遺贈(いぞう)とは、遺言によって、自分の財産を無償で他人に譲ることをいいます。 民法第964条は「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる」と定めており、この処分行為が遺贈です。
結論から申し上げます。遺贈のポイントは次の3つです。
- 相手を選べる: 法定相続人以外(長男の嫁、内縁の配偶者、お世話になった友人、NPO法人など)にも財産を渡せます。
- 2つの型がある: 財産を割合で渡す「包括遺贈」と、特定の不動産や預金を名指しで渡す「特定遺贈」があります。
- 税金が重くなる場合がある: 配偶者・一親等の血族以外が受け取ると、相続税額が2割加算されるとされています(国税庁タックスアンサーNo.4157)。
「遺贈」は遺言でおこなう一方的な行為です。生前の合意で渡す「死因贈与」や、相続人同士で分ける「相続」とは、手続きも税務も異なります。
この記事では、親の相続や実家整理に直面している40〜60代の方に向けて、遺贈の仕組み、2つの種類、メリットと落とし穴、実際の進め方までを実務目線で整理します。
遺贈とは何か?(定義を先出し)
遺贈とは、遺言者が遺言によって、財産の全部または一部を無償で他人に与える単独行為です。 受け取る人を「受遺者(じゅいしゃ)」といい、相続人でも第三者でも法人でも指定できます。
遺贈が成立する3つの条件
遺贈が有効に成立するには、形式面の要件を満たす必要があります。
- 遺言が法律上有効であること: 自筆証書遺言なら全文・日付・氏名の自書と押印が必要です(民法第968条)。財産目録はパソコン作成が認められています(2019年1月13日施行の改正民法)。
- 遺言者に遺言能力があること: 満15歳以上で、意思能力があることが必要です(民法第961条)。
- 遺言の効力発生時に受遺者が生存していること: 受遺者が遺言者より先に亡くなった場合、その遺贈は原則として効力を生じないとされています(民法第994条)。
「一方的に決められる」が最大の特徴
遺贈は、遺言者が単独で決められる行為です。受遺者の同意は不要ですし、生前に相手へ知らせる義務もありません。
ただし裏を返すと、受遺者は「もらう」義務も負いません。受遺者は遺贈を放棄できます(民法第986条・第915条)。負担付きの不動産など、受け取ると困る財産を押しつけられない仕組みになっています。
遺言書に「長男に自宅を相続させる」と書いた場合、これは遺贈ではなく「特定財産承継遺言(いわゆる相続させる遺言)」として扱われるのが実務上の一般的な解釈です。相手が相続人か第三者かで、使う文言と手続きが変わります。
遺贈の仕組みをもう少し詳しく

遺贈は「遺言書の作成」→「遺言者の死亡」→「効力発生」→「受遺者への引き渡し・登記」という順で進みます。 効力が発生するのは、あくまで遺言者が亡くなった時点です。
誰が手続きを実行するのか
遺贈の実行(履行)を担うのは、次のいずれかです。
| 実行者 | どんな場合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 遺言執行者 | 遺言で指定されている場合 | 単独で登記・解約手続きが可能。最もスムーズ |
| 相続人全員 | 遺言執行者がいない場合 | 全員の協力(実印・印鑑証明)が必要 |
| 家庭裁判所が選任した執行者 | 相続人が非協力的な場合など | 申立てが必要で時間がかかる |
遺言執行者がいないと、不動産の遺贈登記には相続人全員が登記義務者として関与する必要があります。相続人が10人いれば10人分の書類を集めることになり、実務上ここで止まるケースが少なくありません。
2023年4月の民法改正で不動産の遺贈登記が簡単になった
2023年4月1日施行の改正不動産登記法により、相続人に対する遺贈の場合は、受遺者が単独で所有権移転登記を申請できるようになりました。 それ以前は相続人全員または遺言執行者との共同申請が必要でした。
