公正証書遺言の費用と作り方|2025年10月改正でいくら上がったか
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公正証書遺言の費用と作り方|2025年10月改正でいくら上がったか

親の遺言を公正証書で作ろうと調べ始めた方に、まず結論をお伝えします。2026年7月時点では、公正証書遺言を「いま作る」判断が有力です。2026年6月24日に公布された民法改正で「保管証書遺言(デジタル遺言)」が創設されましたが、施行は公布から3年以内の政令指定日で、現時点ではまだ使えないためです(法務省「民法等の一部を改正する法律案」2026年)。

ただし、費用と作り方は2025年10月1日に変わっています。手数料は多くの区分で値上げされ、ウェブ会議による作成が可能になりました。この記事では、実家1軒+預貯金という典型ケースで新旧の実額を通し計算し、公正証書遺言だけが持つ「作っても相続人に通知が届かない」という弱点まで踏み込んで整理します。

ポイント

この記事の要点は3つです。①2025年10月の手数料改正でモデルケースは8,000円ほど上がった ②ウェブ会議での作成が解禁されたが「公証人が相当と認めた場合」に限られる ③公正証書遺言には死亡時通知がなく、遺言検索システムを相続人が自ら使わないと発見されない。

結論:まず何をすべきか?公正証書遺言は「いま作る」が有力です

2026年7月時点で実際に使える最も確実な遺言方式は公正証書遺言です。デジタル遺言の施行は最短でも数年先で、待っている間に相続が発生するリスクの方が大きいと考えられます。

最初に手を付けるべきことを、順番に整理します。

  1. 財産を「誰に何を渡すか」の単位で書き出す — 公証人手数料は財産総額ではなく、渡す相手ごとに区分して計算されるためです(後述)。
  2. 不動産の固定資産評価証明書を取得する — 手数料算定の基礎は固定資産評価額です。相続税評価額でも時価でもない点に注意が必要です。
  3. 証人2名のあてを決める — 推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族は証人になれません(民法974条)。あてがなければ公証役場に紹介を依頼します。
  4. 最寄りの公証役場に事前相談する — 電話やメールで案文の相談ができます。ウェブ会議方式を希望する場合もここで申し出ます。
  5. 遺言執行者と予備的遺言(補充遺言)を必ず入れる — この2つを入れ忘れると、せっかくの遺言が実務で機能しなくなります。

日本公証人連合会の発表(2026年3月23日)によると、令和7年(2025年)に全国で作成された遺言公正証書は123,891件でした。過去最多だった令和6年の128,378件からは約4,500件減っていますが、平成28年の105,350件と比べると10年でおよそ1.18倍に増えています。

注意

遺言の内容が相続人間の対立を招きそうな場合や、事業用資産・共有不動産が絡む場合は、案文を作る前に司法書士・弁護士・税理士へ相談することをおすすめします。手数料を節約して自己流で作った結果、遺留分侵害額請求で争いになる例が少なくないとされています。

遺言の公正証書の費用はいくら?実家1軒+預貯金で通し計算します

遺言の公正証書の費用はいくら?実家1軒+預貯金で通し計算します

実家1軒(固定資産評価額1,200万円)と預貯金800万円を子2人に分けるケースで、公証人手数料は59,000円です。2025年10月改正前は51,000円だったため、差額はおよそ8,000円の値上げになります。

手数料は「財産総額」ではなく「渡す相手ごと」に計算します

最も多い誤解は、財産の合計額で1回だけ計算してしまうことです。正しくは、承継先ごとに目的の価額を区分し、それぞれの手数料を出して合算します。

モデルケースの前提は次のとおりです。

  • 実家(固定資産評価額1,200万円) → 長男に相続させる
  • 預貯金800万円 → 長女に相続させる
  • 目的の価額の合計 2,000万円
計算項目2025年10月改正後改正前差額
長男分 1,200万円(1,000万超3,000万以下)26,000円23,000円+3,000円
長女分 800万円(500万超1,000万以下)20,000円17,000円+3,000円
小計46,000円40,000円+6,000円
遺言加算(合計1億円まで)13,000円11,000円+2,000円
公証人手数料 合計59,000円51,000円+8,000円

仮に「総額2,000万円だから26,000円」と1区分で計算すると、実際の半分以下になってしまいます。この差が見積もりのズレの正体です。

補足

不動産の目的の価額は固定資産評価額で算定します。市場で3,000万円で売れる実家でも、固定資産評価証明書の額が1,200万円ならその額が基準です。事前相談の際は固定資産評価証明書または納税通知書の課税明細書を用意してください。

