相続財産調査のやり方|3か月から逆算する申込期限と25,590円の内訳
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相続財産調査のやり方|3か月から逆算する申込期限と25,590円の内訳

まな先生解説
こころ質問
すい要点整理

相続財産調査のやり方は?結論は「3か月から逆算する4ステップ」

全体の流れを4ステップで押さえる

  1. 手がかりの棚卸し(Day1〜7):遺言の有無を法務局・公証役場で確認しつつ、自宅で通帳・保険証券・固定資産税納税通知書・郵便物・スマホを探します。並行して戸籍を集めます。
  2. 空振り判定(Day7〜10):後述の5問チャートで、どの一括照会が自分のケースでヒットするかを判定します。ここを飛ばすと、結果ゼロの照会に数千円を捨てることになります。
  3. 一括照会をまとめて申込(Day10〜):結果が届くまでの日数が長いもの(預貯金口座照会は約1か月)から先に申し込みます。1つずつ順番に処理すると3か月では終わりません。
  4. Day50前後で伸長を判断:この時点で全容が見えていなければ、結果を待たずに熟慮期間伸長の申立てをします。収入印紙800円で、判断のための時間を買えます。

なぜ「制度別」ではなく「期限逆算」で組むのか

注意

相続登記の申請も、法務省「相続登記の申請義務化について」(2024年)によると、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内が義務です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象とされています。施行前に発生した相続にも遡及適用され、その期限は2027年3月31日です。財産調査の遅れが、そのままペナルティに直結する構造になりました。

そもそも相続財産調査とは何か?借金まで含めた全容確認のこと

そもそも相続財産調査とは何か?借金まで含めた全容確認のこと

調査対象は「プラス」と「マイナス」の両輪

区分主な対象主な調べ方
プラスの財産不動産、預貯金、上場株式・投資信託、生命保険、自動車、貴金属、デジタル資産公的な一括照会+自宅の手がかり
マイナスの債務借入金、カードローン、未払医療費・税金、連帯保証債務信用情報3社の開示+督促状の確認
対象外・別扱い死亡保険金(受取人固有の財産)、祭祀財産、一身専属権相続財産には含まれないが相続税では「みなし相続財産」扱いになる場合あり
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「うちは相続税がかからない」という前提は崩れつつある

都道府県別の課税割合は東京都が20.0%で最高となっています。

— 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(2025年12月公表)

補足

相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月です。3か月の熟慮期間を過ぎても、申告のための財産評価は続きます。調査を1回で終わらせる設計にしておくと、後工程が楽になります。

始める前の準備|相続財産の調べ方は「戸籍」から始まる

共通で必要になる書類

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍(除籍)謄本
  • 被相続人と請求者の関係が分かる戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 請求者の印鑑証明書(発行後3か月以内を求められることが多い)
  • 手数料(現金、収入印紙、代引きなど制度ごとに異なる)

戸籍の広域交付を使えば収集が一気に短縮できる

  • 郵送請求・代理人請求は不可(窓口へ本人が出向く必要があります)
  • 兄弟姉妹や甥姪など傍系親族の戸籍は対象外
  • 戸籍の附票、未コンピュータ化の古い戸籍も対象外
注意

子が親の相続をするケースでは広域交付が使え、窓口で即日〜1週間程度で揃うことが多いとされています。一方、兄弟姉妹相続や数次相続では広域交付が使えず、郵送請求で2〜3週間かかる前提で計画を組む必要があります。この差が、後述するデッドライン表の分岐点になります。

遺言の有無を最初に確認する理由

  • 自筆証書遺言(法務局保管分):法務省「自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧」(2026年)によると、遺言書保管事実証明書の交付請求は1通800円、内容まで確認する遺言書情報証明書は1通1,400円です。
  • 公正証書遺言:公証役場の遺言検索システムで全国横断的に照会できます(別ルート)。
  • 法務局に預けていない自筆証書遺言:検索する仕組みがないため、自宅や貸金庫を探すしかありません。

