まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意
税金や相続の扱いは、家族構成や財産の中身で変わります。この記事は一般的な仕組みの整理です。実際の判断は、保険会社や税理士・司法書士などの専門家に確認してください。
結論:生命保険の受取人変更は5つのステップで進めます
- 親と一緒に、保険証券と契約内容を確かめる
- 「今、変えるべきか」を、税金と家族の公平の両面から考える
- 契約者(親)本人が保険会社に申し出る
- 被保険者の同意と本人確認書類をそろえて出す
- 完了の通知が届いたら、遺言やきょうだいへの説明と食い違いがないか確かめる
生命保険の受取人変更とは?誰が何を変えられるの?

契約に出てくる4つの役割
| 役割 | 意味 | 受取人変更での立場 |
|---|---|---|
| 契約者 | 契約を結び、保険料を払う人 | 変更を申し出る人 |
| 被保険者 | その人が亡くなると保険金が出る人 | 同意する人 |
| 受取人 | 死亡保険金を受け取る人 | 変更の対象 |
| 指定代理請求人 | 被保険者が請求できないとき、代わりに請求する人 | 受取人とは別の役割 |
受取人にできるのは誰?
変更はいつから有効になる?
始める前の準備・必要なもの
事前準備のチェックリスト
- [ ] 保険証券のしまい場所がわかる
- [ ] 保険会社の名前と証券番号を控えた
- [ ] 契約者・被保険者・受取人・指定代理請求人の名前と続柄を書き出した
- [ ] 受取人が存命か確かめた
- [ ] 家族の登録や契約者代理の制度に登録しているか確かめた
- [ ] 親の判断能力について、家族で率直に話した
手続きで使うもの(会社により異なる)
証券が見つからないときは生命保険契約照会制度
生命保険の受取人を変更する手順を順番に解説
ステップ1:保険会社に連絡する
ステップ2:手続きの方法を選ぶ
| 方法 | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| Web(マイページ) | ログインできる親 | 利用できる条件が会社ごとに決まっている |
| 書面(郵送) | ネットが苦手な親 | 書類の往復に日数がかかる |
| 担当者・窓口 | 対面で確かめたい親 | 予約や来店の手間がある |
ステップ3:書類を出す
- 契約者が変更の請求書に記入・署名する
- 契約者と被保険者が別の人なら、被保険者の同意をもらう
- 本人確認書類を添える
- 郵送で返すか、画面から送信する
ステップ4:変更後に確かめる
注意
通知が保険会社に届く前に行われた保険給付は有効です(保険法43条3項)。変えると決めたら、先延ばしにしないでください。
つまずきやすいポイントと対処法
生命保険の受取人が死亡したら変更は必要?
生命保険の受取人変更は認知症になってからでもできる?
- 指定代理請求人が決まっているか(受取人を変える権限ではない)
- 契約者の代理の制度に登録しているか(代われる範囲は会社ごとに確認)
- 成年後見制度を使う必要があるか(司法書士・弁護士・家庭裁判所に相談)
注意
成年後見人がついても、受取人の変更が認められるとは限りません。保険会社と専門家に個別に確認してください。
元気なうちに使える3つの制度と遺言での変更
| 制度 | 主な役割 | 受取人変更との関係 |
|---|---|---|
| 指定代理請求 | 被保険者が請求できないとき、代わりに請求する | 受取人を変える権限ではない |
| 契約者の代理 | 契約者が手続きできないとき、一部を代わりに行う | 範囲は会社ごとに確認 |
| 家族の登録 | 登録した家族が契約について問い合わせや連絡を受けられる | 契約を把握しやすくなる |
生命保険の受取人を遺言で変更するとき
- 遺言に保険会社名・証券番号・新しい受取人を書き、どの契約かが特定できるようにする
- 亡くなったあと、誰が保険会社に通知するかを決めておく(遺言執行者に任せられるかは専門家に確認)
- 亡くなったら、なるべく早く保険会社へ通知する
- 元の受取人ともめそうなら、弁護士に相談する
補足
通知漏れのリスクを考えると、生前に保険会社で手続きしておくほうが確実です。
受取人を変えると税金はどう変わる?死亡保険金の非課税枠と注意点
死亡保険金の非課税枠のしくみ
- 相続人以外の人が受け取った保険金には、非課税の適用がない
- 相続を放棄した人や相続権を失った人は、ここでいう相続人に含まれない
- 法定相続人の数は、放棄がなかったものとして数える
受取人別の計算例
| 受取人 | 非課税枠 | 課税対象になる保険金 | 2割加算 |
|---|---|---|---|
| ①母 | 使える | 500万円 | なし |
| ②長男 | 使える | 500万円 | なし |