手数料表と、改正で変わった額

日本公証人連合会「12 手数料」(2025年)によると、現行の基本額は以下のとおりです。

目的の価額手数料(2025年10月以降)改正前
50万円以下3,000円(区分新設)
50万円超〜100万円以下5,000円5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円11,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円17,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円23,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円29,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円43,000円

50万円以下の区分(3,000円)が新設され少額は安くなった一方、200万円超の各区分は軒並み値上げされました。遺言加算も11,000円から13,000円になっています。

手数料以外にかかる実費の総額

公証人手数料だけを見て予算を組むと足が出ます。モデルケースでの総額の目安は次のとおりです。

費目金額の目安備考
公証人手数料59,000円上記の通し計算
正本・謄本の交付紙1枚300円 / 電磁的記録は1件2,500円紙は改正前250円から値上げ
証人2名の謝礼12,000〜20,000円役場紹介の場合1人6,000〜10,000円が相場
戸籍謄本・住民票・評価証明書数千円程度通数と自治体により変動
概算総額おおむね7.5万〜8.5万円出張を利用しない場合

公証人に出張してもらう場合は、日本公証人連合会Q7(2025年)によると、遺言加算を除いた基本手数料が1.5倍になり、日当1日20,000円(4時間まで10,000円)と旅費実費が加算されます。モデルケースなら46,000円×1.5=69,000円+13,000円+日当20,000円で、10万円を超える計算です。

まとめ

手数料の要点は「相手ごとに区分」「不動産は固定資産評価額」「遺言加算13,000円は1回」の3点です。実家1軒+預貯金なら公証人手数料59,000円、実費込みで8万円前後を見込んでおくと安全です。

遺言書は公正証書と自筆証書、どちらを選ぶべき?同一条件で比べます

通知が確実に届く点を最優先するなら法務局保管の自筆証書遺言、内容の確実性と無効リスクの低さを最優先するなら公正証書遺言です。費用差は約7万円あり、判断は「何を買うか」で決まります。

実家1軒+預貯金という同じ条件で、3つの方式を横並びにします。

比較項目①公正証書遺言(2025年10月改正後)②法務局保管の自筆証書遺言③保管証書遺言(2026年成立・施行待ち)
(a)作成時の実費総額約75,000〜85,000円<br>(手数料59,000円+遺言加算込+証人謝礼12,000〜20,000円)3,900円(保管申請1件)未定(制度設計・手数料とも未公表)
(b)本人の作業負担案文は公証人が作成。本人は署名のみ財産目録以外は全文自書が必要PC・スマホでの作成を想定
(c)第三者による意思能力の確認あり(公証人が面前で確認)なし(形式審査のみ)未定
(d)死亡時に相続人へ通知が届くか届きません(遺言検索システムを相続人が能動的に使う必要あり)届きます(指定者通知・関係遺言書保管通知)未定
(e)家庭裁判所の検認不要不要未定
(f)ウェブ会議での作成可能(公証人が相当と認めた場合)不可(オンライン手続は試行拡大中)オンライン前提の設計
(g)いま使えるか使えます使えますまだ使えません

費用差7万円で何を買っているのか

公正証書遺言が高い理由は、公証人という法律の専門家が案文を作り、面前で本人の意思と能力を確認する点にあります。法務局保管制度は保管と通知の仕組みであって、中身が有効かどうかまでは審査しません。

法務局(法務省)「自筆証書遺言と公正証書遺言の違い」(2025年)でも、公正証書遺言は民法969条に基づき公証人が関与し、検認が不要で原本が公証役場に保管される点が整理されています。

検認の負担は依然として残っています

裁判所の司法統計年報(家事編)によると、家庭裁判所での遺言書検認件数は令和5年22,314件、令和4年20,500件、令和3年19,576件と増加が続いています。これは自宅などで保管されていた自筆証書遺言が、相続開始後に検認手続を必要とした件数です。

一方、法務省の利用状況資料(2026年)によれば、自筆証書遺言書保管制度の保管申請は2020年7月の開始から累計で約12万件です。年間12万件超の公正証書遺言と比べると、まだ普及の途上といえます。

ポイント

判断の目安です。財産の大半が実家で、相続人の間に温度差があるなら公正証書遺言。財産がシンプルで相続人が仲良く、通知で確実に発見されることを重視するなら法務局保管の自筆証書遺言が合理的とされています。