【独自】全国一括照会7ルート|費用・日数・空振り条件マトリクス

#制度・窓口対象財産手数料申込方法結果までの日数空振り条件(ヒットしない場合)根拠
1所有不動産記録証明制度全国の不動産書面1,600円/オンライン郵送1,500円・窓口1,470円法務局・オンライン可制度開始直後のため要窓口確認登記簿上の氏名・住所と一致しないと抽出されない/同名異人が混入する場合あり法務省
2相続時預貯金口座照会全金融機関の預貯金5,060円(税込・返金不可)金融機関窓口経由約1か月生前にマイナンバーが付番されていない口座は出ない預金保険機構/受託金融機関案内
3ゆうちょ銀行 貯金等照会(現存調査)ゆうちょ貯金照会自体は無料(残高証明は別料金)窓口1〜2週間程度ゆうちょ以外は対象外ゆうちょ銀行
4生命保険契約照会制度生命保険契約WEB6,000円/書面7,000円WEB・書面受付混雑により変動死亡保険金支払済・解約済・失効済の契約は対象外生命保険協会
5ほふり 登録済加入者情報開示上場株式・投信の口座所在6,050円〜(代引き払い)郵送のみ請求内容により変動未上場株・外国口座は対象外証券保管振替機構
6信用情報3社(CIC/JICC/KSC)借入・カードローン計6,080円郵送(CICはネット可)7〜10日個人間の借金・連帯保証債務は載らないCIC/JICC/全国銀行協会
7遺言書保管事実証明書自筆証書遺言の有無800円法務局窓口即日〜保管制度を使っていない自筆遺言は対象外法務省
全ルート合計25,590円
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※合計は所有不動産記録証明(書面1,600円)+預貯金口座照会5,060円+生命保険WEB6,000円+ほふり6,050円+信用情報3社6,080円+遺言書保管事実証明800円=25,590円で算出しています。公正証書遺言の検索(公証役場)は別ルートです。

ルート1:所有不動産記録証明制度で名寄帳集めが不要になった

注意

ただし法務省は、検索条件で指定した氏名・住所が登記記録と異なる不動産は抽出されないことがあり、逆に同名異人の不動産が抽出される場合もあると明示しています。「証明書に載っていない=所有していない」と即断すると漏れます。引越し後に住所変更登記をしていないケースは要注意です。

ルート2:相続時預貯金口座照会は「マイナンバー付番」が全ての分岐

  • 銀行から届いた「マイナンバーのお届けのお願い」ハガキへの対応記録
  • 通帳や届出書の控えにマイナンバー届出の記載があるか
  • 生前に本人が届出をしたと家族が聞いているか
注意

マイナンバーの銀行への届出は義務ではなく任意です。届出をしていない高齢者は少なくないとされ、その場合は5,060円が実質的に払い損になる可能性があります。不明・No なら、通帳・キャッシュカード・郵便物を起点にした個別照会を優先するほうが確実です。

ルート3〜5:保険・証券・ゆうちょの押さえどころ

ルート6:借金調査は信用情報3社を最優先で

機関手数料方法結果までの日数主な対象
CIC郵送1,500円(本人はネット500円)郵送数日〜クレジットカード・信販
JICC2,177円(速達2,511円)郵送のみ到着後7〜10日消費者金融・信販
KSC(全国銀行協会)2,403円(開示手数料2,060円+発券手数料343円)郵送のみ通常1週間〜10日銀行・銀行系カードローン
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【独自】3か月の熟慮期間から逆算する申込デッドライン表

申込デッドライン = 死亡を知った日+90日 −(結果通知までの日数 + 必要書類の収集日数)

パターンA:子が相続人(広域交付が使える/書類収集7日)

照会ルート結果までの日数書類収集計算式申込デッドライン
相続時預貯金口座照会30日7日90−(30+7)Day53
生命保険契約照会21日(混雑見込み)7日90−(21+7)Day62
所有不動産記録証明+名寄帳突合8日7日90−(8+7)Day75
信用情報3社10日7日90−(10+7)Day73
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パターンB:兄弟姉妹相続・数次相続(広域交付が使えない/書類収集21日)

照会ルート計算式申込デッドライン
相続時預貯金口座照会90−(30+21)Day39
生命保険契約照会90−(21+21)Day48
信用情報3社90−(10+21)Day59
所有不動産記録証明+名寄帳突合90−(8+21)Day61
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注意

兄弟姉妹相続では、預貯金の一括照会の実質的な締切がDay39まで前倒しになります。四十九日を終えて動き始めた時点で、すでに残り1か月を切っている計算です。このケースでは、最初から熟慮期間伸長を前提に組んだほうが現実的とされています。

