- 調査通知の前に自分から修正申告した場合:かからない
- 調査通知のあと、調査による更正を予知する前:5%(一定額を超える部分は10%)
- 調査で更正を予知したあと:10%(一定額を超える部分は15%)
- 隠ぺい・仮装と認定された場合:重加算税35%(無申告なら40%)
出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf(平成29年1月1日以後に法定申告期限が来る国税に適用。2026年10月5日確認)
相続税の取り扱いは、事実関係によって一件ずつ判断されます。この記事は一般的な情報です。実際の判断は、相続税に詳しい税理士や所轄の税務署に確認してください。
結論:相続税の税務調査で連絡が来たら、まず何をすべき?
状況ごとの行動と加算税の目安
| 連絡の種類 | あなたの状況 | 取るべき行動 | 加算税の目安 |
|---|---|---|---|
| ①お尋ね | 申告が必要か分からない | 国税庁の申告要否判定コーナーで試算して回答 | 期限内に申告すればなし |
| ①お尋ね | 期限を過ぎていた | 調査通知の前に期限後申告 | 無申告加算税5% |
| ②簡易な接触(行政指導) | 漏れに心当たりがある | すぐに自分から修正申告 | 調査通知前・予知前なら過少申告加算税はかからない |
| ②簡易な接触 | 心当たりがない | 資料をそろえ、税理士と説明 | 指摘が正しければ修正 |
| ③実地調査の通知 | 漏れに心当たりがある | 税理士に相談し、調査前に修正申告 | 5%(超える部分10%) |
| ③実地調査の通知 | 調査で誤りを指摘された | 内容を確かめて修正申告 | 10%(超える部分15%) |
| どの段階でも | 隠ぺい・仮装と認定された | ― | 重加算税35%(無申告40%) |
主な原因を深掘り:なぜ相続税は税務調査で指摘されやすい?

相続税の税務調査の件数と割合
| 項目 | 簡易な接触 | 実地調査 |
|---|---|---|
| 件数 | 21,969件 | 9,512件 |
| 誤りが見つかった件数 | 5,796件 | 7,826件(82.3%) |
| 1件あたりの追徴税額 | 63万円 | 867万円 |
出典:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf(2026年10月5日確認)
この割合は、筆者が公表値を割り算した目安です。調査は過去数年分の申告が対象で、無申告事案も含まれるため、『調査される確率』そのものではありません。
漏れた財産の4割強は現金・預貯金
| 財産の種類 | 割合 |
|---|---|
| 現金・預貯金等 | 43.3%(1,247億円) |
| 有価証券 | 13.6% |
| 土地 | 12.3% |
| 家屋 | 1.7% |
| その他 | 29.1% |
国税庁が公表した2つの事例
- 事例1:亡くなる前に引き出した現金を相続人宅の金庫に保管し、税理士にも隠して申告から外していました。重加算税の対象になっています。
- 事例2:残高が基礎控除以下になるよう、預金を家族名義の口座へ移し、お尋ねにうその回答をして申告していませんでした。税務署は、被相続人口座から家族名義口座への多額の移動をつかんで調査に入っています。
無申告事案の実地調査は650件、1件あたりの追徴税額は2,187万円でした(同資料)。
原因別の見分け方:お尋ね・簡易な接触・実地調査は何が違う?
| 項目 | お尋ね | 簡易な接触 | 実地調査 |
|---|---|---|---|
| 形 | 書面の質問票 | 文書・電話・来署依頼による面接 | 自宅などでの調査 |
| 目的 | 申告が必要かの確認 | 申告漏れや計算誤りの是正 | 申告内容をくわしく確認 |
| 事前の通知 | ― | ― | 原則あり(日時・場所・目的・税目・対象期間など) |
お尋ねが届いたときの注意点
簡易な接触は件数が多い
実地調査の事前通知と時期
具体的な解決方法:『いつ直すか』で負担はいくら変わる?
