まな先生解説
こころ質問
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30秒でわかる「遺贈」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | いぞう |
| 意味 | 遺言で財産を無償で人に譲ること |
| 譲る人 | 遺言者(遺贈者) |
| もらう人 | 受遺者(じゅいしゃ)。相続人以外・法人でも可 |
| 効力が出る時 | 遺言者が亡くなった時 |
| かかる税金 | 相続税(贈与税ではありません) |
| 似た言葉 | 相続/贈与/死因贈与(いずれも別の制度です) |
- 相手を選べる: 法定相続人以外(長男の嫁、内縁の配偶者、お世話になった友人、NPO法人など)にも財産を渡せます。
- 2つの型がある: 財産を割合で渡す「包括遺贈」と、特定の不動産や預金を名指しで渡す「特定遺贈」があります。
- 税金が重くなる場合がある: 配偶者・一親等の血族以外が受け取ると、相続税額が2割加算されるとされています(国税庁タックスアンサーNo.4157)。
遺贈の読み方と言葉の意味
関連用語の読み方一覧
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 遺贈 | いぞう | 遺言で財産を無償で譲ること |
| 遺贈者 | いぞうしゃ | 遺贈をする人(遺言者) |
| 受遺者 | じゅいしゃ | 遺贈を受ける人 |
| 包括遺贈 | ほうかついぞう | 財産全体に対する割合で渡す遺贈 |
| 特定遺贈 | とくていいぞう | 特定の財産を名指しして渡す遺贈 |
| 負担付遺贈 | ふたんつきいぞう | 条件を付けた遺贈 |
| 遺留分 | いりゅうぶん | 配偶者・子・直系尊属に保障された最低限の取り分 |
| 死因贈与 | しいんぞうけ���よ | 生前の契約で、死亡時に財産を渡すこと |
| 遺言執行者 | ゆいごんしっこうしゃ | 遺言の内容を実現する人 |
| 検認 | けんにん | 家庭裁判所で遺言書の状態を確認する手続き |
「遺贈」と間違えやすい言葉
- 遺増・移贈: いずれも誤記です。法律用語としては「遺贈」が正しい表記です。
- 寄贈(きぞう): 生前に物品などを贈ること。遺贈は死亡によって効力が生じる点が異なります。
- 遺贈寄付: 遺贈のうち、NPO法人や大学などへ寄付する形を指す言い方です。
補足
実務では「遺贈する」と「相続させる」を書き分けます。渡す相手が相続人かどうかで使う言葉が変わるため、遺言書を読むときは、この2つの言葉に注目すると内容を把握しやすくなります。
遺贈とは何か?(定義を先出し)

遺贈が成立する3つの条件
- 遺言が法律上有効であること: 自筆証書遺言なら全文・日付・氏名の自書と押印が必要です(民法第968条)。財産目録はパソコン作成が認められています(2019年1月13日施行の改正民法)。
- 遺言者に遺言能力があること: 満15歳以上で、意思能力があることが必要です(民法第961条)。
- 遺言の効力発生時に受遺者が生存していること: 受遺者が遺言者より先に亡くなった場合、その遺贈は原則として効力を生じないとされています(民法第994条)。
「一方的に決められる」が最大の特徴
補足
遺言書に「長男に自宅を相続させる」と書いた場合、これは遺贈ではなく「特定財産承継遺言(いわゆる相続させる遺言)」として扱われるのが実務上の一般的な解釈です。相手が相続人か第三者かで、使う文言と手続きが変わります。
遺贈の仕組みをもう少し詳しく
誰が手続きを実行するのか
| 実行者 | どんな場合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 遺言執行者 | 遺言で指定されている場合 | 単独で登記・解約手続きが可能。最もスムーズ |
| 相続人全員 | 遺言執行者がいない場合 | 全員の協力(実印・印鑑証明)が必要 |
| 家庭裁判所が選任した執行者 | 相続人が非協力的な場合など | 申立てが必要で時間がかかる |
2023年4月の民法改正で不動産の遺贈登記が簡単になった
注意
2024年4月1日から相続登記が義務化され、取得を知った日から3年以内の登記申請が必要とされています(法務省)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる場合があります。遺贈で不動産を受け取る場合も、この登記義務の対象です。
なぜ今、遺贈が重要なのか(背景)
法定相続の「取り分」は意思とズレることがある
- 長年介護してくれた長男の妻には、法定相続分がありません(相続人ではないため)。
- 内縁のパートナーは、何十年連れ添っても相続人になりません。
- 疎遠な兄弟姉妹が、子のない方の相続人になることがあります。
遺贈寄付という選択肢の広がり
遺贈の種類・分類
包括遺贈と特定遺贈の違い
| 比較項目 | 包括遺贈 | 特定遺贈 |
|---|---|---|
| 書き方の例 | 「全財産の3分の1をAに遺贈する」 | 「○○市○○町の土地をAに遺贈する」 |
| 対象 | 財産全体に対する割合 | 特定の財産を名指し |
| 債務(借金) | 割合に応じて承継する | 原則として承継しない |
| 法的地位 | 相続人と同一の権利義務(民法第990条) | 相続人ではない |
| 遺産分割協議 | 参加する必要がある | 参加不要 |
| 放棄の期限 | 知った時から3か月以内(家庭裁判所へ申述) | 期限なし(いつでも可能) |
負担付遺贈という第三の型
補充遺贈・停止条件付遺贈
注意