公正証書遺言の必要書類は?事前相談の前に揃えるもの

必要書類の中心は「遺言者の印鑑証明書」「戸籍謄本」「受遺者の住民票」「固定資産評価証明書」「通帳の写し」の5点です。書類が揃わないと案文作成が進まないため、事前相談の前に取りかかるのが効率的です。

標準的に求められる書類

  1. 遺言者の印鑑証明書(発行後3か月以内が一般的) — 本人確認のため
  2. 遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本 — 続柄の確認のため
  3. 相続人以外に遺贈する場合はその人の住民票 — 特定のため
  4. 不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書 — 物件の特定と手数料算定のため
  5. 預貯金の通帳の写し — 金融機関名・支店名・口座番号の特定のため
  6. 証人2名の氏名・住所・生年月日・職業のメモ — 遺言書に記載するため
注意

2025年10月1日の公証人法改正により、遺言者と証人の署名は実印の押印ではなくタブレット等への電子サインで行う運用に変わりました(日本公証人連合会、2025年)。ただし本人確認資料としての印鑑証明書は引き続き求められる扱いが一般的です。役場ごとに運用が異なる可能性があるため、事前相談時に必ず確認してください。

証人になれない人を先に把握しておく

民法974条により、次の人は証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人および受遺者、ならびにその配偶者と直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

「長男に頼もう」「長男の妻に頼もう」はどちらも不可です。適任者が見つからない場合は公証役場に紹介を依頼でき、謝礼の相場は1人あたり6,000〜10,000円(役場によっては7,000〜15,000円程度)とされています。

公正証書遺言のデジタル化で何が変わった?ウェブ会議で作れるか判定します

2025年10月1日の改正公証人法施行により、ウェブ会議(Microsoft Teams)を使ったリモート方式での作成が可能になりました。ただし全員が使えるわけではなく、公証人が「相当と認める」ことが条件です(日本公証人連合会、2025年)。

具体的に何が変わったか

日本公証人連合会の告知(2025年9月)によると、主な変更点は次の3つです。

  • 原本の電子データ化 — 公正証書の原本がPDF形式の電子データで作成・保管されるようになりました
  • 押印の廃止と電子サイン — 遺言者・証人の押印は不要になり、タブレット等への電子サインで署名します
  • 正本・謄本の電子交付 — 電子ファイルでも紙でも交付を受けられます(電磁的記録での交付は1件2,500円)

ウェブ会議で作れるかの判定チャート

公証役場まで足を運べない場合、選択肢は「リモート方式」か「公証人の出張」の2つです。次の順に確認してください。

  1. 遺言者本人から申出ができるか(意思表示が可能か) → NOなら出張へ
  2. 認知機能に不安がないか(医師の診断等で説明できるか) → NOなら出張へ
  3. 公証人が「相当」と認める見込みか → 高齢・内容が複雑・推定相続人間に対立があるケースはNG寄り
  4. タブレット等への電子サインを自力でできるか → NOなら出張へ

すべてYES → リモート方式を公証役場に相談(旅費・日当ゼロ。モデルケースなら59,000円のまま)

1つでもNO → 公証人の出張を選択(基本手数料1.5倍+日当20,000円+旅費実費。モデルケースならおよそ+3〜5万円)

注意

遺言公正証書は本人の真意確認の重要性が特に高いため、リモート方式は慎重に運用されているとされています。「オンラインで作れるようになったから親の代わりに手続きを進められる」という理解は誤りです。画面越しでは真意確認が難しいと公証人が判断すれば、対面が求められます

まとめ

デジタル化で費用が下がるとは限りません。リモート方式が使えれば出張費が浮きますが、そもそも使えるかは公証人の判断次第です。まずは事前相談で「リモートで対応いただけますか」と率直に尋ねるのが最短です。

2026年成立のデジタル遺言、施行を待つべきか

待つ必要はないと考えられます。保管証書遺言(デジタル遺言)の施行は公布日2026年6月24日から3年以内の政令指定日であり、いつ使えるようになるかは現時点で決まっていないためです。

2026年6月の民法改正で決まったこと

法務省「民法等の一部を改正する法律案」によると、この法律案は令和8年(2026年)4月3日に国会提出、6月17日成立、6月24日に法律第45号として公布されました。遺言制度の見直しとして次の2点が含まれています。

