| 知りたいこと | 答え |
|---|
| 何をしてくれる制度? | 法務局が自筆証書遺言の原本+画像データを保管(原本50年・データ150年) |
| いくらかかる? | 保管申請は1通3,900円(以後の保管料・変更届出・撤回は無料) |
| 検認は必要? | 不要。ただし戸籍集めは消えない(後述) |
| 誰が申請する? | 遺言者本人のみ。代理・郵送・法務局の出張は不可 |
| 内容の有効性は保証される? | いいえ。チェックは様式の外形のみ |
| 親の死後、子がいくら払う? | 保管事実証明書800円+情報証明書1,400円=2,200円〜 |
| 生前+死後の合計は? | モデルケースで8,900円(後述の計算例) |
| 使えなくなるのはいつ? | 親が出頭できなくなった時点(→公正証書遺言へ) |
| デジタル遺言を待つべき? | 「保管証書遺言」は遅くとも2029年6月までに施行。待てるかは親の年齢次第 |
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注意本記事は2026年8月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。遺言の有効性や個別の手続きはご事情により異なります。最終判断は司法書士・弁護士・税理士など専門家にご相談ください。
自筆証書遺言書保管制度とは?(定義・仕組み・利用実績)
- 生前: 親本人が管轄の遺言書保管所に予約のうえ出頭し、様式の外形チェックを受けて原本を預け、保管証を受け取る
- 死後: 相続人等が「遺言書保管事実証明書」で有無を確認し、「遺言書情報証明書」を取得して、検認なしで名義変更等へ進む
どのくらい使われている制度なのか(公式統計)
| 項目 | 累計件数 |
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| 遺言書の保管申請 | 127,253件(うち現に保管中126,976件) |
| 直近1か月(令和8年7月)の保管申請 | 2,532件 |
| 相続人等による遺言書情報証明書の交付請求 | 12,890件 |
| 相続人等による遺言書保管事実証明書の交付請求 | 17,203件 |
| 相続人等による遺言書の閲覧請求 | 101件 |
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遺言書を法務局に保管する費用は全部でいくら?(生前3,900円+死後2,200円〜)
| いつ | 手続き | 手数料 | 誰が払うか |
|---|
| ①生前 | 保管の申請 | 3,900円(遺言書1通につき) | 遺言者(親)本人 |
| ②保管中 | 住所等の変更届出 | 無料 | 遺言者(親)本人 |
| ②保管中 | 保管申請の撤回 | 無料 | 遺言者(親)本人 |
| ②③ | 閲覧(モニター) | 1回1,400円 | 遺言者/相続人等 |
| ②③ | 閲覧(原本) | 1回1,700円 | 遺言者/相続人等 |
| ②③ | 申請書等・撤回書等の閲覧 | 1件1,700円 | 遺言者/相続人等 |
| ③死後 | 遺言書保管事実証明書 | 1通800円 | 相続人(子)等 |
| ③死後 | 遺言書情報証明書 | 1通1,400円 | 相続人(子)等 |
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※法務省「09 手数料」(2026)の公表額。納付は収入印紙です。保管そのものに月額・年額の保管料はかかりません。金額は改定される場合があるため、申請前に法務局の公式案内で最新額をご確認ください。
【フェーズ①申請前】親が「今」出頭できるかどうかが唯一の分岐点
- 遺言者本人が必ず遺言書保管所へ出頭する(代理人申請・郵送申請は不可)
- 保管申請・閲覧・撤回のすべての手続で事前予約が必須
- 添付書類は本籍・筆頭者の記載がある住民票の写し(マイナンバーの記載なし)と、顔写真付きの本人確認書類
子は同席できる?当日の段取りで押さえる3点
| 場面 | 子ができること | 子ができないこと |
|---|
| 予約 | 予約手続の代行・付き添いの調整 | — |
| 書類準備 | 住民票の取得補助、様式チェック、収入印紙の購入 | 遺言の全文を代筆すること(全文自書が要件) |
| 当日の窓口 | 法務局までの送迎・建物内までの同行 | 申請そのもの(本人が手続する必要があります) |