包括遺贈を受けた方は、相続人と同じ立場になるため、遺産分割協議に参加し、他の相続人と協議する義務が生じます。「割合だけもらえばいい」という単純な話にはなりません。
遺贈のメリットを詳しく
1. 相続人以外に財産を渡せる
- 長男の妻、子の配偶者
- 内縁のパートナー、同性パートナー
- 孫(子が健在の場合、孫は相続人ではありません)
- お世話になった知人、NPO法人、母校
2. 遺産分割協議を省略できる
3. 意思を明確に残せる
遺贈のデメリット・注意点
1. 相続税が2割加算される場合がある
- 兄弟姉妹
- 甥・姪
- 孫(代襲相続人である場合を除く)
- 内縁のパートナー、友人
2. 遺留分侵害額請求のリスク
3. 税・登記コストが相続より高くなる
| 項目 | 相続人が取得 | 相続人以外が遺贈で取得 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% | 同2.0% |
| 不動産取得税 | 非課税 | 課税(標準税率3〜4%) |
| 小規模宅地等の特例 | 要件を満たせば適用可 | 親族以外は原則不可 |
4. 受遺者に断られる可能性
注意
不動産の遺贈寄付を検討する場合は、必ず事前に受入団体へ確認してください。現物での受け入れを断られると遺贈は失効し、その財産は相続人に戻ることになります。換価型(売却して現金を寄付する形)の遺言にする方法もあります。
具体例・ケースで理解する
ケース1: 介護してくれた長男の妻へ遺したい
ケース2: 子がいない夫婦で配偶者に全部遺したい
ケース3: 実家を売って現金でNPOに寄付したい
補足
3つのケースに共通するのは「遺言執行者を決めておく」ことです。執行者がいないと、疎遠な相続人の協力を待つことになり、実現までの時間が読めなくなります。
遺贈の始め方・進め方
ステップ1〜5の実務手順
- 財産を洗い出す: 不動産(固定資産税納税通知書)、預貯金、有価証券、保険、負債をリスト化します。名寄帳を市区町村で取得すると、把握漏れの不動産が見つかることがあります。
- 相手の意向を確認する: 特に不動産やNPOへの寄付は、受け取れるかを事前に確認します。断られると遺贈は失効します。
- 遺言の方式を選ぶ: 確実性を重視するなら公正証書遺言です。
- 遺言執行者を指定する: 手続きのスピードが変わります。司法書士・弁護士・信託銀行のほか、受遺者本人を指定することも可能です。
- 保管方法を決める: 公正証書なら原本は公証役場に保管されます。自筆証書は法務局の保管制度(2020年7月10日開始、手数料3,900円)の利用で、紛失リスクと検認手続きを回避できます。
準備チェックリスト
- [ ] 不動産の一覧(所在・地番・評価額)を把握したか
- [ ] 預貯金・有価証券の金融機関名と口座を書き出したか
- [ ] 借入金・連帯保証など、マイナスの財産を確認したか
- [ ] 誰に何を遺したいかを、金額または割合で決めたか
- [ ] 渡す相手が相続人かどうかを確認したか(文言が変わります)
- [ ] 相手に受け取る意思があるかを確認したか(特に不動産)
- [ ] 遺留分権利者(配偶者・子・直系尊属)がいるかを確認したか
- [ ] 遺言執行者の候補を決めたか
遺言方式の比較
| 項目 | 自筆証書遺言 | 自筆+法務局保管 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 費用 | ほぼ0円 | 3,900円 | 数万円〜(財産額により変動) |
| 証人 | 不要 | 不要 | 2人必要 |
| 家庭裁判所の検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 無効リスク | 形式不備の可能性あり | 形式は確認されるが内容審査はなし | 低い |
| 紛失・改ざん | リスクあり | 回避できる | 回避できる |
遺贈と相続・贈与は何が違うのか?
| 項目 | 遺贈 | 相続 | 死因贈与 | 生前贈与 |
|---|---|---|---|---|
| 根拠 | 遺言(単独行為) | 法律の定め | 生前の契約 | 生前の契約 |
| 相手の同意 | 不要 | ― | 必要 | 必要 |
| 効力発生 | 死亡時 | 死亡時 | 死亡時 | 契約時 |
| 相手の範囲 | 誰でも・法人も可 | 法定相続人のみ | 誰でも可 | 誰でも可 |
| 課される税 | 相続税 | 相続税 | 相続税 | 贈与税 |
| 撤回 | いつでも可能 | ― | 原則可能(負担付は制限あり) | 原則不可 |
| 不動産取得税 | 特定遺贈で相続人以外なら課税 | 非課税 | 課税 | 課税 |
「遺贈する」と「相続させる」の書き分け
- 登記を単独申請でき、手続きが早い
- 農地の場合、農業委員会の許可が不要になる
死因贈与との使い分け
よくある質問
Q1. 遺贈の読み方と正しい意味を簡単に教えてください
Q2. 遺贈を受けたら断ることはできますか?
Q3. 遺贈にかかる税金は相続税ですか、贈与税ですか?
Q4. 遺言書が2通見つかった場合はどうなりますか?
Q5. 遺贈で受け取った不動産の名義変更はいつまでにすべきですか?
Q6. 認知症の親でも遺贈の遺言は作れますか?
まとめと次の一歩
注意
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。相続税額や登記の可否は財産構成・家族構成により大きく異なります。実際の手続きにあたっては、必ず税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。制度は改正される場合がありますので、国税庁・法務省の最新の公表情報もあわせてご確認ください。




