- 2027年3月31日…2024年4月1日より前に始まっていた相続の、相続登記の期限(法務省)
- 2028年3月31日…2018年3月31日以前に始まった相続で、特別受益・寄与分を主張できる最後の日(民法904条の3の経過措置)
税制・法律は改正されます。この記事は2026年9月13日時点で公表されている一次情報をもとにした一般的な整理です。個別の判断は税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。
遺産分割協議の期限とは?協議に期限はなく、周辺手続に5つの期限があります
遺産分割協議はいつまで?期限がない仕組みと「実質の締切」が生まれる理由

協議に期限がないのは、分割請求権に時効がないためです
「実質の締切」をつくっているのは3つの手続きです
- 相続税の申告(10か月)…未分割のままだと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が使えません(国税庁 タックスアンサーNo.4208)
- 相続登記(3年)…2024年4月1日から義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です(東京法務局、2024年)
- 特別受益・寄与分の主張(10年)…2023年4月1日施行の民法904条の3により、10年経過後は原則として法定相続分・指定相続分での分割になります
時間が経つほど、協議の相手が増えていきます
相続人の調査は2024年3月1日から楽になりました。法務省によると、戸籍の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村の窓口でも全国各地の戸籍をまとめて請求できます。
なぜ期限が重要なのか|課税割合10.4%が示す「効く期限の偏り」
- 3か月…借金があるかどうかを調べて、相続放棄するかを決める期限
- 3年…相続登記の申請義務(施行日前の相続は2027年3月31日)
- 10年…特別受益・寄与分を主張できる期限(経過措置は2028年3月31日)
期限の種類と分類|3か月・4か月・10か月・3年・10年を表で整理
| 期限 | 手続き | 起算日 | 守らないとどうなるか | 誰に効くか |
|---|---|---|---|---|
| 3か月 | 相続放棄・限定承認 | 自己のために相続の開始があったことを知ったとき | 単純承認とみなされ、借金も引き継ぐ | 借金や連帯保証がある人 |
| 4か月 | 準確定申告 | 相続の開始を知った日の翌日 | 無申告加算税・延滞税 | 親に事業所得や不動産所得があった人 |
| 10か月 | 相続税の申告・納付 | 死亡したことを知った日の翌日 | 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例が使えない | 基礎控除を超える約10.4%の人 |
| 3年 | 相続登記の申請 | 所有権の取得を知った日/遺産分割の成立日 | 10万円以下の過料の対象 | 不動産がある人 |
| 10年 | 特別受益・寄与分の主張 | 相続開始のとき | 法定相続分・指定相続分での分割に固定 | 生前贈与や介護の貢献がある人 |
相続登記の義務化の期限は3年|施行日前の相続は2027年3月31日
相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をする必要があります。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。
遺産分割が成立した場合は、その成立の日から3年以内に、分割内容にもとづく登記の申請が別途必要とされています。先に相続人申告登記をしていても、この義務は改めて発生します。
遺産分割が10年経過するとどうなる?2028年3月31日が経過措置の満了日
- 10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき
- 10年の期間満了前6か月以内に、やむを得ない事由があったとき
親御さんが2018年3月以前に亡くなり、生前贈与や介護の貢献について話がついていない場合、残り時間は1年半ほどです。印紙1,200円の申立てを出すかどうかで、主張できる中身が変わります。
期限を守るメリット|「時間を買う3つの手続き」で選べる状態を保てます
| 迫っている期限 | 時間を買う手続き | 効果 | 費用・窓口 |
|---|---|---|---|
| 3か月(相続放棄) | 相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て | 熟慮期間を延ばして財産調査の時間を確保 | 家庭裁判所 |
| 3年(相続登記) | 相続人申告登記 | 単独で申し出れば申請義務を履行したとみなされる | 法務局/登録免許税はかかりません |
| 10年(特別受益・寄与分) | 遺産分割の調停・審判の申立て | 10年経過後も具体的相続分を主張できる状態を固定 | 家庭裁判所/印紙1,200円+郵便切手 |
| 10か月(相続税) | 申告期限後3年以内の分割見込書 | 分割後に特例を適用して取り戻せる状態を確保 | 税務署 |
遺産分割協議の期限が過ぎたらどうなる?デメリットと注意点
過ぎても問題にならないもの/問題になるもの
- 税金…延滞税・加算税が加わり、特例が使えません(金銭的な損失)
- 登記…10万円以下の過料の対象になります(行政上の制裁)
- 相続分…10年経過で特別受益・寄与分が主張できなくなります(取り分そのものの変化)
- 放棄…3か月を過ぎると原則として単純承認となり、借金も引き継ぎます(撤回が難しい)
遺産が未分割のまま相続税を申告するとどうなる?
