まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論:成年後見制度とは何か?
- 親名義の定期預金を介護費用のために解約したい
- 空き家になった実家を売却したい
- 遺産分割協議に認知症の親が参加できない
仕組みをもう少し詳しく

後見人ができること
- 財産管理: 預貯金の管理・解約、不動産の管理・処分(居住用は裁判所の許可制)、遺産分割協議への参加、税金や施設費用の支払い
- 身上保護: 介護サービスの契約、施設への入所契約、入院の手続きなど
後見人ができないこと
誰が後見人になるのか
補足
親族が選ばれやすいのは、管理する流動資産が比較的少なく、親族間に対立がないケースとされています。財産が多い場合は、専門職の選任や「後見制度支援信託・支援預金」の利用を求められることがあります。
なぜ重要なのか・背景
注意
家族仲の良し悪しの問題ではありません。本人の意思確認ができない以上、金融機関や法務局は原則として手続きを止めます。対策をしないまま判断能力が失われると、選択肢は法定後見にほぼ一本化されます。
種類・分類
法定後見と任意後見の違い
| 項目 | 法定後見 | 任意後見 |
|---|---|---|
| 利用できる時期 | 判断能力が低下した後 | 低下する前に契約 |
| 後見人を選ぶ人 | 家庭裁判所 | 本人 |
| 開始の手続き | 家庭裁判所への申立て | 公正証書で契約→低下後に監督人選任を申立て |
| 監督 | 家庭裁判所 | 任意後見監督人(必須) |
法定後見の3類型
| 類型 | 対象となる状態 | 主な権限 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力を常に欠く(重度の認知症など) | 財産に関する包括的な代理権・取消権 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 借入れ・不動産売買など重要な行為(民法13条1項)への同意権・取消権 |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 申立てで定めた特定の行為への同意権・代理権 |
メリットを詳しく
- 凍結資産への対応: 預金の解約・払い出し、不動産の売却などの法律行為を、本人に代わって有効に行えます。介護費用や施設入居費を本人の資産から適法に支出できます。
- 取消権による消費者被害の防止: 悪質商法などで結ばされた不利益な契約を取り消せます。
- 裁判所の監督による安心: 後見人は毎年家庭裁判所へ報告義務を負うため、親族による使い込みも含めて財産が守られます。
- 身寄りがなくても使える: 市区町村長にも申立権があり、2023年統計では申立人の最多は市区町村長(約23%)です。
デメリット・注意点
原則として途中でやめられない
報酬負担が継続する
相続対策・柔軟な資産活用はできない
実家の売却には裁判所の許可が必要
注意
「預金を下ろすために後見を始めたら、想定外の負担が続いた」という声は少なくありません。申立ての前に、後述する家族信託なども含めて、司法書士・弁護士など専門家に選択肢を比較して相談することをおすすめします。
具体例・ケースで理解する
ケース1:認知症の母の実家を売却して介護費用に充てたい
ケース2:父が高額なリフォーム契約を繰り返してしまう
ケース3:元気なうちに任意後見契約を結んでおく
成年後見制度の費用はいくらかかる?
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 800円 | 保佐・補助で同意権・代理権を付ける場合は800円ずつ加算 |
| 後見登記手数料 | 2,600円 | 収入印紙で納付 |
| 郵便切手 | 3,000〜5,000円程度 | 家庭裁判所により異なる |
| 診断書作成料 | 数千円程度 | 家裁指定の書式 |
| 鑑定費用 | 10万円前後 | 実施は申立て全体の約5%(最高裁統計・2023年) |
| 専門職後見人の報酬 | 月2万〜6万円 | 家庭裁判所が財産額などに応じて決定 |
補足
報酬額は家庭裁判所が個別に決定します。上記は東京家裁公表のめやす(2013年)に基づく金額で、報酬の在り方は現在見直しが議論されています。最新情報は家庭裁判所や専門家にご確認ください。
始め方・使い方:手続きはどう進める?
- 地域包括支援センター、市区町村の中核機関、司法書士会・弁護士会の相談窓口に相談する
- かかりつけ医に家裁指定書式の診断書を作成してもらう(後見・保佐・補助の類型判断の資料になります)
- 戸籍謄本・住民票・財産目録・収支予定表などの必要書類を集める
- 本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てる(申立てできるのは本人・配偶者・四親等内の親族・市区町村長など)
- 家裁調査官による面接・調査を受ける(必要な場合のみ医師の鑑定)
- 審判(後見人の選任)と東京法務局への後見登記が行われる
- 後見人が財産目録を作成し、後見業務を開始する
似た用語との違い
| 制度 | 利用できる時期 | 裁判所の関与 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 法定後見 | 判断能力の低下後 | あり(選任・監督) | 報酬月2万〜6万円 | 低下後でも使える唯一の制度 |
| 任意後見 | 低下前に契約 | あり(監督人) | 契約時2万円前後+監督人報酬 | 後見人を自分で選べる |
| 家族信託(民事信託) | 低下前に契約 | なし | 初期費用50万〜100万円程度が目安 | 相続対策・柔軟な資産活用が可能 |
| 財産管理委任契約 | 判断能力があるうち | なし | 契約による | 低下後は事実上機能しにくい |
| 日常生活自立支援事業 | 判断能力に不安がある段階 | なし(社会福祉協議会が実施) | 1回1,000円台程度 | 日常的な金銭管理の支援 |
よくある質問
親がすでに認知症でも任意後見は使えますか?
家族が後見人になることはできますか?
成年後見制度は途中でやめられますか?
申立てから利用開始までどれくらいかかりますか?
後見人は本人のお金で生前贈与や相続税対策ができますか?
注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務判断は状況により異なります。実際の手続きの前に、司法書士・弁護士・税理士などの専門家、または家庭裁判所・法務省の公式情報をご確認ください。
最終確認日:2026年7月19日




