分割の前に一部の相続人が預金を使うと、トラブルや単純承認とみなされるリスクがあるとされています。引き出しの可否は専門家に確認しましょう。
とくに危険なのは「期限の見落とし」と「当事者だけの抱え込み」です。少しでも複雑だと感じたら、無料相談でよいので早めに専門家の意見を聞くことが、最大のリスク回避になります。「確実に得」をうたう極端な勧誘には慎重に対応してください。