分割見込書の添付を忘れると、3年以内に分割できても特例の適用が受けられないおそれがあります。未分割で申告するときは、添付の有無を税理士に必ず確認してください。
具体例で理解する|未分割申告の税額差530万円と、取り戻す4ステップ
前提条件(このとおりに計算します)
- 法定相続人…配偶者+子2人(合計3人)
- 遺産総額…1億円(自宅の敷地4,000万円+現預金6,000万円)
- 自宅の敷地…特定居住用宅地等に該当し330㎡以内、配偶者が取得
- 基礎控除…3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 債務・葬式費用・生前贈与加算・2割加算はなし
- 税率と控除額は国税庁の相続税の速算表によります
2つのルートを並べて比較します
| 項目 | ルート①未分割のまま申告 | ルート②分割見込書→分割→更正の請求 |
|---|---|---|
| 自宅敷地の評価 | 4,000万円(特例なし) | 800万円(80%減額) |
| 課税価格の合計 | 1億円 | 6,800万円 |
| 基礎控除 | 4,800万円 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 5,200万円 | 2,000万円 |
| 相続税の総額 | 630万円 | 200万円 |
| 配偶者の税額軽減 | 適用できません | 適用できます(配偶者分100万円→0円) |
| 最終的な納付額 | 630万円 | 100万円 |
- ルート①…5,200万円を法定相続分で按分し、配偶者2,600万円×15%−50万円=340万円、子1,300万円×15%−50万円=145万円(2人で290万円)。合計630万円。
- ルート②…2,000万円を按分し、配偶者1,000万円×10%=100万円、子500万円×10%=50万円(2人で100万円)。合計200万円。配偶者が法定相続分まで取得する場合、配偶者分は税額軽減により0円。
取り戻す4ステップ
- 10か月以内…法定相続分で計算して申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します(税務署)
- 申告期限から3年以内…遺産分割を成立させます
- 分割があったことを知った日の翌日から4か月以内…更正の請求で払いすぎた分の還付を求めます(税務署)
- 3年でも分割できない見込みのとき…申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出します(国税庁 B1-6)
ここでの税額は、上記の前提条件だけを置いた試算です。実際には財産の評価、他の特例、相続人の事情によって金額が変わります。ご自身のケースは税理士にご確認ください。
始め方|親の死亡日を入れる3問チャートで自分の締切を確定します
Q1|親御さんが亡くなったのはいつですか?
| 亡くなった日 | 残る期限 |
|---|---|
| A:2018年3月31日以前 | 🔴2028年3月31日までに家庭裁判所へ遺産分割の調停・審判を申立て(印紙1,200円)。逃すと特別受益・寄与分は主張できなくなります/相続登記は🔴2027年3月31日 |
| B:2018年4月1日〜2024年3月31日 | 相続登記は🔴2027年3月31日/特別受益・寄与分は死亡日+10年 |
| C:2024年4月1日以降 | 相続登記は取得を知った日+3年/特別受益・寄与分は死亡日+10年 |
Q2|遺産に不動産はありますか?
- はい…上の相続登記の期限が生きます。まず所有不動産記録証明書(書面請求1,600円)で、全国の不動産を洗い出します。
- いいえ…登記まわりの期限はすべて対象外です。表の登記の行は消して構いません。
Q3|遺産の総額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えますか?
- はい…10か月の相続税の期限が加わります(全国では10.4%がここに当てはまります)
- いいえ…あなたに10か月の期限はありません。3か月・3年・10年に集中してください。
出口|自分専用の締切カレンダー
| パターンA | パターンB | パターンC | |
|---|---|---|---|
| 当てはまる人 | 2018年3月以前に死亡・不動産あり | 2018年4月〜2024年3月に死亡・不動産あり | 相続税がかからず不動産なし |
| 期限日 | 2027年3月31日/2028年3月31日 | 2027年3月31日/死亡日+10年 | 死亡を知ったときから3か月(放棄する場合) |
| やること | 相続登記または相続人申告登記+調停の申立て | 相続登記または相続人申告登記+協議の成立 | 放棄の要否判断と預貯金の名義変更 |
| 窓口 | 法務局・家庭裁判所 | 法務局 | 家庭裁判所・各金融機関 |
| 費用 | 印紙1,200円+郵便切手ほか | 登録免許税ほか(申告登記は登録免許税なし) | 放棄は申述人1人につき印紙800円+郵便切手 |
2026年の新制度で作る|実家の財産目録チェックリスト20項目
| 調べる対象 | 2026年時点の最短ルート(費用・窓口) | 揃わないと止まる手続きと期限 | 目安 |