| 提出書類の事前確認 | メール事前チェックの活用(後述) | — |
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管轄はどこ?「実家の所在地」でも申請できます
| 選べる管轄 | 40〜60代の子にとっての使いどころ |
|---|
| 遺言者の住所地 | 最も基本。親の自宅から近い所を選ぶ |
| 遺言者の本籍地 | 親が本籍地の近くに住んでいる場合 |
| 遺言者が所有する不動産の所在地 | 実家が遠方にある場合、実家の所在地で申請できる |
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【フェーズ②保管中】ここが最大の盲点。転居したら「変更届出」が必要です
| 保管中に起きること | 必要な対応 | 手数料 |
|---|
| 親が転居した(住所変更) | 変更の届出 | 無料 |
| 親が氏名を変更した | 変更の届出 | 無料 |
| 本籍が変わった | 変更の届出 | 無料 |
| 指定者通知の相手が先に亡くなった | 指定者の変更届出 | 無料 |
| 遺言の内容を書き直したい | 撤回して書き直す(原本を預けた保管所でのみ) | 無料 |
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指定者通知の3名は誰にすべきか——「申出制」という落とし穴
| 通知の種類 | 発動条件 | 誰に届くか |
|---|
| 指定者通知 | 戸籍担当部局との連携で保管所が遺言者の死亡を確認したとき(遺言者が生前に申し出た場合のみ) | 遺言者があらかじめ指定した最大3名 |
| 関係遺言書保管通知 | 相続人等の誰か1人が閲覧または証明書の交付を受けたとき | その他の関係相続人等全員 |
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| 枠 | 推奨する指定先 | 理由 |
|---|
| 1枠目 | 実際に手続を担う子(段取り役) | 通知を受けて最初に動く人。同居・近居の子が適任 |
| 2枠目 | 別の相続人(配偶者・他のきょうだい) | 1枠目が先に亡くなる/連絡不通になるリスクの分散 |
| 3枠目 | 遺言執行者または依頼している専門家(司法書士・弁護士等) | 家族が全員高齢化・疎遠でも、第三者が確実に動ける |
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【フェーズ③親の死後】検認は消えても、戸籍集めは消えません
- 法定相続人全員の住所が記載された法定相続情報一覧図の写し(発行から3か月以内)
- または、これがない場合は遺言者の出生から死亡までの一連の戸籍謄本等
- 請求者の住所を証する書面 等
遺言書保管事実証明書の落とし穴:「なし」でも安心はできない
- 請求者が関係者になっていない遺言書が保管されていても、証明書には「ない」と出ます。相続人以外の立場で請求して「保管されていない」という結果が出ても、他の内容の遺言書が存在する可能性は残ります
- 公正証書遺言と自宅保管の遺言は、この証明書ではまったく分かりません。公正証書遺言は公証役場の遺言検索システムで別途照会し、自宅保管分は実家を物理的に探すしかありません
相続開始から遺言を使い始めるまで、実費はいくらかかるか(計算例)
| 段階 | 手続 | 単価 | 数量 | 小計 |
|---|
| 生前 | 保管の申請 | 3,900円 | 1件 | 3,900円 |
| 死後 | 遺言書保管事実証明書(遺言の有無を確認) | 800円 | 1通 | 800円 |
| 死後 | 遺言書情報証明書(金融機関2行+登記申請用) | 1,400円 | 3通 | 4,200円 |
| | | 合計 | 8,900円 |
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※手数料はすべて法務省「09 手数料」(2026)の公表額です。これに加えて、法定相続情報一覧図を作らない場合は出生から死亡までの連続戸籍・相続人全員の戸籍等の実費(自治体により異なります)が必要になります。
公正証書遺言との損益分岐は財産額で変わる
| 遺産総額 | ①保管制度(生涯総額) | ②公正証書遺言(作成時の目安) | 差額 |
|---|