熟慮期間の伸長は収入印紙800円で申し立てられる

  1. 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を確認する
  2. 申立書に、調査が完了していない理由(一括照会の結果待ちであることなど)を具体的に記載する
  3. 被相続人の戸籍(除籍)謄本、申立人の戸籍謄本、住民票除票などを添付する
  4. 収入印紙800円分と連絡用郵便切手を添えて提出する
  5. 家庭裁判所の判断を待つ(伸長期間は事案により異なります)

【独自】その一括照会、あなたのケースでは空振りします|5問判定チャート

Q1:親は生前、銀行にマイナンバーを届け出ていましたか?

  • Yes → 相続時預貯金口座照会(5,060円)が有効。最優先で申し込みます。
  • No/不明 → 原則ヒットしません。費用0円で、通帳・キャッシュカード・郵便物を起点にした個別照会へ切り替えます。

Q2:不動産の登記名義の住所・氏名は、最後の住所と一致していますか?

  • Yes → 所有不動産記録証明書(1,470〜1,600円)だけでおおむね足ります。
  • No/不明 → 証明書から漏れる可能性があります。追加費用は市区町村の名寄帳交付手数料(1件数百円程度)で、旧住所地の名寄帳を必ず併用します。名寄帳には非課税の私道や未登記家屋も載るため、突合の価値があります。

Q3:保険証券・保険料の口座引落し・保険料控除証明書のいずれかが見つかりますか?

  • Yes → 保険会社へ個別に契約照会すれば足ります。費用0円で、6,000円の一括照会は不要です。
  • No → 生命保険契約照会制度(WEB6,000円)の出番です。ただし解約済・失効済・支払済の契約は対象外である点を踏まえて判断します。

Q4:スマホにネット銀行・ネット証券・暗号資産アプリ、またはメールに「お取引」「約定」「残高」の通知がありますか?

  • Yes → デジタル遺産ルートへ分岐し、各事業者へ個別に死亡の届出と残高証明請求を行います。費用は事業者により異なり、無料〜数千円程度です。
  • No → それでも次の別ルートで痕跡を確認しておくと安全です。
  1. スマホの通知履歴とアプリ一覧:金融系アプリのアイコンを確認します
  2. メールの検索キーワード:「お取引」「約定」「残高」「入金」「口座開設」で検索します
  3. クレジットカード明細:暗号資産取引所やネット証券への入金履歴を探します
  4. 過去の確定申告書:雑所得欄に暗号資産の損益が計上されていないか確認します
  5. PCのブラウザ保存パスワードとブックマーク:金融サイトの登録有無を確認します

Q5:督促状・カードローン明細・連帯保証の心当たりがありますか?

  • Yes → 信用情報3社(計6,080円)を最優先で先行着手します。7〜10日で結果が出るため、相続放棄の判断材料として間に合います。
  • No → それでも3社開示は推奨されます。借金は「無い」ことを確認して初めて安心して相続できる性質のものだからです。

相続財産調査を自分でやる場合と専門家に頼む場合、どちらが良い?

自分でやれるケースの条件

  • 相続人が配偶者・子のみ(戸籍の広域交付が使える)
  • 被相続人の住所移転が少なく、登記名義と最後の住所が一致している
  • 通帳・保険証券など手がかりが自宅に残っている
  • 平日に法務局・市区町村窓口・金融機関へ行く時間が取れる

専門家に依頼したほうが良いケース

  • 兄弟姉妹・甥姪が相続人(広域交付が使えず戸籍収集が長期化)
  • 数次相続で相続人が10人以上
  • 不動産が複数の都道府県にまたがる
  • 相続人間で対立があり、調査結果の中立性が求められる
  • 熟慮期間が残り1か月を切っている

つまずきやすいポイントと対処法

落とし穴1:所有不動産記録証明書を万能だと思い込む

落とし穴2:5,060円を払ってから付番なしと判明する

落とし穴3:古い情報で生命保険の予算を組む

落とし穴4:手続きを1つずつ順番に進めてしまう

落とし穴5:相続財産に手を付けて単純承認とみなされる

注意

調査中は被相続人の財産に手を付けないのが原則です。葬儀費用の支払いなど、やむを得ない事情がある場合は、事前に弁護士・司法書士へ相談してから実行してください。判断を誤ると、多額の債務を引き継ぐ結果になりかねません。