|---|---|---|---|
| ①全国の不動産 | 所有不動産記録証明書(法務局/書面1,600円・オンライン窓口交付1,470円) | 相続登記3年・2027年3月31日 | 数日〜 |
| ②市区町村ごとの不動産 | 固定資産税の名寄帳・納税通知書(各市区町村) | 同上 | 即日〜数日 |
| ③不動産の権利関係 | 登記事項証明書(法務局・オンライン可) | 協議書の作成 | 即日〜 |
| ④出生から死亡までの戸籍 | 戸籍の広域交付(2024年3月1日〜・本籍地以外の窓口でも全国分) | 相続人の確定・相続放棄3か月 | 即日〜数日 |
| ⑤相続人関係の証明 | 法定相続情報一覧図(法務局・無料・何通でも) | 銀行や証券の手続き全般 | 1〜2週間 |
| ⑥預貯金 | 残高証明書+取引履歴(各金融機関) | 相続税10か月 | 1〜3週間 |
| ⑦株式・投資信託 | 取引残高報告書・残高証明書(各証券会社) | 相続税10か月 | 1〜3週間 |
| ⑧生命保険 | 保険証券の確認と各社への照会 | 納税資金の確保 | 2〜4週間 |
| ⑨借入・カード債務 | 信用情報機関への開示請求 | 相続放棄3か月 | 1〜3週間 |
| ⑩連帯保証 | 契約書・通帳の引落し履歴の確認 | 相続放棄3か月 | 数日〜 |
| ⑪未払いの税金 | 納税通知書・督促状(各市区町村) | 相続放棄3か月 | 即日〜 |
| ⑫貸金庫 | 各金融機関への照会 | 遺言書・権利証の発見 | 1〜3週間 |
| ⑬法務局保管の自筆証書遺言 | 遺言書保管事実証明書(法務局) | 協議に入る前提の確認 | 数日〜 |
| ⑭公正証書遺言 | 遺言検索(公証役場) | 同上 | 数日〜 |
| ⑮登記上の住所のズレ | 住所等変更登記(2026年4月1日〜義務化・変更日から2年以内) | 売却の前提。施行前の変更分は2028年3月31日 | 数日〜 |
| ⑯死亡の事実の反映 | 不動産登記の死亡符号表示(2026年4月〜) | 相続不動産の見落とし防止 | ― |
| ⑰準確定申告の要否 | 年金の源泉徴収票・確定申告の控え | 準確定申告4か月 | 数日〜 |
| ⑱相続税の申告要否 | 基礎控除(3,000万円+600万円×人数)との比較 | 相続税10か月 | 1日 |
| ⑲未分割になりそうか | 申告期限後3年以内の分割見込書の準備 | 特例の後日適用 | 1日 |
| ⑳不要な山林・農地 | 相続土地国庫帰属制度(法務局) | 売れない土地の出口 | 数か月〜 |
法務省によると、2026年4月からは「検索用情報の申出」を使ったスマート変更登記が利用でき、法務局が職権で住所変更登記を行う仕組みもあります。⑮とあわせて確認してみてください。
似た用語との違い|遺産分割協議・遺言・遺留分侵害額請求・相続放棄
| 用語 | 何をするもの | 誰が動くか | 期限 |
|---|---|---|---|
| 遺産分割協議 | 遺産の分け方を全員の合意で決める | 相続人全員 | 期限なし(ただし10年で特別受益・寄与分が制限) |
| 遺言 | 被相続人が生前に分け方を指定する | 被相続人 | 生前に作成。相続開始後は原則優先 |
| 遺留分侵害額請求 | 最低限の取り分を金銭で請求する | 侵害された相続人 | 相続開始と侵害を知ったときから1年など、別の期間制限があります |
| 相続放棄 | 相続人の地位から離れる | 放棄する本人が単独で | 3か月 |
| 相続人申告登記 | 相続人であることを登記官に申し出る | 相続人が単独で | 3年の登記義務の履行期限内 |
遺留分は遺産分割協議とは別の制度で、期間制限の考え方も異なります。遺言の内容に納得できない場合は、早めに弁護士へご相談ください。
よくある質問
遺産分割協議に時効はありますか?
相続人同士で話し合い中なら、10年の期限は止まりますか?
相続登記の期限に間に合いそうにないときはどうすればいいですか?
相続税の申告期限は延長できますか?
一度成立した遺産分割協議をやり直せますか?
- 国税庁 タックスアンサーNo.4205 相続税の申告と納税(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4208 相続財産が分割されていないときの申告(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要(令和7年12月公表)
- 国税庁 B1-6 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続
- 東京法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)
- 法務省 相続登記の申請義務化に関する概要資料/所有不動産記録証明制度について/住所等変更登記の義務化について/相続土地国庫帰属制度の統計(令和8年7月31日時点)/戸籍法の一部を改正する法律について
- 裁判所 相続の放棄の申述/相続の承認又は放棄の期間の伸長/遺産分割調停
- 総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果
最終確認日:2026年9月13日