| 1,000万円 | 約8,900円 | 数万円規模 | 数万円 |
| 3,000万円 | 約8,900円 | 数万円規模 | 数万円 |
| 5,000万円 | 約8,900円 | 取得額が上がるほど増加 | 拡大 |
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※公正証書遺言の手数料は公証人手数料令に基づき相続人ごとの取得額で算定され、これに遺言加算・正本謄本代・証人費用等が加わります。金額は改定される場合があるため、具体的な見積もりは公証役場に直接ご確認ください。本記事では確定額の提示は控えます。
今すぐ預ける?デジタル遺言(保管証書遺言)を待つ?5問の判定チャート
- No → 自筆証書遺言は作れません。公正証書遺言へ(自書は不要です)
- 次にやること: 財産の概要をメモにまとめ、公証役場の相談予約を取る
- Yes → Q2へ
- No → 保管制度は選べません
- 選択肢A: 公正証書遺言(公証人の出張作成)で今すぐ確定させる
- 選択肢B: 保管証書遺言(出頭不要の方向で検討中)の施行を待つ。ただし施行は遅くとも2029年6月で、それまで最長3年の空白期間が生じます。その間に相続が起きれば遺言は無い状態です
- 次にやること: 最寄りの公証役場に電話し、出張作成の可否と費用を確認する
- Yes → Q3へ
- Yes → 保管申請先を「不動産の所在地の法務局」にできます(法務省「02 遺言書の保管申請」2026)
- 親が実家から離れて暮らしていても、帰省に合わせた段取りが組めます
- 次にやること: 実家の所在地を管轄する遺言書保管所を調べ、予約可能日を確認する
- No → Q4へ(住所地または本籍地の保管所を選びます)
- Yes → 保管申請時に指定者通知を最大3名で申し出る
- 次にやること: 3名の氏名・住所・生年月日を確定し、申請書に記載してもらう
- No → 危険信号です。申出をしなければ、親の死亡時に法務局から誰にも自動連絡は行きません。誰も動かなければ遺言は預けられたまま「空振り」になります
- 次にやること: まず段取り役の子1名だけでも決めて、指定者に入れてもらう
- No(待てない) → 今、3,900円で預けるのが結論
- 次にやること: 管轄の遺言書保管所に予約を入れ、住民票(本籍・筆頭者入り)を取得する
- Yes(数年単位で余裕がある) → 保管証書遺言の施行を待つ選択肢もあります
- ただし施行日は「公布から3年を超えない範囲内で政令で定める日」であり、前倒しも後ろ倒しも制度上あり得ます。待つ場合も、現行制度でいったん預けておき、新制度の施行後に切り替える(撤回は無料)ほうがリスクは小さくなります
- 次にやること: 法務省の該当ページをブックマークし、施行日の公表を待つ
2026年の制度改正:「保管証書遺言」(デジタル遺言)の創設で何が変わるか
| 項目 | 内容 |
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| 新方式の名称 | 保管証書遺言(いわゆるデジタル遺言) |
| 公布日 | 2026年6月24日(令和8年法律第45号) |
| 施行時期 | 公布の日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日=遅くとも2029年6月 |
| 作成方法 | パソコン・スマートフォン等で作成し、公的機関が本人確認・真意確認のうえ保管 |
| 現行保管制度への影響 | 出頭や書類提出を要さずに保管申請等を行える方向で見直しが盛り込まれています |
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- 令和8年(2026年)3月2日、「法務局における遺言書の保管等に関する省令」の一部改正省令が施行され、法務省は「遺言書保管制度がさらに利用しやすくなりました」と告知しました。同日付で民事局長通達(法務省民商第30号)も発出されています
- 令和8年(2026年)2月2日から、提出書類を電子メールで事前チェックできる遺言書保管所が39都道府県・68保管所に拡大しました
最大の落とし穴:法務局は「内容の有効性」を審査しません
| 記載例 | 何が問題か |
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| 「自宅は長男に任せる」 | 「任せる」が相続させる趣旨か管理を頼む趣旨か、解釈が割れる |
