まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 法務省の統計にある「取下げ1,139件」の内訳
- 解体・測量を含めた総額と、土地を持ち続けた場合との比較
- 親の存命中から相続後までの準備の順番
注意
制度の運用や金額は変わることがあります。ご自身の土地が対象になるかは、法務局の事前相談や、司法書士・土地家屋調査士などの専門家に確認してください。
相続土地国庫帰属制度とは?基本を1つの表で確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請できる人 | 相続、または相続人への遺贈で土地を取得した人(制度開始前の相続も対象) |
| 共有地 | 共有者全員で申請する。相続で持分を取得した共有者が1人でもいれば、売買で持分を得た共有者も一緒に申請できる |
| 申請先 | 土地を管轄する法務局(本局)。事前相談は予約制 |
| 審査手数料 | 1筆14,000円(収入印紙で納付)。取下げや不承認になっても戻らない |
| 負担金 | 国が10年間管理する費用の目安。原則20万円で、市街化区域・用途地域内の宅地や森林などは面積に応じて計算する |
| 承認後 | 通知から30日以内に負担金を納める。期限を過ぎると承認は効力を失う |
引き取れない土地は?統計で多い4つの理由と確認方法

| 理由 | 区分・件数 | 申請前に確かめること |
|---|---|---|
| 境界がはっきりしない | 却下 23件 | 境界標や測量図があるか。なければ隣地の所有者と立ち会い、境界を確定する測量をする |
| 通路などに使われている | 却下 22件 | 近所の人が通り抜けに使っていないか、現地と公図で確かめる |
| 工作物・車両・樹木がある | 不承認 46件 | 物置・塀・井戸・放置車両を撤去できるか、見積もりを取る |
| 森林に追加の整備が必要 | 不承認 37件 | 間伐や倒木の処理が必要か、森林組合などに相談する |
取下げ1,139件の中身:半数は「活用の見込み」が理由
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 申請 | 5,997件(田・畑2,335/宅地2,091/山林902/その他669) |
| 帰属 | 3,119件 |
| 却下・不承認 | 85件・100件 |
| 取下げ | 1,139件(有効活用の見込み586/却下・不承認が判明405/その他148) |
費用はいくら?解体・測量込みの総額を3ケースで試算
- 市街化区域などの宅地(50㎡超100㎡以下):面積×2,720円+276,000円
- 森林(750㎡以下):面積×59円+210,000円
- 隣り合う同じ種類の土地は、面積を合算して1つの土地として計算できる特例があります
| 項目 | ①郊外の宅地200㎡(用途地域外・木造30坪あり) | ②市街化区域の宅地100㎡(更地) | ③山林750㎡ |
|---|---|---|---|
| 手数料 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 |
| 負担金 | 200,000円 | 548,000円 | 254,250円 |
| 解体費 | 1,200,000円 | 0円 | 0円 |
| 測量費 | 500,000円 | 500,000円 | 300,000円 |
| 撤去費 | 300,000円 | 0円 | 0円 |
| 総額 | 2,214,000円 | 1,062,000円 | 568,250円 |
| 保有した場合の年間コスト(仮定) | 8万円 | 11万円 | 1.2万円 |
| 総額が保有コストに並ぶまで | 約28年(解体費を除くと約13年) | 約10年 | 約47年 |
- ①:総額の半分以上を解体費が占めます。古い空き家はいずれ解体が必要になることも多いので、解体費を分けて考えると判断しやすくなります。なお、更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がることがあります。
- ②:市街地の宅地は、買い手が見つかる可能性があります。まず売却の査定を取るのが自然な順番です。
- ③:年数だけで見ると割高です。ただし、子や孫に場所の分からない山林を残さずに済むという価値をどう考えるかで、判断は変わります。
注意
実際に判断するときは、解体業者や土地家屋調査士の見積もりと、固定資産税の納税通知書に載っている金額で計算し直してください。
相続放棄・売却・保有とどう違う?4つの出口を比較
| 比較項目 | 国庫帰属 | 売却(隣地・0円譲渡を含む) | 相続放棄 | 保有 |
|---|---|---|---|---|
| 手放す範囲 | 土地を1筆ずつ選べる | 土地ごとに選べる | 預貯金を含む全財産 | なし |
| 期限 | なし | なし | 相続を知ってから3か月以内(家庭裁判所に申立て) | なし |
| 建物 | 解体が必要 | 建物ごと売れることもある | 建物も含めて放棄 | そのまま |
| 境界確定 | 必要 | 買い手との交渉次第 | 不要 | 不要 |
| 手放した後 | 国が管理 | 買い手が管理 | 放棄した時点で現に占有していた財産は、引き渡すまで保存義務が残ることがある | 自分と次の世代が管理 |
親の存命中から相続後まで:準備の順番
- 登記事項証明書で、地番・筆数・名義を確認する(祖父母の名義のままなら、相続登記の準備が必要)
- 抵当権など、古い権利が残っていないか確認する
- 境界標・測量図・固定資産税の納税通知書がどこにあるか把握する
- 建物を残すか、解体するか、建物ごと売るかを家族で話し合う
- 共有になりそうな人と、その連絡先を把握する
- 相続登記をする(2024年4月から義務。取得を知った日から3年以内)。住所などの変更登記も、2026年4月1日から義務になりました(水戸地方法務局の案内)
- 売却の査定を取り、隣地の所有者にも購入の意思を打診する
- 売れない場合は法務局の事前相談を予約し、前述の4つの理由に当てはまらないか確認する
- 共有者全員の合意を取ってから申請する
国が引き取った土地はどうなる?近隣への影響
まとめ:最初の一歩は登記事項証明書の取得
注意
この記事は一般的な情報です。個別の土地が対象になるかどうかは、法務局と専門家の判断が必要です。
※試算に使った解体費・測量費・撤去費・固定資産税・管理費は、説明のための仮定値です。