| ③孫(代襲相続人でも養子でもない) | 使えない | 2,000万円 | あり |
| ④相続を放棄した長女 | 使えない | 2,000万円 | なし |
- 相続税がかかるかどうかは、ほかの財産を含めた遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数。この例では4,800万円)を超えるかで決まります
- 税額は遺産総額や分け方で変わるため、ここでは計算していません
- 2割加算の対象は、一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)と配偶者以外の人です(国税庁No.4157)
- 孫が代襲相続人になるかどうかは、受取人を変更した時ではなく、相続が始まった時に決まります
きょうだいの公平:特別受益のリスク
「今、受取人を変えるべき?」5問診断
- いいえ → 受取人の相続人全員が、頭割りで受取人になりえます(保険法46条・最判平成5年9月7日)。→ すぐ親と保険会社へ連絡
- はい → Q2へ
- 心配がある → 変更は難しい。→ 指定代理請求・契約者の代理の登録を確認し、成年後見は専門家に相談
- 心配はない → Q3へ
- いいえ → 非課税枠が使えません。代襲相続人でない孫などは2割加算の対象にもなります。→ 税理士に試算を依頼
- はい → Q4へ
- 大きい → 特別受益に準じて扱われるリスクがあります(最決平成16年10月29日)。→ きょうだいへの説明や、遺言での調整を検討
- 大きくない → Q5へ
- 生前 → 保険会社に連絡して、請求書類を取り寄せる
- 遺言 → 2010年4月以降の契約かを確かめ、通知する人と保険会社名・証券番号を遺言に書いておく
まとめ:親が元気なうちに、一緒に見直しましょう
よくある質問
生命保険の受取人は遺言で変更できますか?
受取人が死亡したまま変更しないとどうなりますか?
親が認知症になったら受取人は変更できませんか?
相続放棄しても死亡保険金は受け取れますか?
注意
相続税や保険法の扱いは、法改正や個別の事情で変わることがあります。受取人を変える前に、保険会社と税理士・司法書士などの専門家に相談してください。
- e-Gov法令検索『保険法』43〜46条 https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
- 法務省 法制審議会保険法部会資料(最判平成5年9月7日の引用) https://www.moj.go.jp/content/000012532.pdf
- 裁判所 裁判例検索『平成16(許)11』平成16年10月29日 最高裁第二小法廷決定 https://www.courts.go.jp/hanrei/52421/detail2/index.html
- 国税庁 タックスアンサーNo.4114 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.1750 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1750.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.4157 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
- 生命保険協会『生命保険契約照会制度のご案内』 https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/
- 生命保険文化センター『家族による生命保険の代理手続き』 https://www.jili.or.jp/kuraho/essay/2024/9620.html
- 生命保険文化センター Q&A(受取人の先死亡) https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/9328.html
- 生命保険文化センター Q&A(相続放棄と死亡保険金) https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/175.html
- 生命保険文化センター『諸変更と届出』 https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/continuance/95.html
- ネオファースト生命『生命保険の受取人に指定できる人は?』 https://neofirst.co.jp/information/kojin/column/FP091_4.html
- 第一生命『受取人の変更』 https://www.dai-ichi-life.co.jp/contractor/change/uketori/index.html
最終確認日:2026年9月29日