| 「預金は子どもたちで仲良く分けてほしい」 | 割合が特定されず、結局は遺産分割協議が必要になる |
| 「〇〇銀行の預金を長女に」 | 支店・口座が特定されず、金融機関の手続きに支障が出るおそれ |
| 特定の子に全財産を相続させる | 他の相続人の遺留分を侵害し、金銭請求の紛争になりやすい |
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3フェーズ実行チェックリスト(保存版)
- [ ] 用紙はA4サイズ
- [ ] 余白は上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上を確保(余白に文字がはみ出すと受け付けられません)
- [ ] 複数ページは「1/2」「2/2」形式のページ番号を余白内に記載
- [ ] ホチキス等で綴じない(スキャナで画像データ化するため、バラのまま提出)
- [ ] 日付は年月日を特定して記載
- [ ] 全文・日付・氏名は遺言者本人の自書(財産目録の扱いは事前に法務局の案内で確認)
- [ ] 本籍・筆頭者の記載がある住民票の写し(マイナンバーの記載なし)
- [ ] 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- [ ] 収入印紙3,900円分
- [ ] 管轄は住所地・本籍地・所有不動産の所在地の3択(実家の所在地でも申請可)
- [ ] 事前予約は必須
- [ ] 39都道府県・68保管所では提出書類のメール事前チェックも利用可(2026年2月から)
- [ ] 指定者通知(最大3名)を必ず申し出てもらう(申出がないと死亡時に誰にも連絡が行きません)
- [ ] 3枠は段取り役の子+別の相続人+執行者/専門家で分散させる
- [ ] 保管証の保管場所と保管番号を家族で共有
- [ ] 親が転居した → 変更の届出(無料)
- [ ] 親の氏名・本籍が変わった → 変更の届出
- [ ] 届出をしないと記録が更新されない=指定者通知の前提が古いまま
- [ ] 指定者通知の相手が先に亡くなったら指定者を差し替える
- [ ] 原本の閲覧・保管申請の撤回は、預けた保管所限定
- [ ] 年1回、保管証と指定者の顔ぶれを家族で棚卸しする
- [ ] 遺言書保管事実証明書(800円)を請求して有無を確認
- ※請求者自身が相続人等になっている遺言書しか対象になりません
- ※公正証書遺言は公証役場で、自宅保管分は実家で別途調査が必要です
- [ ] 遺言書情報証明書(1,400円×必要通数)を請求
- 必要書類: 法定相続人全員の住所が記載された法定相続情報一覧図の写し(発行から3か月以内)、またはこれがない場合は遺言者の出生から死亡までの一連の戸籍謄本等+請求者の住所を証する書面 等(法務省「05 証明書について」2026)
- 通数の目安は「提出先の数+1」
- [ ] 検認は不要。証明書をそのまま相続登記・金融機関の手続きへ
- [ ] 注意: 誰か1人が閲覧・交付を受けると他の関係相続人全員に関係遺言書保管通知が届きます。疎遠な相続人がいる場合は、連絡が行く前提で段取りを組んでください
親への切り出し方
- 避けたい例: 「遺言を書いてよ」(財産を狙っていると受け取られかねません)
- おすすめの例: 「遺言って今は法務局が3,900円で預かってくれて、家庭裁判所の手続き(検認)もいらなくなるらしいよ。残された側がすごく楽になるみたい」
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次に読むと、この記事の判断がしやすくなります。
よくある質問
自筆証書遺言保管制度とは、ひとことで言うと何ですか?
遺言書を法務局に保管する費用はいくらですか?
遺言書保管制度のデメリットは何ですか?
遺言書保管制度の必要書類を教えてください
遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書は何が違いますか?
検認が不要なら、死後の手続きはかなり楽になりますか?
入院中・施設入所の親でも利用できますか?
保管証書遺言(デジタル遺言)とは何ですか?待つべきですか?
引っ越したら何か手続きが必要ですか?
遺言書はどこの法務局に預ければよいですか?
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