家族信託とは?仕組み・費用と後悔しない始め方|認知症の財産凍結対策
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家族信託とは?仕組み・費用と後悔しない始め方|認知症の財産凍結対策

まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意

家族信託は法律・税務・登記が複雑に絡む制度です。本記事は一般的な仕組みの解説であり、個別の判断は司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。税制や法律は改正されることがあるため、必ず最新の一次情報をご確認ください。

家族信託とは?まず結論(定義を先出し)

  • 委託者(いたくしゃ):財産を託す人。多くは親など財産の持ち主です。
  • 受託者(じゅたくしゃ):財産を託され、管理・運用・処分を行う人。多くは子です。
  • 受益者(じゅえきしゃ):財産から生じる利益(家賃・売却代金など)を受け取る人。

家族信託の仕組みをもう少し詳しく

家族信託の仕組みをもう少し詳しく
  1. 委託者 → 受託者:財産の名義(管理権限)が移る
  2. 受託者が管理・運用・処分:契約の目的に沿って動く
  3. 受益者が利益を受け取る:家賃収入や売却代金などを得る
補足

「名義が子に移る」と聞くと「贈与税がかかるのでは」と心配になりますが、委託者と受益者が同じ人(自益信託)であれば、その時点では贈与にあたらず、原則として贈与税はかからないとされています。実際の課税関係は財産の種類や契約内容で変わるため、税理士への確認が欠かせません。

なぜ今、家族信託が重要なのか・背景

注意

家族信託は 本人に判断能力があるうちにしか契約できません。認知症が進んでからでは、原則として契約自体が無効になってしまいます。「元気なうちに準備する」ことが制度の前提である点に、十分ご注意ください。

  • 家庭裁判所の関与が続き、財産の使い方に強い制限がかかる
  • 原則として本人が亡くなるまで続き、途中でやめにくい
  • 専門職後見人が選ばれると、毎月の報酬(月2〜6万円程度が目安とされます)が継続的に発生することがある
  • 資産の積極的な運用や生前贈与といった「家族のための柔軟な対応」は認められにくい

成年後見制度は「本人の財産を守る」ことを最優先する制度であり、家族の都合での資産活用には向きません。一方、家族信託は契約で柔軟に設計できる点が異なります。どちらが適切かは家庭の事情によって変わります。

家族信託の種類・分類

種類主な目的向いているケース
管理型信託預貯金や賃貸物件を管理する親の生活費・家賃収入を子が管理したい
処分型信託自宅などを売却して費用にあてる将来、実家を売って施設費用にしたい
受益者連続型信託利益を受ける人を世代を超えて指定する自分の死後、配偶者→子と順に承継させたい
福祉型信託障害のある家族の生活を支える親亡き後、障害のある子の財産を守りたい
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補足

受益者連続型信託には期間の上限があります。信託法では、信託設定から30年経過後に新たに受益権を取得した受益者が亡くなるまで が効力の限界とされています。無期限に縛り続けられるわけではない点に注意が必要です。

家族信託のメリットを詳しく

  1. 認知症による資産凍結を防げる:契約済みなら、親の判断能力が低下しても、子が預金管理・不動産売却・修繕などを進められます。
  2. 成年後見より柔軟に管理できる:裁判所の都度の許可を待たずに、契約の範囲内で機動的に動けます。賃貸物件の建て替えや組み替えといった積極的な対応もしやすくなります。
  3. 二次相続以降まで承継先を指定できる:受益者連続型を使えば、遺言ではできない「孫の代までの承継」を設計できます。
  4. 不動産の共有トラブルを回避しやすい:複数の相続人で不動産を共有すると、売却や管理に全員の同意が必要になり身動きが取れなくなりがちです。受託者を一人にまとめておけば、意思決定をスムーズにできます。
  5. 本人や家族の希望を反映しやすい:「自分が認知症になったら自宅を売って良い」「障害のある子の生活費を毎月渡してほしい」など、本人の想いを契約に落とし込めます。