ただし、これは「相続人への遺贈」に限られます。相続人以外の第三者やNPOへの遺贈は、従来どおり共同申請です。この点でも遺言執行者の指定が実務上の鍵になります。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、取得を知った日から3年以内の登記申請が必要とされています(法務省)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる場合があります。遺贈で不動産を受け取る場合も、この登記義務の対象です。
なぜ今、遺贈が重要なのか(背景)
単身世帯の増加と家族形態の多様化により、「法定相続だけでは意思が反映されない」ケースが増えているためです。 総務省「令和2年国勢調査」では、65歳以上の単独世帯は671万世帯にのぼり、高齢者世帯の約2割を占めています。
法定相続の「取り分」は意思とズレることがある
法定相続では、財産は民法の定めた割合で分かれます。しかし現実の家族関係は、法律の想定とずれることがあります。
- 長年介護してくれた長男の妻には、法定相続分がありません(相続人ではないため)。
- 内縁のパートナーは、何十年連れ添っても相続人になりません。
- 疎遠な兄弟姉妹が、子のない方の相続人になることがあります。
こうしたズレを埋める手段が遺贈です。特に「介護してくれた人に報いたい」というニーズは、遺贈の相談で最も多い動機の一つとされています。
遺贈寄付という選択肢の広がり
近年は、財産の一部をNPO法人や大学、公益法人に遺す「遺贈寄付」も知られるようになりました。日本承継寄付協会の調査などでも、相続財産の寄付に関心を持つ層は一定数存在すると報告されています。
遺贈は「誰に渡すか」を自分で決める仕組みです。何もしなければ法律の決めた割合で自動的に分かれます。意思があるなら、遺言という形にしておく必要があります。
遺贈の種類・分類
遺贈は大きく「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類に分かれ、責任の重さと手続きが大きく異なります。 遺言書の書き方ひとつで、受遺者の立場が変わります。
包括遺贈と特定遺贈の違い
| 比較項目 | 包括遺贈 | 特定遺贈 |
|---|---|---|
| 書き方の例 | 「全財産の3分の1をAに遺贈する」 | 「○○市○○町の土地をAに遺贈する」 |
| 対象 | 財産全体に対する割合 | 特定の財産を名指し |
| 債務(借金) | 割合に応じて承継する | 原則として承継しない |
| 法的地位 | 相続人と同一の権利義務(民法第990条) | 相続人ではない |
| 遺産分割協議 | 参加する必要がある | 参加不要 |
| 放棄の期限 | 知った時から3か月以内(家庭裁判所へ申述) | 期限なし(いつでも可能) |
最大の違いは借金を引き継ぐかどうかです。包括遺贈では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も割合に応じて背負います。
負担付遺贈という第三の型
「自宅を遺贈する代わりに、飼い猫を最期まで世話すること」のように、条件を付ける遺贈を負担付遺贈といいます(民法第1002条)。
受遺者が負担を果たさない場合、相続人は相当の期間を定めて履行を催告し、応じなければ家庭裁判所に遺言の取消しを請求できるとされています(民法第1027条)。ただし、負担の履行を継続的に監視する仕組みは遺言だけでは弱いため、実務では信託や死後事務委任契約と組み合わせる例もあります。
補充遺贈・停止条件付遺贈
受遺者が先に亡くなった場合に備えて「Aが先に死亡していたときはBに遺贈する」と定めるのが補充遺贈です。前述のとおり、受遺者が先に亡くなると遺贈は失効するため、この一文があるかどうかで結果が変わります。
包括遺贈を受けた方は、相続人と同じ立場になるため、遺産分割協議に参加し、他の相続人と協議する義務が生じます。「割合だけもらえばいい」という単純な話にはなりません。
遺贈のメリットを詳しく