改正項目内容施行時期
押印の任意化等自筆証書遺言の押印要件を任意化公布から1年以内(2027年6月23日まで)の政令指定日
保管証書遺言の創設等PC・スマホで作成し法務局に保管することで効力を持つ第三の方式公布から3年以内の政令指定日

法制審議会の「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」(2026年)でも、保管証書遺言の創設と押印要件の廃止が答申の柱として整理されています。

待つリスクの方が大きい理由

  1. 施行日が未定 — 「3年以内」は上限であって、いつ動くかは政令次第です
  2. 相続はいつ起きるか分からない — 待っている間に意思能力が低下すれば、どの方式でも作れなくなります
  3. 後から書き直せる — 遺言は何度でも作り直せます。ただし公正証書で作り直す場合は手数料が再度かかります
ポイント

現実的な進め方は、いま公正証書で作っておき、保管証書遺言が施行されて明確な利点が確認できた段階で作り直しを検討することです。作り直しの手数料は発生しますが、「遺言がない状態で相続が開始する」リスクと比べれば小さいと考えられます。

公正証書遺言の落とし穴:作っても見つけてもらえないことがあります

公正証書遺言には、相続人へ自動的に知らせる通知制度がありません。ここが上位の解説記事でもほとんど触れられていない、最も重要な弱点です。

法務局保管制度との決定的な差

法務省「10 通知」(2025年)によると、自筆証書遺言書保管制度では次の2つの通知が用意されています。

  • 関係遺言書保管通知 — 遺言者の死亡後に相続人等が閲覧等をすると、他の関係相続人全員に通知が届きます
  • 指定者通知(死亡時通知) — 事前に指定した最大3名へ、遺言者の死亡が確認された時点で通知が送られます

これらは法務局に保管された自筆証書遺言に限られた仕組みです。公正証書遺言にも、自宅保管の自筆証書遺言にも、この通知は存在しません

遺言検索システムは「待っていても動かない」

公正証書遺言の発見手段は遺言検索システムです。日本公証人連合会「2 遺言」(2025年)によると、平成元年以降に作成された遺言公正証書が対象で、全国どの公証役場からでも検索でき、申出自体は無料です。

ただし、利用できるのは相続人等の利害関係人に限られ、次の書類が必要です。

  • 遺言者の死亡を証する除籍謄本
  • 検索を申し出る人が相続人であることを示す戸籍謄本
  • 顔写真付きの本人確認書類

つまり、相続人が「遺言があるかもしれない」と気づいて、除籍謄本を揃えて自ら動かない限り、遺言は永久に見つからない可能性があります。原本が公証役場に安全に保管されていることと、相続人がそれを見つけられることは、まったく別の問題です。

発見されるための実務的な備え

  1. 正本または謄本を信頼できる人に預ける — 遺言執行者、配偶者、専門家など
  2. 遺言を作った事実と保管場所をエンディングノート等に書き残す — 内容まで書く必要はありません
  3. 遺言執行者を指定し、就任予定者に伝えておく — 執行者が動けば発見の起点になります
  4. 公証役場名と作成年月日を控えておく — 検索がスムーズになります
注意

「公証役場に原本があるから安心」で止めてはいけません。原本の保管と、相続開始後の発見は別の話です。誰か一人には「公正証書で遺言を作った」という事実を必ず伝えておいてください

やってはいけないNG対応と、作った後に効いてくる4つの論点

公正証書遺言で最も多い失敗は、遺言執行者と予備的遺言を入れ忘れることです。どちらも作成時の追加費用はほぼかからないのに、入れ忘れると相続実務が止まります。

NG1:遺言執行者を指定しない

遺言執行者の指定がないと、金融機関での払戻しや名義変更の場面で、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になる扱いが一般的です。相続人の一人が非協力的なだけで手続きが停止します。執行者を指定しておけば、その人単独で手続きを進められます。

NG2:予備的遺言(補充遺言)を入れない

「実家を長男に相続させる」とだけ書き、長男が遺言者より先に亡くなった場合、その部分は効力を生じないとされています。長男の子(孫)に自動的に承継されるわけではありません。「長男が遺言者より先に死亡した場合は長男の子○○に相続させる」という一文を必ず入れてください。

NG3:相続登記の期限を意識しない

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象となります(法務省・法務局)。施行日前に発生していた相続については2027年3月31日が期限です。遺言があっても登記は自動では行われません。

NG4:書き直しの費用を見込まない

遺言は何度でも作り直せますが、公正証書で作り直すたびに手数料が発生します。モデルケースなら都度59,000円です。頻繁に内容が変わりそうな財産(株式・事業用資産など)を細かく指定しすぎると、書き直しコストが膨らみます。