家族信託のデメリット・注意点

  • 直接的な節税効果は基本的にない:家族信託は財産管理の仕組みであり、相続税が安くなる制度ではありません。「家族信託で必ず得する」といった説明には注意が必要です。
  • 損益通算ができない:信託した不動産から赤字が出ても、信託外の所得と損益通算できないとされています。複数の収益不動産を持つ場合は、税負担が想定外に増えることがあります。
  • 受託者の責任と負担が重い:受託者は分別管理・帳簿作成・報告などの義務を負います。家族とはいえ「ただ任せるだけ」では務まりません。
  • 専門家への費用がかかる:契約書作成や登記には費用が発生します(費用感は後述します)。
  • 長期間にわたって財産が拘束される:いったん信託すると、設計しだいで数十年単位で枠組みが続きます。柔軟に見えて、後から大きく変えにくい面もあります。
  • 対応できる専門家がまだ限られる:比較的新しい制度のため、実務に精通した専門家を見極める必要があります。
  • 遺留分への配慮が必要:信託の設計が、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害するとトラブルの原因になります。
注意

「家族信託をすれば相続税が下がる」というのは 誤解 です。節税が目的なら、生前贈与や生命保険など別の手段との比較検討が必要です。家族信託はあくまで「認知症対策・財産管理・円滑な承継」のための制度だとご理解ください。

具体例・ケースで理解する

家族信託の始め方・使い方

  1. 目的を整理する:何のために信託するのかを明確にします。「認知症対策」「実家売却の備え」「障害のある子の支援」など、目的によって設計が変わります。
  2. 家族会議を開く:受託者を誰にするか、他の家族はどう関わるかを話し合います。この段階で全員の納得を得ておくこと が、後のトラブル防止に直結します。
  3. 専門家に相談する:家族信託に詳しい司法書士・弁護士・税理士に相談し、契約内容を設計します。税務・登記・遺留分のチェックが欠かせません。
  4. 信託契約書を作成する:内容が固まったら契約書を作ります。公正証書 で作成するのが一般的で、公証役場で公証人が関与することで、契約の信頼性と証拠力が高まります。
  5. 財産の名義変更・口座開設をする:不動産は法務局で信託登記を行い、預金は金融機関で信託口口座を開設します。これで実際に信託が動き出します。
項目費用の目安
専門家へのコンサルティング・契約書作成報酬信託財産評価額の1%前後(最低30万円程度〜)
公正証書作成の公証人手数料数万円〜十数万円程度
不動産の信託登記費用(登録免許税+司法書士報酬)固定資産評価額の0.3〜0.4%+報酬
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家族信託と似た用語との違い

制度主な目的効力が生じる時期財産処分の柔軟性
家族信託財産管理・承継契約時から高い(契約で設計)
法定後見本人の財産保護判断能力低下後低い(裁判所の監督)
任意後見本人が選んだ人による保護判断能力低下後中程度(後見監督人が関与)
遺言死後の財産の分け方の指定本人の死亡後死後のみ・一次相続まで
生前贈与生前の財産移転贈与時から高い(ただし贈与税に注意)
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  • 成年後見との違い:後見制度は「本人保護」が目的で、判断能力が低下してから使う事後的な制度です。家族信託は「元気なうちに」備える事前的な制度で、より柔軟に設計できます。
  • 任意後見との違い:任意後見は身上監護(医療・介護契約など)もカバーできますが、財産の積極的な活用は苦手です。家族信託は財産管理に強い一方、身上監護は対象外です。このため 両者を併用する 設計もよく行われます。
  • 遺言との違い:遺言は死後の財産分けを決めるもので、生前の管理や二次相続までの指定はできません。家族信託は生前から効力を持ち、承継先も複数世代にわたって指定できます。
  • 生前贈与との違い:生前贈与は財産そのものを完全に渡すため、贈与税の負担や「渡したら戻せない」リスクがあります。家族信託は名義を移しても利益は本人に残せる点が異なります。
補足

家族信託は万能ではなく、身上監護(介護・医療の契約)はカバーできません。この部分は任意後見が担うため、「財産管理は家族信託、身上監護は任意後見」と役割分担するのが実務的な解決策とされています。

よくある質問

最終確認日:2026年6月8日

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