最大のメリットは、法定相続人以外にも財産を渡せること、そして遺産分割協議による長期化・紛争を回避できることです。 遺言書が1通あるかないかで、手続き期間が数か月変わることもあります。
1. 相続人以外に財産を渡せる
法定相続人でない人に財産を渡す手段は、生前贈与・死因贈与・遺贈の3つに限られます。このうち、生前の相手の同意も、贈与税の負担も避けられるのが遺贈です。
渡せる相手の例:
- 長男の妻、子の配偶者
- 内縁のパートナー、同性パートナー
- 孫(子が健在の場合、孫は相続人ではありません)
- お世話になった知人、NPO法人、母校
2. 遺産分割協議を省略できる
特定遺贈で「この不動産はAへ」と明記しておけば、その財産について相続人全員の協議は不要になります。相続人が多い、疎遠、海外在住といったケースでは、この効果が非常に大きくなります。
実務では、相続人が5人以上いる場合、遺産分割協議書に全員の実印と印鑑証明を揃えるだけで半年以上かかることも珍しくありません。
3. 意思を明確に残せる
遺言書に付言事項として「なぜこの人に遺すのか」を書き添えることができます。法的効力はありませんが、残された家族の納得感に影響し、争いの抑止につながるとされています。
遺贈のメリットは「渡す相手を選べる」と「手続きを短縮できる」の2点に集約されます。ただし、後述する遺留分と税負担を無視すると、かえって紛争の火種になります。
遺贈のデメリット・注意点
注意すべきは「相続税2割加算」「遺留分侵害額請求」「不動産取得税・登録免許税の差」「受遺者の放棄」の4点です。 いずれも事前設計で影響を小さくできる可能性があります。
1. 相続税が2割加算される場合がある
国税庁タックスアンサーNo.4157によれば、被相続人の配偶者および一親等の血族(子・親)以外が財産を取得した場合、その方の相続税額に20%が加算されるとされています。
該当する主な例:
- 兄弟姉妹
- 甥・姪
- 孫(代襲相続人である場合を除く)
- 内縁のパートナー、友人
例えば孫へ遺贈して算出税額が300万円だった場合、加算後は360万円となる計算です(2026年8月時点の制度)。
2. 遺留分侵害額請求のリスク
配偶者・子・直系尊属には、最低限の取り分である遺留分が保障されています(兄弟姉妹には遺留分がありません)。
全財産を第三者に遺贈すると、遺留分権利者から金銭の支払いを請求される可能性があります(民法第1046条、2019年7月1日施行の改正で金銭債権化)。請求期限は、相続開始と侵害を知った時から1年です。
3. 税・登記コストが相続より高くなる
| 項目 | 相続人が取得 | 相続人以外が遺贈で取得 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% | 同2.0% |
| 不動産取得税 | 非課税 | 課税(標準税率3〜4%) |
| 小規模宅地等の特例 | 要件を満たせば適用可 | 親族以外は原則不可 |
評価額3,000万円の土地を第三者に遺贈すると、登録免許税だけで60万円(相続なら12万円)となる計算です。不動産取得税も別途かかります。
4. 受遺者に断られる可能性
受遺者は遺贈を放棄できます。特に、老朽化した実家や管理コストのかかる山林は、受け取りを断られることがあります。NPOへの遺贈寄付でも、不動産は受け入れ不可とする団体が多いのが実情です。
不動産の遺贈寄付を検討する場合は、必ず事前に受入団体へ確認してください。現物での受け入れを断られると遺贈は失効し、その財産は相続人に戻ることになります。換価型(売却して現金を寄付する形)の遺言にする方法もあります。
具体例・ケースで理解する
実際の遺贈は、家族構成と財産の内訳によって最適解が変わります。 ここでは相談現場で典型的な3つのケースを取り上げます。
ケース1: 介護してくれた長男の妻へ遺したい
状況: 父(80代)、財産は実家2,000万円と預金1,500万円。長男は既に他界。同居する長男の妻が10年間介護。相続人は次男と長女の2人。