まとめ

作成時に必ず入れるべきは①遺言執行者の指定 ②予備的遺言 ③祭祀承継者の指定(必要な場合) ④付言事項(理由の説明)です。作成後は⑤保管場所を誰かに伝える ⑥相続開始後3年以内の相続登記を忘れない、この2点を家族と共有してください。

専門家・公的情報の見解

遺言に関する判断は、日本公証人連合会・法務省・法務局の一次情報を起点にするのが確実です。制度が2025年から2026年にかけて大きく動いているため、更新日の古い解説記事は内容が現行制度と食い違っている可能性があります。

参照すべき一次情報を用途別に整理します。

知りたいこと参照先
手数料の正確な額日本公証人連合会「12 手数料」
デジタル化の内容日本公証人連合会「2025年10月1日から公正証書の作成手続がデジタル化されます!」
遺言検索システムの使い方日本公証人連合会「2 遺言」
保管証書遺言(デジタル遺言)法務省「民法等の一部を改正する法律案」
法務局保管制度の通知法務省「10 通知」
相続登記の義務化法務局「相続登記の申請義務化」

2025年10月1日から公正証書の作成手続がデジタル化されます。公正証書の原本が電子データ化され、ウェブ会議(リモート方式)による作成が可能になります。押印は不要となり、電子サインで署名することになります。(日本公証人連合会、2025年)

補足

相続税が発生しそうな規模の財産(基礎控除を超える見込み)がある場合は、遺言の内容を確定する前に税理士へ相談することをおすすめします。誰に何を渡すかによって、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用可否が変わる場合があるためです。分け方が決まってから税理士に相談すると、選択肢が狭まっていることがあります。

よくある質問

公正証書遺言の費用は誰が払うのですか?

遺言者本人が支払うのが原則です。作成当日に公証役場で現金納付するのが一般的とされています。相続人が立て替えて後日清算するケースもありますが、贈与とみなされる可能性を避けるため、本人の口座から支払う形が無難です。

財産が少なくても公正証書遺言を作る意味はありますか?

あります。特に不動産が1件でもある場合は意味が大きいと考えられます。預貯金だけなら遺産分割協議で対応しやすいのですが、実家などの不動産が絡むと分け方で対立しやすく、相続登記も3年以内に必要です。財産が50万円以下なら手数料は3,000円+遺言加算13,000円からで、金額規模が小さいほど費用対効果は高くなります。

一度作った公正証書遺言は取り消せますか?

取り消せます。新しい遺言を作れば、内容が抵触する部分について前の遺言は撤回されたものとみなされます。公正証書で作り直す場合は手数料が再度かかり、モデルケースなら59,000円程度です。自筆証書遺言で公正証書遺言を撤回することも法律上は可能とされていますが、後の争いを避けるため公正証書で作り直す方が確実です。

ウェブ会議で作った公正証書遺言は、対面で作ったものと効力が違いますか?

効力は同じです。2025年10月1日施行の改正公証人法に基づく正式な作成方式であり、対面で作成したものと法的効力に差はありません。ただし利用には公証人が「相当と認める」ことが条件で、遺言公正証書は真意確認の重要性が高いため慎重に運用されているとされています。

親が認知症の診断を受けています。今から公正証書遺言を作れますか?

診断名だけでは判断できず、公証人が本人と面談して意思能力を確認します。認知症の診断があっても、遺言の内容を理解し自分の意思で決められる状態であれば作成できる場合があります。逆に、診断がなくても公証人が真意確認できないと判断すれば作成されません。医師の診断書を用意したうえで、早めに公証役場と専門家に相談してください。時間が経つほど選択肢は狭まります。

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まとめ

公正証書遺言は2025年10月に費用と作り方が変わり、2026年6月には第三の方式である保管証書遺言(デジタル遺言)が法律として成立しました。制度の端境期ですが、施行時期が未定である以上、いま作れる最も確実な方式は公正証書遺言です。

実家1軒+預貯金のモデルケースなら公証人手数料59,000円、実費込みで8万円前後。そして最も重要なのは、作った後に「見つけてもらえる」状態を整えることです。公正証書遺言には通知制度がないため、遺言を作った事実を必ず誰かに伝えてください。

本記事は公表されている一次情報をもとに整理したものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや税務の判断については、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

最終確認日:2026年7月29日

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