計算の前提(筆者による仮定)
- 追加で納める本税:200万円(申告漏れ1,000万円×実効税率20%と仮定)
- 最初の申告で納めた税額:300万円
- 申告期限からちょうど1年後に、修正申告と納付を同じ日に行う
- 延滞税は全期間に年2.8%(令和8年の割合)を当てはめる(実際は年ごとに割合が変わります)
| 項目 | ①通知前に自主修正 | ②通知後・予知前 | ③調査で指摘 | ④隠ぺいと認定 |
|---|---|---|---|---|
| 本税 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
| 加算税 | 0円 | 10万円(5%) | 20万円(10%) | 70万円(35%) |
| 延滞税 | 約5.6万円 | 約5.6万円 | 約5.6万円 | 約5.6万円 |
| 合計 | 約205.6万円 | 約215.6万円 | 約225.6万円 | 約275.6万円 |
- 年2.8%が当てはまるのは、修正申告した日から2か月以内に納めた分までです。遅れると年9.1%になります。
- 期限内申告があり、法定申告期限から1年を過ぎて修正申告した場合は、1年を超えた期間を延滞税の計算から外す特例があります。偽りその他不正の行為がある場合などは対象外です。
端数処理を省いた概算です。実際の税額は取得額や特例の使い方で変わります。
ケース別の対処:実家整理でありがちな4つのパターン
ケース1:亡くなる直前に親の口座から現金を引き出した
- 亡くなった時点で手元に残っていた現金は、相続財産として申告するのが原則です。
- お葬式に使った分は、葬式費用として差し引ける場合があります。領収書を残しましょう。
ケース2:介護費や医療費を子が立て替えていた
- 親の口座から精算したときは、日付・金額・用途のメモと領収書をセットで保管します。
ケース3:子や孫の名義の口座(名義預金)
- 通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が持っていたか
- 入金のお金はどこから来たか
- 名義の人が口座を知っていて、自由に使えたか
- 贈与契約書や贈与税の申告の記録があるか
『相続時預貯金口座照会』では、亡くなった人の名義でマイナンバーが紐づいた口座をまとめて調べられます。受託金融機関の案内では、手数料は1件5,060円(税込)、通知まで1か月程度です(https://www.jibunbank.co.jp/landing/inheritance/inquiry/、2026年10月5日確認)。家族名義の口座は対象外なので、親の通帳の出金記録と照らして別に確かめます。
ケース4:申告していなかったことに気づいた
予防・再発防止のコツ:税務署目線の通帳チェックリスト
親の死亡年ごとの足し戻し期間
| 親が亡くなった年 | 足し戻す贈与の範囲 |
|---|---|
| 2026年中 | 亡くなる前3年以内 |
| 2027〜2030年 | 2024年1月1日以降の贈与 |
| 2031年以降 | 亡くなる前7年以内 |
優先度つきチェックリスト
| 優先度 | 確認すること | 見るポイント | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 高 | 亡くなる前後に引き出した現金 | 使い道の領収書、残った現金の行方 | 国税庁の事例1/漏れの43.3%が現金・預貯金等 |
| 高 | 子や孫の名義の口座 | 管理していた人、お金の出どころ | 国税庁の事例2 |
| 高 | 実家の金庫・タンス預金・貸金庫 | 金額、保管場所、写真 | 国税庁の事例1 |
| 中 | 介護費・医療費の立て替えと精算 | 日付・金額・目的のメモ | 記録がないと説明が難しい |
| 中 | 贈与契約書ともらった側の口座 | 契約書、贈与税の申告 | 国税庁No.4161 |
| 中 | 証券会社・ネット銀行・海外の口座 | 取引報告書、メール、アプリ | 漏れの13.6%が有価証券/海外資産関連の実地調査1,359件 |
チェックの進め方
- 親が亡くなった年から、足し戻しの範囲を決める
- 親名義の口座を洗い出す(通帳・郵便物・アプリ・相続時預貯金口座照会)
- 大きな出金と、家族の口座への振込に印をつける
- 印をつけた取引ごとに、使い道・受け取った人・記録を書き出す
- 説明できない取引は、申告の前に税理士へ相談する
やってはいけないNG対応
| NG対応 | なぜ危ないか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 通帳やメモを捨てる・隠す | 隠ぺいと見られるおそれ | 保管して税理士に見せる |
| お尋ねにうその回答をする | 事例2では無申告のまま調査に入られた | 判定コーナーで試算し事実どおり答える |
| 電話や文書を放っておく | 自分から直す機会を逃す | 種類を確かめ、期限までに返事をする |
| 家族で話を合わせて事実と違う説明をする | 仮装と判断されるおそれ | 『確認してから答えます』と伝える |
| 税理士に都合の悪いことを伝えない | 事例1は税理士にも隠していた | すべて伝えて判断をあおぐ |
まとめ:今日からできる3つのこと
よくある質問
Q. 相続税の税務調査の時期はいつごろ?
Q. 修正申告をすると、加算税は必ずかかりますか?
この記事は、2026年10月5日時点で確認した国税庁などの公開情報にもとづく一般的な解説です。税制や延滞税の割合は変わることがあります。実際の判断は、相続税に詳しい税理士や所轄の税務署に確認してください。
最終確認日:2026年10月5日