課題: 長男の妻は相続人ではないため、何もしなければ1円も受け取れません。
対応: 「預金のうち500万円を長男の妻○○に遺贈する」と特定遺贈で明記します。
注意点: 長男の妻は一親等の血族ではないため、2割加算の対象です。また、2019年施行の特別寄与料制度で請求する道もありますが、金額の協議が必要で確実性に欠けます。遺言で明記するほうが確実とされています。
ケース2: 子がいない夫婦で配偶者に全部遺したい
状況: 夫婦2人暮らし、子なし。夫の両親は既に他界。夫には妹が1人。
課題: 夫が先に亡くなると、妻が4分の3、妹が4分の1を相続します。自宅しか財産がないと、妹への支払いのために自宅売却を迫られる可能性があります。
対応: 「全財産を妻に相続させる」旨の遺言を作成します。兄弟姉妹には遺留分がないため、この遺言は覆されにくいとされています。
効果: 妹が納得しなくても、遺言の内容がそのまま実現します。子のない夫婦にとって、遺言の効果が最も明確に出るケースです。
ケース3: 実家を売って現金でNPOに寄付したい
状況: 独身、相続人は疎遠な甥のみ。実家(築45年、評価額800万円)を売却して母校に寄付したい。
課題: 現物の不動産は受け入れを断られる可能性が高く、また不動産を法人に遺贈すると、含み益に対して被相続人へみなし譲渡所得税が課される場合があります(所得税法第59条)。
対応: 遺言執行者(司法書士等)を指定し、「不動産を売却・換価のうえ、諸費用と税を控除した残額を○○大学に遺贈する」と換価型で記載します。
注意点: 譲渡所得税の申告(準確定申告)が必要になる場合があるため、税理士への事前相談が推奨されます。
3つのケースに共通するのは「遺言執行者を決めておく」ことです。執行者がいないと、疎遠な相続人の協力を待つことになり、実現までの時間が読めなくなります。
遺贈の始め方・進め方
遺贈は「財産の棚卸し→相手の意向確認→遺言方式の選択→執行者指定→保管」の5ステップで進めます。 公正証書遺言なら、作成まで通常2〜4週間程度が目安とされています。
ステップ1〜5の実務手順
- 財産を洗い出す: 不動産(固定資産税納税通知書)、預貯金、有価証券、保険、負債をリスト化します。名寄帳を市区町村で取得すると、把握漏れの不動産が見つかることがあります。
- 相手の意向を確認する: 特に不動産やNPOへの寄付は、受け取れるかを事前に確認します。断られると遺贈は失効します。
- 遺言の方式を選ぶ: 確実性を重視するなら公正証書遺言です。
- 遺言執行者を指定する: 手続きのスピードが変わります。司法書士・弁護士・信託銀行のほか、受遺者本人を指定することも可能です。
- 保管方法を決める: 公正証書なら原本は公証役場に保管されます。自筆証書は法務局の保管制度(2020年7月10日開始、手数料3,900円)の利用で、紛失リスクと検認手続きを回避できます。
遺言方式の比較
| 項目 | 自筆証書遺言 | 自筆+法務局保管 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 費用 | ほぼ0円 | 3,900円 | 数万円〜(財産額により変動) |
| 証人 | 不要 | 不要 | 2人必要 |
| 家庭裁判所の検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 無効リスク | 形式不備の可能性あり | 形式は確認されるが内容審査はなし | 低い |
| 紛失・改ざん | リスクあり | 回避できる | 回避できる |
公正証書遺言の作成手数料は、公証人手数料令に基づき目的の価額で決まります。例えば財産1,000万円超3,000万円以下なら基本手数料は23,000円とされています(遺言加算等が別途かかります)。
迷ったら公正証書遺言を選ぶのが実務上の定石です。第三者への遺贈は相続人が不満を持ちやすく、形式の争いになりにくい方式を選ぶ意味が大きくなります。
遺贈と相続・贈与は何が違うのか?
