相続税と節税

養子縁組 相続税の注意点|子の立場で孫養子の損得と7年ルールを試算

親が孫や子の配偶者を養子にすると相続税は減るのか。国税庁の税率表で実子2人・遺産1億円を試算すると、孫養子の節税は98万円。孫に毎年110万円を7年贈与していた場合(2031年以後の相続)は約15万円増えます。人数制限・2割加算・遺留分も確認できます。

養子縁組 相続税の注意点|子の立場で孫養子の損得と7年ルールを試算
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
  1. 家全体の相続税は本当に減るのか
  2. 自分の取り分と遺留分(最低限もらえる取り分)はいくら減るのか
  3. 孫への過去の贈与が足し戻されて、逆効果にならないか
注意

制度の説明は、国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と、e-Gov法令検索の民法・相続税法の条文を2026年11月5日に確認した内容です。試算は仕組みを理解してもらうための単純化したモデルです。実際の税額は、財産の評価、配偶者の有無、各種の特例で変わります。最終的な判断は、税理士などの専門家に相談してください。

養子縁組で相続税はいくら減る?まず確かめる3つのこと

養子1人で増える非課税の枠

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数(No.4152)
  • 生命保険金の非課税限度額:500万円×法定相続人の数(No.4114、令和8年4月1日現在法令等)
  • 死亡退職金の非課税限度額(No.4170)
  • 相続税の総額の計算(No.4170)

相続税の申告がある被相続人は約10人に1人

なぜ養子縁組の節税が逆効果になるのか?4つの原因

なぜ養子縁組の節税が逆効果になるのか?4つの原因

養子は法定相続人に何人まで数えられる?(人数制限)

家族の状況相続税の計算で数えられる養子
実子がいる1人まで
実子がいない2人まで
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孫養子の相続税は2割加算になる?

孫への贈与が足し戻される7年ルール

亡くなった日加算する贈与
2026年12月31日まで相続開始前3年以内
2027年1月1日〜2030年12月31日2024年1月1日から死亡の日まで
2031年1月1日以後相続開始前7年以内
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不当な節税と判断されると人数に入らない

補足

最高裁平成29年1月31日判決は、節税の動機と縁組をする意思は併存し得るとして、節税目的であることだけでは民法802条1号の無効事由にあたらないと判断しました。これは縁組が民法上有効かの判断で、相続税の人数の判断とは別の問題です。判決の内容はBUSINESS LAWYERSの解説(2017年5月29日掲載)で確認しました。2026年11月5日時点で裁判所サイトはメンテナンス中で、判決原文は確認できていません。

原因別の見分け方:その養子縁組は損か得か?

診断チャート「その養子縁組、損か得か」

  1. 実子はいるか:いれば数えられる養子は1人まで、いなければ2人まで(No.4170)
  2. 養子は孫か:子の配偶者なら2割加算なし(No.4157)
  3. 孫の親は存命か:亡くなっていて孫が代襲相続人なら2割加算なし(No.4157)
  4. 養子に加算期間内の暦年贈与があるか:あれば警告(No.4161)
  5. 養子の子は縁組前に生まれたか:はいなら、その子は代襲相続人にならない(警告、国税庁 質疑応答事例)
  6. 5年以内に買った賃貸不動産・小口化商品があるか:2027年以後の相続で評価が上がる恐れ(警告、国税庁の通達案)

判定の目安

結果目安となる状態
節税効果大子の配偶者や、代襲相続人の孫が養子。警告なし
効果小・要試算孫養子で2割加算あり。警告なし
逆効果の恐れ4の警告あり(孫への贈与が多い)
税理士相談必須警告が2つ以上。または上限を超える数の養子がいる
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注意

この区分は記事独自の目安で、国税庁などが示した基準ではありません。結論を確定するものではありません。

具体的な解決方法:遺産額別の試算で損得を確かめる

試算の前提(必ず読んでください)

