- 不動産・車・預貯金を1枚に統合したチェックリスト(提出先ごとに有効期限が違う点まで横断整理)
- 2026年2月2日に始まった「所有不動産記録証明制度」による登記漏れの洗い出し
- 書類が取れないときの代替ルート(住民票の除票が廃棄済み/傍系の戸籍が広域交付で取れない)
- 2027年3月31日の期限から逆算したスケジュールと、間に合わないときの「相続人申告登記」
相続手続きは法改正が続いており、必要書類も自治体・金融機関・運輸支局ごとに細部が異なります。本記事は一般的な情報の整理を目的としたものです。個別の判断は必ず司法書士・税理士などの専門家や各窓口にご確認ください。
不動産の相続で名義変更に必要な書類【一覧】
| 分類 | 書類名 | 取得先 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 相続人の証明 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍 | 本籍地の市区町村 | 戸籍謄本1通450円、除籍・改製原戸籍1通750円 |
| 相続人の証明 | 相続人全員の現在の戸籍謄本 | 各本籍地の市区町村 | 被相続人の死亡日以後に取得したもの |
| 相続人の証明 | 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) | 最後の住所地の市区町村 | 登記簿上の住所とのつながりを示す |
| 取得者の特定 | 不動産を取得する相続人の住民票 | 住所地の市区町村 | 新しい登記名義人の住所の証明 |
| 取得者の特定 | 遺産分割協議書+相続人全員の印鑑証明書 | 相続人が作成/各市区町村 | 遺言書がある場合や法定相続分どおりの場合は不要 |
| 税額の計算 | 固定資産評価証明書(または固定資産課税明細書) | 不動産所在地の市区町村 | 申請する年度のものが必要 |
| 申請書類 | 登記申請書 | 自作(法務局に様式・記載例あり) | 免税を受ける場合は根拠条文の記載が必須 |
車(自動車)の相続で名義変更に必要な書類|普通車と軽自動車の違い

普通自動車(運輸支局)の必要書類
- 移転登録申請書・手数料納付書(検査登録印紙500円)
- 自動車検査証(車検証)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍(または法定相続情報一覧図の写し)
- 遺産分割協議書
- 新所有者の印鑑証明書
- 自動車保管場所証明書(車庫証明)
査定額100万円以下なら協議書が1枚の申立書に置き換わる
軽自動車(軽自動車検査協会)の必要書類
【独自】同じ書類なのに提出先で条件が違う|横断マトリクス
| 書類 | A 法務局(相続登記) | B 銀行(預貯金) | C 運輸支局(普通車) | D 軽自動車検査協会 | E 証券会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①被相続人の出生〜死亡の戸籍一式 | 要/期限なし/原本還付可 | 要/発行後3〜6か月以内を求められることが多い/原本返却可 | 要/期限の定めは原則なし/原本還付可 | 原則不要(新所有者確認書類で対応)/—/— | 要/発行後3〜6か月以内が多い/原本返却可 |
| ②被相続人の住民票除票・戸籍の附票 | 要/期限なし/原本還付可 | 求められる場合あり/3〜6か月以内/返却可 | 登記簿住所と異なる場合に要/—/還付可 | 同左(住所のつながり確認時)/—/— | 求められる場合あり/3〜6か月以内/返却可 |
| ③相続人全員の現在戸籍 | 要(死亡日以後のもの)/期限なし/原本還付可 | 要/3〜6か月以内が多い/返却可 | 要/—/還付可 | 原則不要/—/— | 要/3〜6か月以内が多い/返却可 |
| ④相続人の印鑑証明書 | 遺産分割の場合に要/期限なし/原本還付不可が原則 | 要/発行後3〜6か月以内/返却可の場合あり | 新所有者分が要/発行後3か月以内/— | 原則不要/—/— | 要/3〜6か月以内/返却可の場合あり |
| ⑤遺産分割協議書 | 遺産分割の場合に要/期限なし/原本還付可 | 銀行所定の相続届で代替可の場合あり/—/返却可 | 要(査定100万円以下は申立書で代替可)/—/還付可 | 原則不要/—/— | 証券会社所定の書類で代替可の場合あり/—/返却可 |
| ⑥固定資産評価証明書 | 要(申請年度のもの)/年度で失効/原本還付可 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
| ⑦法定相続情報一覧図の写し | ①③の代わりに使用可/交付無料 | ①③の代わりに使用可 | ①③の代わりに使用可 | 使用可(そもそも簡素) | ①③の代わりに使用可 |
- 相続登記では戸籍・印鑑証明書に有効期限がないのに対し、金融機関は発行後3〜6か月以内を求めるのが一般的です。先に戸籍を集めて銀行を後回しにすると、銀行の段階で取り直しになることがあります。
- 固定資産評価証明書だけは「年度」で切れます。申請年度のものが必要なため、4月をまたぐ場合は再取得が必要です。
- 法定相続情報一覧図の写しがあれば、A〜Eすべてで①③の束を差し替えられます。しかも交付は無料で複数枚受け取れるため、提出先が3か所以上あるなら作らない理由がほぼありません。
有効期限や原本還付の取扱いは、金融機関・証券会社・各運輸支局ごとに個別の定めがあります。上表は一般的な傾向の整理であり、実際に手続きされる際は必ず各窓口に事前確認してください。
【2026年2月開始】所有不動産記録証明制度で登記漏れを潰す