違いは「誰に渡すか」「いつ効力が出るか」「相手の同意が要るか」の3点です。 特に死因贈与との違いは分かりにくいため、表で整理します。
| 項目 | 遺贈 | 相続 | 死因贈与 | 生前贈与 |
|---|---|---|---|---|
| 根拠 | 遺言(単独行為) | 法律の定め | 生前の契約 | 生前の契約 |
| 相手の同意 | 不要 | ― | 必要 | 必要 |
| 効力発生 | 死亡時 | 死亡時 | 死亡時 | 契約時 |
| 相手の範囲 | 誰でも・法人も可 | 法定相続人のみ | 誰でも可 | 誰でも可 |
| 課される税 | 相続税 | 相続税 | 相続税 | 贈与税 |
| 撤回 | いつでも可能 | ― | 原則可能(負担付は制限あり) | 原則不可 |
| 不動産取得税 | 特定遺贈で相続人以外なら課税 | 非課税 | 課税 | 課税 |
「遺贈する」と「相続させる」の書き分け
実務で重要なのが文言です。相続人に財産を渡すなら「相続させる」と書くのが一般的です。理由は次の2点です。
- 登記を単独申請でき、手続きが早い
- 農地の場合、農業委員会の許可が不要になる
一方、相続人以外に渡すときは「遺贈する」しか使えません。相手が相続人かどうかで書き分けるのが基本です。
死因贈与との使い分け
死因贈与は契約なので、相手の合意が必要です。その代わり、仮登記(始期付所有権移転仮登記)によって受贈者の地位を保全できるという利点があります。「確実に渡したい・相手にも約束したい」場合は死因贈与、「気が変わる可能性を残したい」場合は遺贈、というのが一つの目安です。
相続人に渡す → 「相続させる」/相続人以外に渡す → 「遺贈する」。この使い分けが、登記コストと手続き期間に直結します。
よくある質問
Q1. 遺贈を受けたら断ることはできますか?
はい、放棄できます。 ただし種類で手続きが異なります。特定遺贈は期限なく、相続人または遺言執行者への意思表示で放棄できます。包括遺贈は、遺贈があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があるとされています(民法第990条・第915条)。期限を過ぎると承認したものとみなされる可能性があるため、負債がある場合は特に注意が必要です。
Q2. 遺贈にかかる税金は相続税ですか、贈与税ですか?
相続税です。 相手が相続人でなくても、遺贈で財産を取得した場合は相続税の課税対象となります。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も適用されますが、受遺者が相続人以外でも法定相続人の数は変わりません。配偶者・一親等の血族以外は2割加算の対象となる点にご注意ください。
Q3. 遺言書が2通見つかった場合はどうなりますか?
日付の新しいものが優先されます。 内容が抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条)。自筆証書と公正証書の優劣は方式では決まらず、あくまで日付で判断されます。日付が特定できない自筆証書は無効となる可能性があります。
Q4. 遺贈で受け取った不動産の名義変更はいつまでにすべきですか?
取得を知った日から3年以内に登記申請が必要とされています。 2024年4月1日施行の改正不動産登記法により相続登記が義務化され、遺贈による取得も対象です。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となる場合があります(法務省)。相続人以外への遺贈は共同申請となるため、遺言執行者の指定を強く推奨します。
Q5. 認知症の親でも遺贈の遺言は作れますか?
遺言能力があるかどうかで判断され、診断名だけでは決まりません。 民法上、遺言時に事理を弁識する能力があれば有効とされます。軽度の段階であれば、公正証書遺言を選び、作成時に医師の診断書を残すことで、後の争いに備える実務が一般的です。判断能力を失った後は遺言を作成できないため、意思が固まっているなら早めの着手が現実的です。
まとめと次の一歩
・遺贈とは、遺言で財産を無償で他人に譲ること(相続人以外にも渡せる)
・包括遺贈は債務も承継、特定遺贈は名指しした財産のみ
・相続人以外への遺贈は、2割加算・登録免許税2.0%・不動産取得税に注意
・遺言執行者の指定と公正証書遺言が、実現可能性を大きく高める
次の一歩として、まずは財産の棚卸し(不動産・預貯金・負債の一覧化)から始めることをおすすめします。そのうえで、誰に何を遺したいかが固まったら、公証役場や専門家に相談する流れが現実的です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。相続税額や登記の可否は財産構成・家族構成により大きく異なります。実際の手続きにあたっては、必ず税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。制度は改正される場合がありますので、国税庁・法務省の最新の公表情報もあわせてご確認ください。
本記事の最終確認日: 2026年8月6日
主な参照先: 民法(第964条・第986条・第990条・第994条・第1002条・第1023条・第1046条)、国税庁タックスアンサーNo.4157「相続税額の2割加算」、法務省「相続登記の申請義務化」、不動産登記法(2023年4月1日施行改正)、法務局「自筆証書遺言書保管制度」