  • 配偶者はいない(すでに亡くなっている)
  • 遺産額は、債務などを引いた後の課税価格
  • 各相続人は法定相続分どおりに取得する(パターンB・Cは各1/3)
  • 生命保険・各種特例・未成年者控除・生前贈与は考えない(贈与は後の例で扱う)
  • 税率は国税庁No.4155(令和8年4月1日現在法令等)の速算表を使い、万円未満は小数1桁に丸める
  1. 課税遺産総額=遺産−(3,000万円+600万円×人数)
  2. 1人あたりの税額=(課税遺産総額×法定相続分)×税率−控除額
  3. 相続税の総額=1人あたりの税額の合計
  4. 孫養子の納付税額=按分した税額×1.2

遺産額×縁組パターンの試算表

遺産額パターン基礎控除課税遺産総額1人あたり税額相続税の総額2割加算額最終合計Aとの差額
1億A4,2005,8003857700770−
1億B4,8005,20021063042672−98
1億C4,8005,2002106300630−140
2億A4,20015,8001,6703,34003,340−
2億B4,80015,2008202,4601642,624−716
2億C4,80015,2008202,46002,460−880
3億A4,20025,8003,4606,92006,920−
3億B4,80025,2001,8205,4603645,824−1,096
3億C4,80025,2001,8205,46005,460−1,460
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孫の取り分が増えるほど節税額は縮む

遺産額孫の取り分1/31/2全部
1億−98−77−14
2億−716−634−388
3億−1,096−914−368
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孫への贈与があると逆効果になる例

  1. 加算額:直近3年分330万円+それより前の4年分(440万円−100万円)340万円=670万円
  2. 課税価格:1億円+670万円=1億670万円
  3. 相続税の総額:課税5,870万円→1人1,957万円×15%−50万円≒243.5万円×3=730.5万円
  4. 孫の割合:(3,333万円+670万円)÷1億670万円≒37.5%
  5. 2割加算:730.5万円×37.5%×0.2≒54.8万円
  6. 合計:約785.3万円

ケース別の対処:孫・子の配偶者・代襲で何が変わる?

孫の親(あなたや兄弟)が存命のとき

孫の親が先に亡くなっているとき

子の配偶者(嫁・婿)を養子にしたとき

養子が親より先に亡くなったとき

賃貸不動産も一緒に買っていたとき

予防・再発防止のコツ:兄弟が確認するチェックリスト

縁組は届出で成立する

自分の取り分はどれだけ減る?

項目縁組前(子2人)縁組後(子2人+養子1人)遺産1億円のとき
法定相続分1/21/35,000万円→約3,333万円
遺留分1/41/62,500万円→約1,667万円
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兄弟(相続人)の確認チェックリスト

  • [ ] 親の戸籍謄本を取り、養子縁組の有無と縁組日を確認する
  • [ ] 縁組の前後で、自分の法定相続分と遺留分の変化を計算する
  • [ ] 孫への贈与記録(通帳・贈与契約書)を加算期間の分だけ集める
  • [ ] 縁組の経緯(同居・扶養・家業の承継など)を記録しておく

申告期限からの逆算スケジュール

  1. 1か月目:戸籍で相続人と縁組を確定する
  2. 3か月目:財産と贈与記録を洗い出す(相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内。家庭裁判所で伸長できる。民法915条1項)
  3. 10か月目:税理士と試算・分割協議を終え、申告する

専門家・公的情報の見解:どこまで公式に決まっている?

  • 相続税法63条の「不当な減少」にあたるか
  • 縁組そのものが有効か(節税目的だけでは無効にならないとした最高裁判決があります)
  • 遺留分を侵害された場合の請求の進め方

やってはいけないNG対応

NG理由
控除の増加だけで決める贈与歴があると、試算例のように税が増えることがある
上限を超えて養子を増やす実子がいれば2人目以降は税の計算に入らず(No.4170)、法定相続分だけ減る
兄弟に知らせずに縁組するほかの相続人の遺留分が減るため(民法1042条)、相続後の遺留分の請求につながる恐れがある
贈与を続けたまま縁組する足し戻しの対象が増える(No.4161)
節税の目的しか記録しない同居・介護・家業承継など、縁組の実態を説明しにくい
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まとめ:養子縁組の相続税は「差し引き」で判断する

よくある質問

養子縁組による相続のデメリットは何ですか?

孫に毎年贈与していても、養子にして大丈夫ですか?

参考にした一次情報

最終確認日:2026年11月5日

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