| 請求方法 | 手数料(検索条件1件につき1通) |
|---|---|
| 書面請求 | 1,600円 |
| オンライン請求・郵送交付 | 1,500円 |
| オンライン請求・窓口交付 | 1,470円 |
法務省は同制度について、氏名・住所での検索という仕様上、抽出される不動産の網羅性には限界があり、同名異人の不動産が混入することもあると注意喚起しています。「証明書に載っていない=存在しない」とは言い切れず、逆に「載っている=すべて被相続人のもの」とも限りません。権利証・固定資産税の課税明細書・名寄帳と突き合わせて確認することをおすすめします。
書類が取れないときの代替ルート
住民票の除票・戸籍の附票が「廃棄済み」で取れない
兄弟姉妹・おじおばの戸籍が広域交付で取れない
- 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍のみで、兄弟姉妹やおじおばなど傍系の戸籍は取れません
- 郵送請求・代理人請求はできず、本人が窓口に出向く必要があります
- コンピュータ化されていない一部の戸籍は交付対象外です
相続人と連絡が取れず協議がまとまらない
【独自】2027年3月31日から逆算するスケジュールと分岐チャート
逆算タイムライン
| 工程 | 目安期間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 戸籍の収集 | 郵送請求中心なら4〜8週/広域交付が使える直系のみなら1日〜2週 | 傍系が必要なら郵送ルートで長期化 |
| 所有不動産記録証明書の請求 | 数日〜2週 | 登記漏れを先に潰す |
| 遺産分割協議 | 相続人の人数・関係性次第 | ここが最大の変動要因 |
| 固定資産評価証明書の取得 | 即日〜1週 | 申請する年度のものを取得 |
| 登記申請書の作成・申請 | 1〜2週 | 補正が入るとさらに数週 |
書類が揃わないときの分岐チャート
法務省の登記統計では、相続その他一般承継による所有権移転登記の件数は令和5年度150.3万件(前年度比+10.4%)、令和6年度上半期は約79万1,644件(前年同期比約+14%)と増加が続いています(東急リバブル不動産ニュース 2025年3月17日報道)。期限が近づくほど法務局・市区町村の窓口が混み合う可能性があり、早めの着手が有利です。
【独自】実費はいくら?自分でやる vs 司法書士に頼む
自分で手続きする場合の実費
| 項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本 | 450円×1通 | 450円 |
| 除籍・改製原戸籍 | 750円×3通 | 2,250円 |
| 相続人の戸籍謄本 | 450円×3名 | 1,350円 |
| 住民票の除票 | 300円×1通 | 300円 |
| 取得者の住民票 | 300円×1通 | 300円 |
| 印鑑証明書 | 300円×3名 | 900円 |
| 固定資産評価証明書 | 400円×1通 | 400円 |
| 法定相続情報一覧図の写し | 無料 | 0円 |
| 所有不動産記録証明書 | 書面請求1通 | 1,600円 |
| 登録免許税 | 1,000万円×0.4% | 40,000円 |
| 車の移転登録 | 検査登録印紙 | 500円 |
| 車庫証明 | 申請約2,500円+標章約500円 | 約3,000円 |
| 合計 | 約51,150円 |
司法書士に依頼する場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 司法書士報酬(相続登記) | 約74,888円 |
| 上記の実費(証明書代・登録免許税等) | 約51,150円 |
| 合計 | 約126,000円前後 |
預貯金・株式の名義変更に必要な書類
預貯金
- 金融機関所定の相続手続依頼書(相続人全員の署名・実印)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式、または法定相続情報一覧図の写し
- 相続人全員の現在戸籍・印鑑証明書(発行後3〜6か月以内を求められることが多い)
- 被相続人の通帳・キャッシュカード・証書
- 手続きをする相続人の本人確認書類
株式・投資信託
相続人に未成年者・認知症・行方不明の方がいる場合
| ケース | 課題 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 未成年者がいる | 親も相続人だと利益相反 | 家庭裁判所で特別代理人を選任 |
| 認知症の方がいる | 遺産分割協議ができない | 成年後見人の選任 |
| 行方不明の相続人 | 全員の合意が取れない | 不在者財産管理人の選任など |
| 協議がまとまらない | 協議書が作れない | 家庭裁判所の遺産分割調停 |
| 海外在住の相続人 | 印鑑証明書が取れない | 在外公館のサイン証明・在留証明 |
判断能力が失われた方の代わりに家族が署名・押印して成立させた遺産分割協議は、無効となるおそれがあります。後の紛争や手続きのやり直しにつながるため、必ず法的な代理制度を利用してください。これらの申立てには数か月かかることも多く、2027年3月31日の期限が迫っている場合は、先に相続人申告登記で義務を履行しておく方法も検討できます。
よくある質問
※本記事は2026年8月時点で確認できた公的情報をもとに作成しています。制度・手数料・必要書類は改正や運用変更がありうるため、実際の手続きの際は法務局・市区町村・各金融機関・運輸支局や専門家に最新の情報をご確認ください。