効率化・応用のコツ|1回の窓口訪問で複数の用事を片付ける

コツ1:戸籍謄本は必要通数+2通を取る

コツ2:法務局は「3つの用事」を1回で

  1. 遺言書保管事実証明書の交付請求(800円)
  2. 所有不動産記録証明書の交付請求(書面1,600円)
  3. 判明した不動産の登記事項証明書の取得

コツ3:市区町村窓口も1回で

  1. 戸籍の広域交付(子が相続人の場合)
  2. 住民票除票の取得
  3. 名寄帳の交付請求
  4. 固定資産評価証明書の取得(相続税評価や登記に使用)
補足

相続登記の期限(取得を知った日から3年以内)を踏まえると、財産調査で取得した書類はそのまま登記申請に流用できるものが多くあります。調査の段階から「登記に使う前提」で書類を集めておくと、後の手戻りが減ります。

注意点・リスク|YMYL領域として押さえるべきこと

制度は動いている前提で扱う

  • 2024年3月:戸籍の広域交付開始
  • 2024年4月:相続登記の申請義務化(施行前の相続は2027年3月31日が期限)
  • 2025年4月:相続時預貯金口座照会の開始
  • 2026年2月2日:所有不動産記録証明制度の運用開始
  • 2026年4月1日:生命保険契約照会制度の利用料改定(3,000円→WEB6,000円・書面7,000円)

判断に迷ったら専門家へ

  • 借金の総額が財産を上回りそうで、相続放棄を検討している場合
  • 熟慮期間の伸長が認められるか不安な場合
  • 連帯保証債務の有無がはっきりしない場合
  • 相続税がかかるかどうかの境界線上にある場合
注意

本記事は一般的な情報の整理であり、個別の法律判断・税務判断を行うものではありません。相続放棄の可否、相続税の要否、遺産分割の方法などは個々の事情によって結論が変わります。必ず弁護士・司法書士・税理士などの専門家へご相談ください

具体例・ケーススタディ|3つのパターンで実費と日程を追う

ケース1:手がかりが揃っている標準例(実費約8,480円)

日程実施内容費用
Day1〜5広域交付で戸籍収集、遺言書保管事実証明書を請求800円+戸籍代
Day5所有不動産記録証明書(書面)を請求1,600円
Day6信用情報3社へ郵送請求6,080円
Day7通帳の金融機関へ残高証明を直接請求(一括照会は不要)各行の手数料
Day16信用情報の結果到着、借入なしを確認
Day20財産全容が確定、遺産分割協議へ
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ケース2:兄弟姉妹相続で時間が足りない例(伸長申立てを実行)

  1. Day1〜25:傍系のため広域交付が使えず、本籍地を辿って郵送で戸籍を収集
  2. Day26:信用情報3社へ郵送請求(6,080円)
  3. Day26:相続時預貯金口座照会を申込(5,060円)— この時点でパターンBのDay39デッドライン内
  4. Day38:信用情報が到着し、カードローン残債が判明
  5. Day45:預貯金照会の結果が未着のため、熟慮期間伸長を申立て(収入印紙800円)
  6. Day56:預貯金照会の結果が到着、全容を把握して相続放棄を判断

ケース3:デジタル遺産が後から出てきた例

  1. スマホのアプリ一覧からネット証券アプリを確認
  2. メールを「約定」「お取引」で検索し、取引通知を発見
  3. 証券会社へ死亡の届出と残高証明を請求し、投資信託の保有が判明
  4. 念のため、ほふりへ登録済加入者情報の開示請求(6,050円〜)を実施し、他社口座の有無を確認

まとめ|次にやること

注意

手数料・制度内容は改定される可能性があります。申込前に必ず各機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。また、相続放棄の可否や相続税の要否など、判断を伴う事項については、弁護士・司法書士・税理士などの専門家へご相談されることをおすすめします。

よくある質問

相続財産調査は自分でできますか?

相続財産の調べ方で、まず最初にやるべきことは何ですか?

所有不動産記録証明制度を使えば、不動産の調査は完了しますか?

相続時預貯金口座照会は申し込むべきですか?

3か月以内に調査が終わらないときはどうすればよいですか?

借金の調査はどこまでできますか?

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